代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

佐々木実著『市場と権力』(講談社)大宅壮一ノンフィクション賞受賞

2014年04月20日 | 政治経済(日本)
 佐々木実氏が長年にわたって竹中平蔵氏を追い続けてきた取材を集大成した成果は『市場と権力 ―「改革」に憑かれた経済学者の肖像』(講談社、2013年)にまとめられている。この度、その佐々木氏の『市場と権力』が「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞したというニュースが入ってきた。この本は、竹中平蔵氏の評伝であるが、単なる個人の評伝の範疇にとどまるものではない。日米構造協議、アメリカのおける政・産・学の回転ドアシステム、米国留学組がどのように米国化していったのか、そして年次改革要望書、小泉構造改革と郵政民営化、対B層広告戦略・・・・。竹中平蔵氏が権力を掌握する背後にあった四半世紀の日米関係と、「改革」イデオロギーの本質をするどくえぐり出している。市場原理主義・新自由主義と呼ばれる経済思想はどこから来たのか? それにはどの程度、学問的な裏付けがあるのか? 御用学者とは何か? こうした問題に興味のある方はぜひ本書を読んで欲しい。  . . . 本文を読む
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コンクリートのカタストロフィから緑のレジリエンスへ

2014年04月13日 | エコロジカル・ニューディール政策
安倍首相(というか藤井聡氏)は、「レジリアンス」という言葉を根本的に誤って使っています。「レジリアンス」とは「剛」に対して「柔」を意味します。まさに「柔よく剛を制する」、分散型でハードでなくソフト対策を重視した、柔構造のしなやかな街づくりを目指すのでなければ「レジリエンス」とは言いません。 想定外に直面すれば「ボキッ」と折れるようなコンクリート防災施設ではなく、破壊されても柳のようにしなやかな復元能力を持った柔らかな緑の防災都市、それこそレジリエンス。現行の国土強靭化計画は「コンクリートによるカタストロフィ計画」と呼ぶべきでしょう。 . . . 本文を読む
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真田信繁は400年前に真田幸村と名を変えた

2014年04月01日 | 真田戦記 その深層
あまりこのブログの趣旨と関係ないが、真田信繁と真田幸村という二つの名前について一言のべたい。信繁は、大坂の陣以降は幸村と改名したのだ。何としても実家に迷惑がかかることがないことを第一に願っている繊細な幸村の性格を考えれば、実家に多大な迷惑が及ぶ「信繁」という名を使い続けるわけがないのは明らかであろう。幸村は、上田の親族に送った手紙でこそ、さすがに信繁と表記していたが、配流中にお世話になった高野山の蓮華定院に大坂城から送った手紙にははっきりと「幸村」と表記されていたというのである。江戸時代に松代藩士の柘植宗辰がこの文書を転写しているのだが、残念ながらその後手紙は失われてしまって、原文が残っていない。 . . . 本文を読む
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