杵屋六郎ブログ

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一調・二機・三声

2019-03-24 21:51:00 | 日記

声の出し方を世阿弥が花鏡で述べた言葉。発声する時に共通する大切な教えと考えられる。音程を最初に取り、studi次に正確な間を整えてから声にするという趣旨だ。

参考になる2人の解説を以下に示す。

①観世寿夫氏の解説。
「一調・二機・三声」は世阿弥の発声についての基本的な考えをしめしたもの。
「一調・二機・三声」は、いちばん初めに、まず自分の中でこれから発する
声の音高や音程、テンポといったものを体で捉え、二番目に、体の諸器官を
準備し、息を充分に引いて整え、声を出す間をつかんで、三番目にはじめて
声を出す、ということです。必ずどんな場合でも、発声する前にこれだけの
段階が自然にふまえなければならないというのです。これは喉だけの発声に
ならないための技術で、腹式呼吸を正しく使い、全身の共鳴を用いて発声する
ということに外ならないと思います。(「心より心に伝ふる花」白水社 より)

②松岡正剛氏の解説
(音曲の謡い出しにあたって)
音の高さは呼吸の緊迫感に移して保持し
声はそのようにして保持された音の高さに合わせて出し
謡の文句一字々々は唇の動きによって
明瞭に分節させて発音しなければならない。
 世阿弥は舞台に臨む能の声について、「一調・二機・三声」と言った。能の役者というもの、最初にこれから発する声の高さや張りや緩急を、心と体のなかで整え、次にそのような声を出す「機」や「間」を鋭くつかまえて、そして声を出しなさい。そう、指南した。(松岡正剛の千夜千冊より)