樵(きこり)の日記

福岡県の奥八女に棲む一人の樵が、田舎から発信する「自分発行き先不明」の情報切符。

弓道やってる娘、九州大会出場ならず その弐

2020年10月19日 | 我が家の出来事

地区大会で3位に入り県大会出場を決めていた娘達は自信に満ちあふれていた。
それまでの練習試合でも安定した記録を続けていたし、誰か調子が悪くても他のメンバーで補う事がしっかり出来ていた。先生も普段通りにやれば九州大会はイケると。

ところが、そこに落とし穴が待っていた。

団体戦は2試合行われる。
1試合(立ち)5人が4本ずつ矢を放つ。ゆえに合計20本。的に的中した本数で勝負が決まる。
射場に相手校と10人が立ち、順番に引いていく。的に当たれば拍手が湧く。相手が当てればそれだけプレッシャーがかかるし逆もあり得る。味方が外せば自分が何とかしなきゃと焦りも出る。弓道はメンタルの勝負ともいえる。

娘に聞いたが、誰にでも調子の好不調はあるもので、試合中に気持ちを切り替える事も非常に大事になってくるという。的に当たらないからといって小手先で修正しようとすると射形が乱れてドツボにハマる。団体戦なのでますます自分を追い込んで精神的に落ちてしまうメンバーも出てくるらしい。

県大会1立ち目。
地区大会で調子の良かった「中(3番目)」が4本全部を外すというアクシデント。
悪い雰囲気の中で2立ち目が始まると、この日調子が良かったはずの「落ち前(4番目)」が外し始める。伝染するかのように「二的(2番目)」も当たらず。二立ち二射目でほぼ勝負は決した。二立ちでは「大前」と「落ち」以外は全て外すという最悪の結果となってしまった。残念ながら「中」は県大会で一本も的を射る事は出来なかった。

弓道の試合とは残酷だ。
娘に聞いても「中」は実力もあり試合を整えてくれるメンバー。そんな彼女があり得ない結果になってしまうのが弓道で、自分にもあり得る話だと。一立ち目が終わった時点でメンバー交代も考えられるところだが、それやったらますます落ちてしまうから…と。事実その日二立ち目でメンバーを変えた学校も数校あった。だが先生も彼女を信頼して使い続ける決断をしたワケだが、それがかえって裏目に出てしまった。
翌日個人戦に出場するメンバーの応援に来た彼女は目を腫らしてたという。


残酷な結果になった県大会だが、彼女達にとっては良い教訓になっただろう。
娘も振り返っていたが、試合に向き合う姿勢が甘かったという。
県大会という大きな舞台に呑まれた。
普段の練習試合も公式戦も同じような精神状態で臨まなければいけない。
同じ地区にいる強豪校は、たとえ練習試合にいえども試合にかける姿勢が違っていたという。一射の重みが自分達とは全然違うと。
それをしっかり学んだだけでも大きな収穫だ。
ちょっと強くなったつもりでいた彼女達だが、これで目を覚ましたことだろう。

世の中そんなに甘くは無いのよ(笑)
 
これをきっかけに弓道の奥深さを知り、一射の重みを心に刻んで精進してみんなで成長してくれたらと思う。九州大会出場は出来なかったが、それ以上のものをつかみ取ってくれたとボクは信じたい。

 


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