Reoっちの駄文(ふつーの日常をハードボイルドに)

金融、サッカー、ボクシング、映画・・・そしてその他でふつーの日常を、楽しく読めるようにハードボイルドな読み物風に。

『アキレスと亀』

2010-01-31 11:54:24 | 映画(ふつう。)
『アキレスと亀』
2008年 日本 主演:北野武、樋口可南子


子供の頃から父親の影響で絵を描く事が好きで、社長のボンボンという立場を活かして自由に絵を描いて幼少時代をすごしてきた真知寿(まちす)は、しかし父親の事業の突然の失敗により恵まれた環境を失ってしまう。家族の都合により、厳しい伯父の下に預けられた真知寿は、しかしそれでも伯父の手伝いを疎かにしながらも絵を描き続けるが、いつまでも自身の才能を理解する人は現れず…果たして真知寿は、芸術の才能を理解され、幼い頃からの夢である画家になる事が出来るのか?


最近の北野武映画らしく、なかなかスローでほのぼのとした映画だ。そんなほのぼのの毎日を、主人公の真知寿が絵画の世界で認められるべく、幼少時代から中年時代まで必死にがっばっていくストーリーだ。いや、特に必死にはなっていないかな…真知寿はなかなかほのぼのと、それでいて何歳になっても夢は諦めずに、試行錯誤しながら画家としての成功を目指す。


芸術家を目指す人は、成功すれば恵まれた環境に身を置けるけど、逆にその他の多くは見入りも無く他に仕事をするしかないぐらい、成功者とその他の差が大きい職業。中途半端じゃ、やっぱり食っていく事は出来ない。そんな芸術家を支えるのは、やっぱり周りの人間なんだな。真知寿の奥さんの理解と健気さ…素晴らしいな。


画家や芸術家を目指している人には、何を目指しているのかを再確認する上でも、なかなか興味深い映画だと思う。芸術に興味はそれほどないおれでも、それなりに楽しめた映画だが。


[10段階評価]
お薦め度:
★★★★★★☆☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

奥さんの健気さにドキッ度:
★★★★★★★★★☆

幼少時代の絵の方が良かったような…度:
★★★★★★★☆☆☆


Reo.

『テネイシャスD -運命のピックをさがせ!-』

2010-01-29 22:15:08 | 映画(つまらない…)
『テネイシャスD -運命のピックをさがせ!-』(Tenacious D)
2006年 アメリカ 主演:ジャック・ブラック


厳格な信仰心を持つ両親に育てられたJBは、幼い頃からのロックへの憧れと、それに伴う両親への反発から、実家を出てハリウッドを目指す事にする。ハリウッドでは当初は全く芽が出なかったものの、ストリートで演奏していたカイル・ガスと運命の出会いを果たし、自身の人生を大きく変える。果たしてJBとカイル・ガス、そして二人のバンド『テネイシャスD』は、どんな成功物語を紡ぐのか…?


コメディアンとして…いや映画俳優として、ジャック・ブラックは結構好きなタイプなのだが…この映画も、だから結構期待してたけど、ちょっとおれの趣味に合わなかったかな。まぁ個人的にロックに興味が無く、ロックを元にしたミュージカル調な展開に辟易したのもあるけど…ぶっとんだコメディは、頭を空にして楽しめる。だが、ただアホなコメディは、呆れるだけで全然笑えない。この映画、全然笑えなかった。正直、ジャック・ブラックが自分が好きなように作った、自身で満足する為だけの映画って感じがした。大体、言葉使いの下品さで笑いをとろうとする展開は…幼稚と言わざるをえないな。


って事で、観ないでよかったくらいの気持ちではある。ロックもそれほど興味ないし、ジャック・ブラックの歌もそれほど良いとは思わなかったし。そうなると、全く見所のない映画と言わざるを得ない。ロックやロッカーに興味があるなら、面白いのかもしれないが…だが、ただのジャック・ブラックのファンなら、全く楽しめない可能性の方が高い。


と言う事で、ロック好きの人にだけ、オススメかな。


[10段階評価]
お薦め度:
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
★★★★★☆☆☆☆☆

セリフの下品さ・下ネタ度:
★★★★★★★★★☆

結局成功しなかったのね…度:
★★★★★★★★☆☆


Reo.

