民進党の代表選挙では、枝野幸男氏と前原誠司氏が争っていますが、大きな争点は、①来たるべき衆議院選挙と、その前に予定されている同補選での共産党との選挙協力をどうするのか、という問題と、②消費税率を上げるのか現状維持かです。
どうやら前原氏が優勢という分析が各マスコミから出ていますが、その民進党内でも大きく割れているとも報じられています。
実際に支持率が低迷し、自分たちの票だけでは当選できないというのも現実でしょうし、それは自覚しているんだろうとは思いますが、とにかく共産党嫌いという感情だけが優先されているのですから、残念としか言いようがありません。
保守政党としての再建と言ってみても、消費税率を上げ、庶民に負担を強いる政策を取るという点では、新自由主義政党になるわけで、保守とも似て非なるものというべきです。
結局、目先の補選では前原氏も共産票を当て込んでいます。
「
民進党代表選挙が終われば待っている衆議院議員補欠選挙 対応が問われる野党間の候補者調整」
さて、その民進党代表選挙に横から口を出してきたのが連合です。
「
連合・神津里季生会長、民共共闘路線の修正要求 「労働運動は共産主義革命のためにあるわけではない」と強い忌避感」(産経新聞2017年8月30日)
「民進党最大の支持団体である連合の神津里季生会長が、党代表選(9月1日投開票)を機に共産党との共闘路線を見直すよう牽制(けんせい)している。30日の講演では、10月に行われる3つの衆院補欠選挙をめぐり、民進、共産両党による選挙協力に否定的な見解を示した。」
安倍自民党政権に擦り寄っておきながら、なお民進党に口出しをするのは図々しいとしか言いようがありません。 連合にとっての共産党は、自らの権益を脅かす存在であり、連合が忠誠を尽くす企業様に対して労働者の要求を突きつける強盗みたいにしか思っていませんから、とにかく
反共だけがその存在意義となっています。
こんなイメージ?以前は、炭鉱など会社側は暴力団に組合対策を依頼していたこともあったしね。 神津氏は、労働運動について、言うに事欠いて「連合は(労働運動から)共産党の影響を排除するために闘ってきた。労働運動は共産主義革命のためにあるわけではない」(前掲産経新聞)だそうですが、労働運動=共産主義革命だなんて、あまりに発想がずれすぎています。
憲法では、労働三権が保障され、争議権は、資本家と労働者を対等な交渉を実現するための権利として位置づけ、まさに
資本主義の枠内で自主的な労資間の交渉ができることにしているわけです。
それこそスト(争議)など一切、行わず、会社の合理化に自ら進んで協力し、しかも今般、方針は撤回せざるを得なくなったものの政府と財界が押し進める残業代ゼロ法案まで推進しようとしていたのが連合です。大企業にとって連合傘下の組合は、ユニオンショップによって労働者を組織し、
会社側の意向を組合を通じて支配することを目的にしていますから、連合系組合の幹部は会社の役員みたいなようなものです。労働者としての権利を主張する存在自体を認めるわけにはいかないのです。そういった
労働者の権利を主張する勢力を共産党とみなし、労働運動から排除してきたというのですから、労働組合としてやっていることが本末転倒です。
それが神津氏のいう「排除」の意味です。会社ができない労務政策を労働組合の名をもって会社に代わって行ってきたということです。
このような連合の体質からすれば、
労働者側が会社側に労働条件などを要求すること自体が共産主義ということにならざるをえなくなるわけですが、これでよくも労働組合を名乗れたものです。
もっとも、この連合内部では、当然のことながら共産党との関係では温度差があります。
「連合傘下の労組では、民間系の自動車総連などが前原氏を支持する一方、民共連携に前向きな自治労など官公労系は枝野氏の支援に力を入れている。」(前掲産経新聞)
もともとユニオンショップによって強制的に組織された大企業の組合と、組合員が自主的に参加している官公労では、そもそもの集票力に差があります。運動としての動員力も然りです。
このような連合なのに、神津氏は、10月に行われる衆議院補欠選挙ですら、共産党を排除せよと言っているのですから、話になりません。
連合は、自民党と一緒になったらどうなのでしょう。もちろん、その前提として連合は解散です。大企業傘下の御用組合は、もはや労働組合を名乗る資格はなく、会社の一部門に成り下がればよいのです。
「連合がいよいよ本性剥き出し 明確に大企業本位に軸足を移す 民進党は連合と見切りをつけよ」