ども、「毒入り餃子」にビビらずに、早速昼食を中華料理屋で食べたReoっちです◎シュウマイも肉まんも大丈夫でした、はい。ま、多少の毒やダンボールなら良い感じに消化してやりますが・・・
さて、今日は昨日観に行ったサッカー日本代表対ボスニア代表の試合の事を書こうと思ったのですが、どうも私の文章はつまらないらしいので、ちょっと読み物風に書いてみました。読み物風ってか、ハードボイルド小説、風ね。
「すまん、今日は大事な用事があるんだ・・・」
おれは相談の為に群がる同僚達を振り払った。仕事は仕事、趣味は趣味、だ。おれの楽しみを、好きでもない仕事の為に削られるのはご免だ。
そう、今夜はサッカー日本代表の試合が国立競技場で行われる日、生での観戦を逃すはずもなく、おれは6時にオフィスを出て駅へと向かった。
会社の最寄駅から都営大江戸線の「国立競技場」駅まで、乗換えを3回含めて約1時間。近くは無いが、おれは電車での移動を苦に思わない。
電車の中ではもっぱら本か雑誌を読んでいる。今日は、直木賞の最終選考まで残った経験のある作家の新作だ。ハードカバーだ。重い。
重い本を持ち腕を鍛え、文章を読み読解力を鍛え、ストーリーに酔いしれる・・・苦ではない。
「国立競技場」駅に着いたのは、試合開始15分前。手には、途中のコンビニで買ったサンドウィッチとコーヒーがある。
「ふっ、今日も一人で夕食か・・・」
しかし、この日のおれは決して一人での食事ではない。約3万人のサッカーファンとの食事だ。寂しくは無い。会話を交わす相手がいないのは変わらないが・・・
チケットを見せてゲートを通った直後、バイトの女性から抽選番号の入ったチラシを手渡された。日本代表の試合では、ハーフタイムの途中で当選番号を発表し、3名の来場者にサッカーボールがプレゼントされる。
「一万分の一の確率、か・・・」
当たるとは到底思えなかったが、おれはそのチラシをしっかりとポケットにしまった。自分の運に賭けてみるのも良いだろう、そんな気分だった。
「ん・・・?」
その時に気付いたが、おれは8枚もの抽選番号の入ったチラシを手渡されていた。さっきの女性、おれに好意を持ってたのか・・・?
「・・・まさかな」
おれのチャンスが一万分の一から千二百五十分の1に変わった理由を考えながら、おれはスタジアムに入り俺の席を探した。
おれの席はメインスタンド、ホーム側(向かって左)の前から20列目くらい、ちょうど日本代表ベンチの目の前だった。
試合が始まっても、おれは目の前のベンチを、チラッ、チラッ、と何度も観察していた。
「岡田監督は何をやっているんだ、愛弟子の山瀬功治は使わないのか?」
おれの独り言が聞こえたのか、両隣から冷たい視線を感じる。おれは構わなかった。横浜FMに所属する山瀬は、おれにとっても愛弟子みたいなものだ。中沢祐二の奮闘だけでは、その日のおれは納得しそうになかった。
開始から15分足らず、早くも山瀬はアップを開始しだした。ピッチでは巻が倒れている。巻の状態によっては山瀬の登場もあるだろう、おれは期待した。確かに山瀬以外にFW陣もアップを開始していたが、この日は中盤で大久保が先発していたので、山瀬の早期登場をおれはおおいに期待した。
一度は立ち上がった巻は、またもやボスニアの肉体的なプレーヤーとの接触プレーによってピッチに倒れこんだ。さすが欧州のプレーヤーだ。しかし、そんなプレーヤーの頑強さに、今日は感謝だ。
山瀬が投入された。
ハーフタイム。長々とハンドボールの途中経過と大企業のコマーシャルが流れ終わった後に、サッカーボールプレゼントの抽選発表があった。おれは懐からチラシ8枚を取り出した。普通は一人一枚、またもや両隣からの冷たい視線を感じる。しかたないだろう、おれは要求してないんだ。口まで出かかった言葉を、おれは飲み込んだ。
発表された番号は、全くおれの番号に引っかからなかった。そこまでの運の強さは、おれにはまだ無いようだな・・・
しかし、まぁ当たり前なんだが、おれの抽選番号は全て連番だった。前後賞無いんだからダメだよ、連番は!口まで出かかった言葉を、おれはまた飲み込んだ。
後半、ボスニアのプレーヤーは疲れからか反応が鈍っていた。そこを日本代表は加点していく。コーナーから中沢がまず先制。アシストは我等が山瀬だ。山瀬の働きはそれでは終わらなかった。パスの精度の良さもあったが、その後二点を連取。この日のヒーローは、間違いなく山瀬だった。
「ふっ、喜ばしてくれる」
おれは気分を良くして、帰宅の途についた。
気分が良かったのは、その帰宅途中で自転車がパンクするまでだった・・・
【続く】
Reo.
