国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」への公開質問状
2012年03月01日
カテゴリー: 緑のダム
私も呼びかけ人の一人になっております「ダム検証のあり方を問う科学者の会」が国交省の治水有識者会議に下記の公開質問状を提出しました。さる2月22日に、長崎県の石木ダムを含めた複数のダム建設にGOサインを出すため「学者のお墨付き」を与えるセレモニーの一つである「治水有識者会議」が開かれようとしました。
何を恐れているのか、会議はいつも開催直前になって告知され、今回も2日前の告知という急なものでした。石木ダムの水没予定地の地権者はカンパを集めて急きょ上京して会議の傍聴を求めたところ拒否され、紛糾して会議が流会になったそうです。故郷が水没するか否かの決定的局面を決める重大な会議を、傍聴する権利もないのです。これが曲がりなりにも「民主主義」を標ぼうする国家のすることでしょうか。
流会になった会議の様子は下記で動画が見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=V-5OfmQEvFU
これまでも「ダム検証科学者の会」として有識者会議に公開討論を2回申し込みましたが、有識者会議から直接回答をもらったことはなく、国交省官僚を通して拒否の通告が電話で伝えられたのみでした。
国交省を通して私たちに間接的に伝えられた拒絶の理由は以下のようなものでした。
「当有識者会議では、中間とりまとめにおいて、ダム事業の検証手法を示しました。そこでは検証主体(八ッ場ダムに関しては関東地整)がパブリックコメントを行うこと、また検証に関して有識者の意見を聞くこととしております。今回の件に関して、当有識者会議の役割は住民や有識者から直接意見を聞くことではなく、中間とりまとめで示している共通的な考え方に従って検討がされたか否か大臣に意見を述べることだと考えております。従って、ご要請には対応しないことといたします」
要するに、有識者会議は大臣に対してのみ報告の義務を負うのであって、地元住民や外部の専門家に対しては説明責任を負っていないし、その意見を聞く必要もない、ということです。
はじめから官僚にコントロールされていて結論が見え見えの会議なのです。こんな無責任な、官僚に迎合した結論ありきのゴム印を付くだけの「有識者」とやらに私たちの血税が使われているかと思うと慄然とします。いったい民主主義国において、税金で運営されている組織が、納税者に対して、いわんや事業によって水没する地域の犠牲者に対して、説明責任を負わないなどということがあり得るでしょうか? どこぞの全体主義国家の理屈そのものです。大臣に対してしか説明責任を負わないのであれば、大臣のポケットマネーで運営すべきと言えるでしょう。
彼らが雲の上にいて下界に降りてこないのは、私たちと討論すればボロが出るからに他ありません。住民たちの傍聴を拒否するのも、住民たちに面と向かって会わせる顔がないからでしょう。本当に彼らが「科学的な検証」とやらをしていれば、堂々と会議を公開して、何ら恥じることはないはずです。傍聴を認めないのは、恥ずべき行いをしていることをしているからに他ありません。
***以下、本日提出した公開質問状***********
国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」
座長 中川博次様
委員 宇野尚雄様
委員 三本木健治様
委員 鈴木雅一様
委員 田中淳様
委員 辻本哲郎様
委員 道上正䂓様
委員 森田朗様
委員 山田正様
有識者会議の全面公開を求める公開質問書
私たち「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は貴有識者会議の会議を全面公開することを求め、次のとおり質問いたします。
1 ダム予定地の反対地権者が審議を見守る権利について
2月22日に開催された有識者会議は、石木ダム予定地のダム反対地権者を含む市民が傍聴を求めたことに対応できず、流会となりました。
当日の会議は石木ダム等の検証報告を審議する予定でした。石木ダムは事業者の長崎県が土地収用の事業認定を九州地方整備局に申請しており、有識者会議がもしダム推進の検証報告を容認すれば、九州地方整備局はそれを受けて事業認定を行い、反対地権者は強制収用がかけられることになります。だからこそ、故郷を奪われることにもつながる有識者会議の審議の行方を見守りたいと、地権者は必死の思いで、傍聴を求めました。会議の日程は事前に決まっていたはずですが、今回も直前の20日にようやく日程が公表されました。このため、傍聴を希望した地権者は、飛行機で上京するために仲間の方たちからカンパを集め、高額なチケットを購入せざるをえませんでした。
ところが、有識者会議は頑なに傍聴を拒絶しました。そのことに私たちは怒りを禁じ得ません。ダム予定地の地権者はこれからの生活の根底に係る審議の行方を見守る権利があります。その権利を蔑ろにしてよいのでしょうか。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。
2 有識者会議の合議による全面公開について
有識者会議の公開の可否を決めるのは有識者会議自体です。有識者会議の規約には「会議は原則として非公開で開催する。」と書かれていますが、2010年9月29日の第12回会議から座長が冒頭で「本有識者会議の規約では、『会議は原則として非公開で開催する。』とされておりますが、私からあらかじめ各委員にお知らせいたしておりましたとおり、本日は報道関係者の皆様に公開で会議を行うということにしたいと思います。よろしゅうございますか。」と諮り、マスコミ関係者に限り、傍聴を認めています。したがって、一般市民の傍聴も有識者会議で座長がその容認を諮れば可能となります。手続き的にはただそれだけのことで全面公開にすることができます。有識者会議の合議で全面公開することについて各委員の見解を明らかにしてください。
