北朝鮮問題について一言。中国は北朝鮮への経済制裁を強めていますが、その効果はそれほど期待できません。国連によるイラクへの経済制裁が、イラク国民のフセイン依存度を強めてしまい、かえって体制強化につながったのと同じことが起こる可能性もあります。中国が北朝鮮に対する経済的締め付けを強めれば、北朝鮮国民の怒りの矛先は金正日ではなく、中国に向かうことでしょう。経済制裁は、独裁政治の下で飢えに苦しむ人々をさらに苦しませるだけで、独裁者に対する政治的打撃とはならない可能性が高いのです。さらに経済制裁を強めれば、脱北者の激増が予想されますが、こともあろうに中国は北朝鮮との国境に鉄条網を張り巡らしているというのです。とんでもないことです。
このブログにたびたび登場する力石定一先生(法政大学名誉教授)は、ずいぶん前から、「中国政府が大々的に脱北者を受け入れて、中国国内で厚遇すれば、金正日体制を崩壊に追い込むことができる」と主張していました。これを力石先生は「逃散政策」と呼んでいます。
江戸時代、各藩の領主がもっとも恐れたのは、百姓一揆よりもむしろ百姓の逃散でした。つまり農民が領主を見捨て、他領に逃亡することです。これをやられると、年貢が取れなくなるのですから、領主もお手上げ、幕府の怒りに触れて改易処分・・・ということになります。
金正日体制を崩壊させるのは、捨て身の一揆よりも、ひたすら中国に逃げるという逃散の方がはるかに有効なのです。もちろんそのためには、中国国内に大規模な受け入れ体制がなければなりません。力石案は、「日本が中国を説得し、対中国ODAを使って脱北者の受け入れを支援せよ」というものでした。
この力石案のオリジナル・プランは、もともと民主党のシンクタンクの「シンクネットセンター21」の研究レポートの2003年12月11日号に、力石先生が投稿した記事「北朝鮮の大量飢餓を救済する方法について」です。民主党の鳩山由紀夫氏などは、この力石プランを受け入れ、国会でも「この政策を実行すべきだ」と質問していたものでした。ところが岡田代表のとき、シンクネットセンター21は潰されてしまい、さらには当時の中国側の政治状況が、とてもこのような政策の受け入れを許さないという状況でしたので、このプランの具体的な展開は立ち消えになっていました。
しかし、周知のように中国で江沢民閥の退治が始まり、知性と柔軟性をもった現在の指導部ならば、この政策を受け入れる可能性は十分にあるように思えます。そう期待していたのに、こともあろうに鉄条網を張り巡らすとは、人道的見地からはとんでもない暴挙であるといえるでしょう。
今こそ、大量の脱北を誘発させることにより金正日体制を打倒し、飢餓に苦しむ北朝鮮国民を救うべきです。そのために日中両国は協力すべきです。「逃散政策」はいわば、「北風政策」とも「太陽政策」とも一線を画す第三の選択肢といえるでしょう。
経済制裁と鉄条網による二重の締め付けという現在のやり方は明らかに間違っています。中国の現指導部に、真に金正日を許さないという気持ちがあるならば、やり方を変えるべきです。つまり、経済制裁によって激増するであろう難民をすべて受け入れ、彼らを救済するための施設を中朝国境に建設し、脱北を意図的に促す政策を実行すべきなのです。難民受け入れ資金は日本や韓国が積極的に支出すべきでしょう。
インターネット新聞のJANJANには、佐藤夏生記者が「脱北支援の難民センターを今こそ中朝国境に!」という記事を書いて、力石プランを紹介していました。さすがはJANJANです。
ぜひ、ネットを通してこうした世論を広めていきたいと思います。このブログの読者の皆様の中で、賛同してくださる方がおりましたら、ぜひ各ブログでの紹介をお願いいたします。
このブログにたびたび登場する力石定一先生(法政大学名誉教授)は、ずいぶん前から、「中国政府が大々的に脱北者を受け入れて、中国国内で厚遇すれば、金正日体制を崩壊に追い込むことができる」と主張していました。これを力石先生は「逃散政策」と呼んでいます。
江戸時代、各藩の領主がもっとも恐れたのは、百姓一揆よりもむしろ百姓の逃散でした。つまり農民が領主を見捨て、他領に逃亡することです。これをやられると、年貢が取れなくなるのですから、領主もお手上げ、幕府の怒りに触れて改易処分・・・ということになります。
金正日体制を崩壊させるのは、捨て身の一揆よりも、ひたすら中国に逃げるという逃散の方がはるかに有効なのです。もちろんそのためには、中国国内に大規模な受け入れ体制がなければなりません。力石案は、「日本が中国を説得し、対中国ODAを使って脱北者の受け入れを支援せよ」というものでした。
この力石案のオリジナル・プランは、もともと民主党のシンクタンクの「シンクネットセンター21」の研究レポートの2003年12月11日号に、力石先生が投稿した記事「北朝鮮の大量飢餓を救済する方法について」です。民主党の鳩山由紀夫氏などは、この力石プランを受け入れ、国会でも「この政策を実行すべきだ」と質問していたものでした。ところが岡田代表のとき、シンクネットセンター21は潰されてしまい、さらには当時の中国側の政治状況が、とてもこのような政策の受け入れを許さないという状況でしたので、このプランの具体的な展開は立ち消えになっていました。