『奇術師フーディーニ -妖しき幻想-』

2010-01-27 22:24:43 | 映画(オススメ!)
『奇術師フーディーニ 〜妖しき幻想〜』(Death Defying Acts)
2007年 イギリス、オーストラリア 主演:ガイ・ピアース


スコットランドはエジンバラで、母メアリーと娘ベンジーの親子はその洞察力と調査力を活かし、インチキ霊能者として貧しいながらも生計を立てていた。そんなある日、数々の手品と脱出劇から世界中の人気者になった奇術師フーディーニが、世界興行の為にエジンバラに来る事を知る。既に富と名声を手に入れたフーディーニは、世の中に心霊術や霊能者が全てペテンだと言う事を証明する為に、自身の母親が最後に残した遺言を言い当てる事が出来れば10万ドルの賞金を払う事を約束していた。メアリーとベンジーは、その賞金を狙う為にフーディーニに近づくが…果たしてメアリーとベンジーは、見事賞金を得る事が出来るのか?そして、フーディーニの秘密とは…?


おれは、手品が好きだ。人々に驚きを見せられる、そして喜ばせられると言う事は、本当に凄いしカッコイイと思う。そして、手品師はその奇術には全てタネがある事を知っているだけに、非科学的な霊能者や心霊者を基本的に信じる事は無い。それら非科学的な占い師などには、心理学的なアプローチや事前の調査により、十分人々を騙す事が出来ることを知っているからだ。おれも、基本的に同じく、非科学的な霊とか占いとかは、全く信じない。だからか、この映画には凄く共感できたし、本当に面白かった。


いや、この映画は、フーディーニが霊能者を否定する事をテーマにしている映画ではない。この映画の見所は、そんな非科学的な事象を否定するフーディーニが、愛や恋と言う非科学的の典型を前に、どんな行動をとるか…そんなところを観て欲しい。この映画、フーディーニや手品師の事を知る事が出来る映画であると共に、完全なラブストーリーでもある。素晴らしい。


フーディーニが知らない人も十分楽しめるので、是非観てみてほしい。かなりカッコイイ。そして、キャサリン・ゼタ=ジョーンズも実はかなりの年齢いってるのにかなり綺麗なのも、驚き。しかし、この映画が日本劇場未公開とは…悲しいな。


[10段階評価]
お薦め度:
★★★★★★★☆☆☆

英語の勉強にお薦め度:
★★★☆☆☆☆☆☆☆

奇術師フーディーニに憧れる度:
★★★★★★★★☆☆

奇術に命がけ度:
★★★★★★★★★☆


Reo.

お土産は君にだけ…、を読み物風に

2010-01-25 17:05:44 | その他
『土産』
① 外出先や旅先で求め、家などに持ち帰る品物。
② 他人の家を訪問するときに持っていく贈り物。手みやげ。「―に酒を持参する」
③ 迷惑なもらい物を冗談めかしていう語。「伝染病という、とんだ―をもって帰国した」
④ ついつい忘れて、休みにどこかに行った事をひた隠しにする必要が出てしまうもの。


「…ちゃっぷいのぉ…なんでおれが、こんな冬に雪国に行かなければならんのだ…」


朝の寒さに身を縮めながら、おれはついつい愚痴を口走ってしまった。年末年始も過ぎ、寒空の中の連日の出社に辟易していたおれは、週末ぐらいは暖かい部屋でエロ本三昧という気持ちを抑える事が出来ずにいた。この日、おれは泊りでの新潟旅行へと出発する事になっていた。運転手として…


「…さぁみんな乗り込め。音楽はおれのアイポッドな。」


流行に乗り遅れた事を象徴するようなDJ OZMAを流しながら、おれは関越を通って新潟市を目指す。レンタカーで借りたスタッドレスタイヤのスバル・インプレッサは、雪に覆われる関越道を物ともせずにおれ達を新潟へと連れて行った。


新潟旅行は、あっという間だった。せんべいを作り、福島潟自然公園へ行き、そして鍋を楽しみ…そして、やはりお土産を買って帰るために、おれ達は新潟ふるさと村へと向かった。面々はそれぞれ解散し、思い思いのお土産を買いに広大なお土産売り場に散った。


「あ~これ美味しそう!やっぱり笹団子かなぁ。」
「へぇ~コシヒカリチーズケーキかぁ。」
「やっぱりせんべいでしょう!」


それぞれが、新潟の定番とも言える食べ物や、新潟ぽいお土産を購入する。そんな姿を観ていると、せっかく来たのでおれも何かを買うべきかと思えてきた。彼女どころか友人もほとんどいないと言えるだけに、お土産を渡す相手はいないのだが…


