調子合せの盲点

通常の手順では1の糸を基準に調子を合わせる。1の糸が正しいと音になっていることが前提条件だ。しかし、その前提が崩れてしまえば調子は大いに狂う。調子合せで大切なことは三味線の糸の素材が絹であり、単純に調子を合わせただけではすぐに調子が狂うことだ。調子を合わせる前に糸を十分に伸ばしておかないとズルズルと下がる。高い音の狂いはわかりやすいが、低い音の狂いは判断しにくい。盲点は１の糸の狂いに気が付かないことだ。糸が伸びていないと余韻が途中で止まりやすい。余韻を十分に聞くことが正しい調子に導いてくれる。