しかし、周知のように中国で江沢民閥の退治が始まり、知性と柔軟性をもった現在の指導部ならば、この政策を受け入れる可能性は十分にあるように思えます。そう期待していたのに、こともあろうに鉄条網を張り巡らすとは、人道的見地からはとんでもない暴挙であるといえるでしょう。
今こそ、大量の脱北を誘発させることにより金正日体制を打倒し、飢餓に苦しむ北朝鮮国民を救うべきです。そのために日中両国は協力すべきです。「逃散政策」はいわば、「北風政策」とも「太陽政策」とも一線を画す第三の選択肢といえるでしょう。
経済制裁と鉄条網による二重の締め付けという現在のやり方は明らかに間違っています。中国の現指導部に、真に金正日を許さないという気持ちがあるならば、やり方を変えるべきです。つまり、経済制裁によって激増するであろう難民をすべて受け入れ、彼らを救済するための施設を中朝国境に建設し、脱北を意図的に促す政策を実行すべきなのです。難民受け入れ資金は日本や韓国が積極的に支出すべきでしょう。
インターネット新聞のJANJANには、佐藤夏生記者が「脱北支援の難民センターを今こそ中朝国境に!」という記事を書いて、力石プランを紹介していました。さすがはJANJANです。
ぜひ、ネットを通してこうした世論を広めていきたいと思います。このブログの読者の皆様の中で、賛同してくださる方がおりましたら、ぜひ各ブログでの紹介をお願いいたします。
それと、ひとつお願いがあります。林業政策などについて、質問や相談をいたしたいことがあるのですが、関様の記事と離れることがあるのでコメント欄ではなかなかお聞きできません。よろしければ、あまり頻繁にチェックしないアドレスや、ヤフー・ホットメールの適当なアドレスなどからでよいので小生の公開しているアドレスまでメールいただけないものでしょうか。そのアドレスに質問などさせていただきたく存じます。もちろん御嫌でしたら大丈夫です。よろしくお願いいたします。
運動系のブロガーの方々は、「Against ○○!」という呼びかけにはよく反応しても、「For ○○」という呼びかけへの反応はとたんに鈍くなるという点も問題だと思います。
日本の市民運動は、現状維持を求める反対運動の伝統は沢山ありますが(それも大体は負けてばかりだった)、オルタナティブの政策プランを実現させるという「For ○○」の伝統が著しく弱かったという限界を反映していると思います。
>力石プランの採用に向け、これからもロビーイングしていこうと思います。
力石先生たちも、民主党、自民党(加藤紘一さんのような人々)、中国の知日派知識人にそれぞれ呼びかけています。それからアメリカのアジア問題専門家(エズラ・ヴォーゲルとかチャルマーズ・ジョンソンとかジョセフ・ナイとか)にまで英訳した政策案を送ったり、多方面にロビイングしています。頑張りましょう。
私のこの記事は、非常に舌足らずな内容なのですが、折口さんの方で補足して大変魅力的な記事にして下さいましてありがとうございました。
飢餓救済のための政策プランには、このさらに先があります。金正日体制崩壊後、先ずはもちろん核開発を放棄し、軍事費を削減し、民生部門に国家予算が回るようにしなければなりませんが、その先にやらねばならないこととして、以下のような点があります。
まず北朝鮮でここまで農業生産が低下してしまった理由の一つに、洪水災害の頻発があるのですが、これは森林破壊に起因しています。まずは洪水を抑え込むために森林再生プロジェクトを展開せねばなりません。他にも集団農場を解体して家族農業を復活させねばならないこと・・・などです。
メールは、別途、折口さんのアドレスにするようにいたします。
メールの件、本当にありがとうございます。根っからの文系人間なもので、なかなか農業・林業政策について分からないもので…。お手数おかけして恐縮です。
中国が脱北者を受け入れることで金正日体制を内部から崩壊させるというアイディアは2004年にジャーナリストの高世仁氏も書かれています.
http://xodus.exblog.jp/3924376/
私もこの方策は非軍事的な方法でこの問題を解決する唯一の道ではないかと考えています.
http://xodus.exblog.jp/3930959/
>入力内容に不正なURLが含まれているため、コメントできません。
うーん謎です。もっとも馬場さんのブログはブックマークさせていただいておりますので、常時チェックさせていただいております。
アメリカはミサイル防衛を日本に売りつけるまで金正日体制を延命させたいのでしょうが、そうは問屋が降ろしません。中国と協力して早々に倒してしまいましょう。