「…そうだ、上司に買っていくか…」


年功序列など皆無、実力主義の熾烈な出世争いに加え、最近では不況によりリストラからの生き残りもかかっている…得意の上司へのおべんちゃらを更に効果的にする為に、おれは職場へ菓子折りでも買っていくかと決心した。職場へのお土産など効果無い?いや、少しずつでも心象を良くする積み重ねが、重要な決断の際に違いが現れる事を、2回のリストラを経験していたおれは良く知っていた。


「…ほな、これお願いします。さすが新潟や、美味そうやのぅ。」


店番のおばちゃんにも得意技・おべんちゃらをかまし、おれはコシヒカリ・チーズケーキを購入した。元よりチーズケーキに米が入る余地など無いではないか…と言うツッコミは、あえて黙殺した。


「あれ、これだけ?」
「…当たり前だ、会社以外に渡す相手など、いない…」


箱一つしか持っていないおれに、みんなが疑問を投げかける。新潟土産を両手に抱える面々にとって、箱一つで足りてしまうおれの土産の量は驚きらしい。


「でも、家族の分は?」
「…あっ…しまった…出世の事しか、考えていなかった…」
「えぇ~最低~」
「腹黒いなぁ~分かってたけどな」
「優しさのかけらもないんだね!」
「…あ、いや…えっと…その…」


しまった。完全に家族の分を、忘れていた。家族愛や親への感謝の前に、おれは自身の出世を優先していた。…何よりショックなのは、これでまた高感度が大幅に低下した事だ。せっかく女性陣への高感度を上げる為に運転を立候補したのに、これで振り出しだ。演技でも、家族や友人へガンガンお土産を買う優しい好青年を演じるべきだった。すでにおっさんだが…


「…い、いやぁ、高速のサービスエリアで買おうと思っててな、ははは…」


サービスエリアで、せっせとお土産をかって好青年を演じたのは、言うまでもない。とりあえず、一番安くて量が多いものを…


しかしその努力もむなしく、おれは腹黒い男だと評判になり、女性からの高感度がより一層地に落ちたのは、これまた言うまでもない。


「…ふっ、大事なのは物じゃない、気持ちだ…」


【続く】


Reo.

『菊次郎の夏』

2010-01-24 11:01:34 | 映画(オススメ!)
『菊次郎の夏』
1999年 日本 主演:北野武


おばあちゃんと二人きりで生活している正男は、学校が夏休みに入り友達もみんな親と一緒に遊びに行ってしまうと、行くところもやる事もなくなり、寂しさだけが残ってしまう。ある日、たまたま自分の母親の写真と住所を見つけた正男は、その場所を知らないながらも母親の住んでいる愛知県豊橋を一人で目指す。しかし、さっそく家の近くで中学生達にカツアゲされた正男…前途多難な正男は、カツアゲから助けてくれた近所のおばさんの助けで、おばさんの旦那と一緒に母親の元へと目指す。正男を連れていきなり競輪場へ行ってしまう、破天荒なおじさんと一緒に…


もう10年前の映画だが、いやぁ良い映画は時間が経っても良いもんだなぁ。派手さがあるわけじゃない、凄いエフェクトがあるわけじゃない、手に汗握るアクションがあるわけでもない。しかし、やはり映画で大事なのは、ストーリーと出演者と演出なんだな、そう思える映画だ。コメディちっくな展開を、子供とおっさんが夏の田舎で、ほのぼのと旅をする。経験した事の無い旅を通して成長する子供と、そしてチンピラのおっさん…久石譲さんの音楽も映画を良い感じに彩り、いやぁ素晴らしい…


途中で井出らっきょ劇場になるが、そんなところも良いじゃないか。大人は時に悲しい嘘をつく。縁のないものに憧れる。そして、大人と子供が同じ時間をすごす大切さを教えてくれる、そんな映画だ。笑いが止まらないほど面白く、それでいてほのぼのしていて、ちょっぴり切ない…最後に号泣とか、忘れられないほどの悲しいストーリーとかでは無いが、観たのを良かったと思える映画だ。


[10段階評価]
お薦め度:
★★★★★★★★☆☆

英語の勉強にお薦め度:
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

おれもこんな旅したい度:
★★★★★★★★★☆

武の演技のそのまんま度:
★★★★★★★★★☆


Reo.