さて、今日は昨日観に行ったサッカー日本代表対ボスニア代表の試合の事を書こうと思ったのですが、どうも私の文章はつまらないらしいので、ちょっと読み物風に書いてみました。読み物風ってか、ハードボイルド小説、風ね。
「すまん、今日は大事な用事があるんだ・・・」
おれは相談の為に群がる同僚達を振り払った。仕事は仕事、趣味は趣味、だ。おれの楽しみを、好きでもない仕事の為に削られるのはご免だ。
そう、今夜はサッカー日本代表の試合が国立競技場で行われる日、生での観戦を逃すはずもなく、おれは6時にオフィスを出て駅へと向かった。
会社の最寄駅から都営大江戸線の「国立競技場」駅まで、乗換えを3回含めて約1時間。近くは無いが、おれは電車での移動を苦に思わない。
電車の中ではもっぱら本か雑誌を読んでいる。今日は、直木賞の最終選考まで残った経験のある作家の新作だ。ハードカバーだ。重い。
重い本を持ち腕を鍛え、文章を読み読解力を鍛え、ストーリーに酔いしれる・・・苦ではない。
「国立競技場」駅に着いたのは、試合開始15分前。手には、途中のコンビニで買ったサンドウィッチとコーヒーがある。
「ふっ、今日も一人で夕食か・・・」
しかし、この日のおれは決して一人での食事ではない。約3万人のサッカーファンとの食事だ。寂しくは無い。会話を交わす相手がいないのは変わらないが・・・
チケットを見せてゲートを通った直後、バイトの女性から抽選番号の入ったチラシを手渡された。日本代表の試合では、ハーフタイムの途中で当選番号を発表し、3名の来場者にサッカーボールがプレゼントされる。
「一万分の一の確率、か・・・」
当たるとは到底思えなかったが、おれはそのチラシをしっかりとポケットにしまった。自分の運に賭けてみるのも良いだろう、そんな気分だった。
「ん・・・?」
その時に気付いたが、おれは8枚もの抽選番号の入ったチラシを手渡されていた。さっきの女性、おれに好意を持ってたのか・・・?
「・・・まさかな」
おれのチャンスが一万分の一から千二百五十分の1に変わった理由を考えながら、おれはスタジアムに入り俺の席を探した。
おれの席はメインスタンド、ホーム側(向かって左)の前から20列目くらい、ちょうど日本代表ベンチの目の前だった。
試合が始まっても、おれは目の前のベンチを、チラッ、チラッ、と何度も観察していた。
「岡田監督は何をやっているんだ、愛弟子の山瀬功治は使わないのか?」
おれの独り言が聞こえたのか、両隣から冷たい視線を感じる。おれは構わなかった。横浜FMに所属する山瀬は、おれにとっても愛弟子みたいなものだ。中沢祐二の奮闘だけでは、その日のおれは納得しそうになかった。
開始から15分足らず、早くも山瀬はアップを開始しだした。ピッチでは巻が倒れている。巻の状態によっては山瀬の登場もあるだろう、おれは期待した。確かに山瀬以外にFW陣もアップを開始していたが、この日は中盤で大久保が先発していたので、山瀬の早期登場をおれはおおいに期待した。
一度は立ち上がった巻は、またもやボスニアの肉体的なプレーヤーとの接触プレーによってピッチに倒れこんだ。さすが欧州のプレーヤーだ。しかし、そんなプレーヤーの頑強さに、今日は感謝だ。
山瀬が投入された。
ハーフタイム。長々とハンドボールの途中経過と大企業のコマーシャルが流れ終わった後に、サッカーボールプレゼントの抽選発表があった。おれは懐からチラシ8枚を取り出した。普通は一人一枚、またもや両隣からの冷たい視線を感じる。しかたないだろう、おれは要求してないんだ。口まで出かかった言葉を、おれは飲み込んだ。
発表された番号は、全くおれの番号に引っかからなかった。そこまでの運の強さは、おれにはまだ無いようだな・・・
しかし、まぁ当たり前なんだが、おれの抽選番号は全て連番だった。前後賞無いんだからダメだよ、連番は!口まで出かかった言葉を、おれはまた飲み込んだ。
後半、ボスニアのプレーヤーは疲れからか反応が鈍っていた。そこを日本代表は加点していく。コーナーから中沢がまず先制。アシストは我等が山瀬だ。山瀬の働きはそれでは終わらなかった。パスの精度の良さもあったが、その後二点を連取。この日のヒーローは、間違いなく山瀬だった。
「ふっ、喜ばしてくれる」
おれは気分を良くして、帰宅の途についた。
気分が良かったのは、その帰宅途中で自転車がパンクするまでだった・・・
【続く】
Reo.