６５ 俺は河原の枯れすすき

　　　　　　　　　　俺は河原の枯れすすき

　　　　　　　　　　　　　　　　　あずま　優
　　　　　　　　船頭小唄に　魅せられて

　　　　　　　　一人旅する　水の郷

　　　　　　　　花の季節が　終わった後は

　　　　　　　　水面の風が　物寂し

　　　　　　　　俺は河原の枯れすすき


　　　　　　　　涙にもろい　癖がある

　　　　　　　　朽ちた小舟に　ついほろり

　　　　　　　　遠く筑波が　見えると聞くが

　　　　　　　　一群北へ　渡り鳥

　　　　　　　　俺は河原の枯れすすき


　　　　　　　　船頭小唄は　夫婦歌

　　　　　　　　愛の心を　詠んだ詩

　　　　　　　　人を愛する　優しい心

　　　　　　　　唄うは誰か　じんとくる

　　　　　　　　俺は河原の枯れすすき

６４ 遠い思い出

　　　　　　　　　　　遠い思い出

　　　　　　　　　　　　　　　あずま　優
　　　　　　　
　　　　　　　生まれ育った小さな村に

　　　　　　　地元の子供たちだけが通う分教場があった

　　　　　　　Ⅰ年生から４年生まで２０数名の生徒に

　　　　　　　教師１人の複式学級だった


　　　　　　　３年生になったばかりの風の強い日だった

　　　　　　　隣村まで画用紙を買いに行った

　　　　　　　帰り道強風に向かって歩いて来たが

　　　　　　　画用紙は風に飛ばされてしまった


　　　　　　　翌日１枚だけ拾い上げた画用紙に

　　　　　　　一生懸命に絵を描いた

　　　　　　　純真で明るかった少年時代

　　　　　　　思い出は年年歳歳色褪せて寂しい