５８ 愛

　　　　　　　　　　愛

　　　　　　　　　　　　　　あずま　優
　　　　　花を愛しむそのように

　　　　　わたしに愛をくれる人

　　　　　もしもあなたがいなくなったら

　　　　　子どものように泣くでしょう

　　　　　わたしのそばにいてください


　　　　　母をはなれたその日から

　　　　　あなたに会える日をまった

　　　　　もしもあなたがいなくなったら

　　　　　この幸せはないでしょう

　　　　　わたしのそばにいてください


　　　　　人の世界はそれぞれに

　　　　　わたしは愛をひとすじに

　　　　　もしもあなたがいなくなったら

　　　　　わたしに明日はないでしょう

　　　　　わたしのそばにいてください

５７ 病 葉

　　　　　　　　　病　葉

　　　　　　　　　　　　　　あずま　優
　　　　　澄みきった少年の心に

　　　　　それは一点の染みを残して去った

　　　　　年を経るごとに拡大して

　　　　　後の人生を翻弄した


　　　　　変わる世の序章に

　　　　　少年は漂流する病葉だった

　　　　　事の大事さに迷いながらも

　　　　　ただ洋上に溺れていた


　　　　　過去は遠くなるほど

　　　　　老いの魂を蝕む

　　　　　遡行できない時代と命

　　　　　人はちっぽけで非力なのだ