あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 ![]() 011 マン・リブ! 「うわー、すごい肉体、そのへんにいる、へなちょこ男子より、ずっと男らしいわね」 「へなちょこ男子か……。ところで、向こうで、あの男の人たち、何をしているのかしら、ビラを配っているわね」 それは小一郎だった。 茜の近くに住んでいる貧乏学生である。 ここの大学に入れたのも奨学制度があるからでる。 小一郎のおばあさんが、茜の屋敷の家政婦をしていたから、おばあちゃんっ子の小一郎はよく、茜のところに来ては、遊んでいた。でも、おばあさんが亡くなると、小一郎はもう屋敷には遊びにこなくなった。 小一郎だけが、茜にとっては、「お嬢様!」っていわない知人といってもいい相手だった。 しかし、おばあさんが亡くなってからの小一郎は親戚に預けられ、今は一人寮に住み自活しているのだ。 茜もそんな家政婦がいたことすら忘れているのである……。一時、小一郎は親戚に預けられていたから、小一郎のことなど、なおさら知らないのである……。 茜の父が、おばあさんがよくしてくれたからと、大学を卒業するまではお金を出してあげたいと願ったが、小一郎の叔父は断った。 そして、小一郎はこの学校の多くの生徒とは違って風変わりである。 みんな、いい服を来てくるに、奨学生の小一郎はほとんどいっしょの服を来ている。 女子大から、男子も入れる学校にした。 しかし、男子が入ってこないので、奨学生制度をつくったのである。 その最初の奨学生が小一郎とその他三人なのである……。 ジーンズにTシャツといったラフな服装でいつもいる。 でも、いくらいい服を着ているいるよりも小一郎には理想があり、かなわない理想であったとしても、それを叶えようとするのが、それこそが本当の人生だと思い込んでいる。 今日も、彼は、他の学生たちとは違い一人、ビラを配っているのである。 「何を配っているんだよ。小一郎」 「マン・リブさ」 「マン・リブって何だよ」
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