磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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058エノラ・ゲイ号

2006年05月15日 | Ra.
ラヂオアクティヴィティ[Ra.]
第一部ブロック・バスター

三、灯籠流し

058エノラ・ゲイ号



エノラゲイ号の前に立つレポーター。
「ファットマンは浅ければ水中投下されても大丈夫でしたが、
リトルボーイはそうはいかない。
この銃式爆弾はウラン235の臨界量の二倍以上を抱えています。
リトルボーイを陸上に落下した場合は、ウラン235弾丸が、核爆発を起こすのです。
このエノラゲイの乗組員はたいへんなリスクを背負っていたのです」

広島に落とされた原爆の写真。そして、長崎に落とされた茸雲の写真。

「この二つは同時に研究され、二つのグループを競わせたのです」

レポーター、空港にいる。
「ここが、エノラゲイ号、原爆を広島に落としたB29が飛び立った空港です。
もし、日本やドイツが原爆を製造しても、
B29のような大型の戦闘機がなければ、落とすこともできなかったでしょう。
では、B29に乗ります」

レポーターはB29に乗る。

「これが、B29です。このB29の大きさは、
両翼の長さ四十三メートル、機体の全長三〇メートル、
機体の重さ三十一トンという巨大なものです。
この巨人機と日本海軍の零戦と比較すると、
両翼の長さは零戦を四機並べた長さであり、
機体の重量は零戦の十五機分に相当する重さです。
そして、八、〇〇〇キロというB29の航続距離の長さでした。
しかも時速は高度八、〇〇〇メートルで五八五キロの高速を誇りました」

「そんなこと、どうだって、いいじゃないか!」
マイクは怒鳴る。

「どうして……」
博士は訊いた。

「どうせ、人殺しのことだろう!」

「う~ん、科学のことだと想う。
彼は人を殺すために話していないよ。
歴史を解明するためだよ」

「そうかよ……」
マイクは感情的になっていた。

「天候が曇っていれは、熱が全体に伝わらないし、放射能の影響も広範囲に進まない。
それから、空襲で被害をあまり受けていない都市で、
爆弾の効果が測れるようにということだったのです。
それは、人体実験も含まれていたということなのです」

晴れた空、灼熱の太陽。

「それで、その日、晴れていた広島に落とされたのです。
一九四五年八月六日九時十六分のこと、爆弾は広島上空で炸裂したのです。
広島という日本の都市は、たった二分でこの世界から消えたのです。
アメリカ軍はこれを写真で写すことも任務にしていました」

茸雲のフィルム。

「この下には、大勢の人がもがき苦しんでいるのです。
そして、その茸雲は苦しむこともなく一瞬にして分子に
もどった人たちの血や骨や肉が、茸雲となっているのです。
実に残酷なものなのです。
しかし、これを美しいと思った人は、日本人の中にさえいるのです。
いったい、あれは何だろうと、驚いてもいましたが……。
この世で最悪の恐怖だったのです。広島の町は火の海です。
火災で生まれた火は轟音をたて竜巻が生まれ、
その竜巻は生きている人を飲みこみ、
人間は燃えながら空高く空高く舞い上がっていくのです……。
誰がこれほどの地獄を想像したことでしょう」

テレビの前で肩で息をしている少年たちもいる。








閑話休題

エノラ・ゲイとは、
母親の名をつけたそうですね。

ぼくのお母ちゃんなら、
叱られます。(-_-;)

そういう親でよかったと思います。






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