総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 079 建設・土木業界からホームレスになった人の割合は四十パーセント以上 「まるでって……、そのままよ。実際はね……」 あきれている冴子。 「でも、あなたがそうだとは言ってないわよ」 「わかっています」 「ホームレスをつくった一つの原因、それは何かしら? あなたの父も、わたしの父も、同様の罪を背負っているわよ」 「一般の人たちも政治に興味がある人ならわかっていると思います。それは、談合です。大手ゼネコンなどは、仕事をえるために、政治家に賄賂を贈るといわれています。その賄賂はどこから出るか……。それは、大手ゼネコンの社長のポケットマネーからでもなく、会社のお金でもなく、下請けをいじめることによって、生まれるんです」 「下請けの人たちの給料を下げたり、また、ひどい条件で働かせるのよね。現代にもタコ部屋は存在するのよ、でっ、訴訟があったでしょう」 「正樹建設訴訟というものがありました。正樹建設は、多くのホームレスが職をあぶれているのに目をつけて、やくざを雇って、給与も与えず働かせていたんですよね」 「そのとおりね。その正樹建設は大手ゼネコンの下請けの一つなのよ。あなたのお父さんのネクタイも彼らの報酬の一部から買っていたのかもしれないわねえ……」 と、皮肉する冴子。 「まあ、そんな人の血をすったネクタイをして、よく首が締めつけられないものだと思うわよおー。娘だってそう、そんなお金で、いくらいい服を着て、宝石で着飾っても、醜い心を表現しているだけのことだわ。ちかごろは、醜い心の人が増えているから、そうしていれば、いいと思っている腐った人間が多すぎるから、それも平気になっちゃっているんでしようけどもね……」 テレビに出ていて、服装や宝石をいばりちらせて見せている人をみると不愉快な気持ちがしないで、素晴らしいなあーと見ていた沙也加にとっては冴子のいうことが、とても刺激的であった。 「まあ、あの人たちだって、父たちと同類、同類ばかりでマスコミに出て、一般の人間をバカにしまくっているのよ。でも、大バカはあなたの父で、わたしの父よ……。そして、その下で尾をふっている人間たちよ。昔の政治家は、そこまでバカではなかったわ……」 沙也加は、この人は、沙也加の祖父と似ていると思った。何かといえば、バカ、バカと父をこきおろしていた。 その父が、今、総理をしている。 「建設・土木業界からホームレスになった人の割合は四十パーセント以上というデータも過去にはあった……。」
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