3 一般市民に対して非公開にする理由について
国の審議会等の諮問機関の公開は今や当然のことになっています。国交省を見ても、国土審議会、社会資本整備審議会、それらの分科会はすべて全面公開されています。公的な諮問機関であるこれら審議会が全面公開されているのに、国交大臣の私的諮問機関である有識者会議がダム検証の行方に関心を抱く一般市民に対して非公開のままであることがどうして許されるのでしょうか。有識者会議の非公開はあまりにも時代遅れであると言わざるを得ません。一般市民に対して非公開にする理由を明らかにしてください。
4 閣議決定違反について
閣議決定{平成11年4月27日)「審議会等の整理合理化に関する基本的計画 別紙3 審議会等の運営に関する指針」には「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。」と定められ、同閣議決定「別紙4 懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」で有識者会議のような合議体についても「審議会等の公開に係る措置に準ずる」と記されています。ところが、有識者会議は会議が非公開で、議事録の公開も2ヶ月程度経ってからですから、「速やかに」というには程遠いものです。しかも、発言者の名は伏せられており、発言内容について発言者の責任が問われないようにされています。
このように、有識者会議は会議が非公開で、議事録も公開に値しないものですから、その理由を明示しなければなりませんが、有識者会議はそのこともしておらず、閣議決定に明らかに違反しています。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。
5 科学者としての責務について
有識者会議の各委員はそれぞれ優れた業績を持つ科学者であると思います。科学者は常に、そして誰に対しても、自らの理念や論理に基づく科学的思考の内実を説明する責任があり、自明のこととして有識者会議の議論は公開で行い、会議での発言には責任が伴うものでなければなりません。各委員は傍聴を希望する市民に対して科学者としての考えを明らかにする責務があります。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。
以上の5点に対するご回答をそれぞれの項目について3月9日(金)までに下記の連絡先へメールまたはFAXでお送りくださるよう、お願いいたします。
貴有識者会議の各委員が科学者としての良心に基づき、本公開質問書に対し、誠意ある対応をされることを期待いたします。
2012年3月1日
「ダム検証のあり方を問う科学者の会」
呼びかけ人:
今本博健(京都大学名誉教授)(代表)
川村晃生(慶応大学教授) (代表)
宇沢弘文(東京大学名誉教授)
牛山積(早稲田大学名誉教授)
大熊孝(新潟大学名誉教授)
奥西一夫(京都大学名誉教授)
関良基(拓殖大学准教授)(事務局)
冨永靖徳(お茶の水女子大学名誉教授)
西薗大実(群馬大学教授)
原科幸彦(東京工業大学教授)
湯浅欽史(元都立大学教授)
何を恐れているのか、会議はいつも開催直前になって告知され、今回も2日前の告知という急なものでした。石木ダムの水没予定地の地権者はカンパを集めて急きょ上京して会議の傍聴を求めたところ拒否され、紛糾して会議が流会になったそうです。故郷が水没するか否かの決定的局面を決める重大な会議を、傍聴する権利もないのです。これが曲がりなりにも「民主主義」を標ぼうする国家のすることでしょうか。
流会になった会議の様子は下記で動画が見れます。
http://www.youtube.com/watch?v=V-5OfmQEvFU
これまでも「ダム検証科学者の会」として有識者会議に公開討論を2回申し込みましたが、有識者会議から直接回答をもらったことはなく、国交省官僚を通して拒否の通告が電話で伝えられたのみでした。
国交省を通して私たちに間接的に伝えられた拒絶の理由は以下のようなものでした。
「当有識者会議では、中間とりまとめにおいて、ダム事業の検証手法を示しました。そこでは検証主体(八ッ場ダムに関しては関東地整)がパブリックコメントを行うこと、また検証に関して有識者の意見を聞くこととしております。今回の件に関して、当有識者会議の役割は住民や有識者から直接意見を聞くことではなく、中間とりまとめで示している共通的な考え方に従って検討がされたか否か大臣に意見を述べることだと考えております。従って、ご要請には対応しないことといたします」
要するに、有識者会議は大臣に対してのみ報告の義務を負うのであって、地元住民や外部の専門家に対しては説明責任を負っていないし、その意見を聞く必要もない、ということです。
はじめから官僚にコントロールされていて結論が見え見えの会議なのです。こんな無責任な、官僚に迎合した結論ありきのゴム印を付くだけの「有識者」とやらに私たちの血税が使われているかと思うと慄然とします。いったい民主主義国において、税金で運営されている組織が、納税者に対して、いわんや事業によって水没する地域の犠牲者に対して、説明責任を負わないなどということがあり得るでしょうか? どこぞの全体主義国家の理屈そのものです。大臣に対してしか説明責任を負わないのであれば、大臣のポケットマネーで運営すべきと言えるでしょう。
彼らが雲の上にいて下界に降りてこないのは、私たちと討論すればボロが出るからに他ありません。住民たちの傍聴を拒否するのも、住民たちに面と向かって会わせる顔がないからでしょう。本当に彼らが「科学的な検証」とやらをしていれば、堂々と会議を公開して、何ら恥じることはないはずです。傍聴を認めないのは、恥ずべき行いをしていることをしているからに他ありません。
***以下、本日提出した公開質問状***********
国土交通省「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」
座長 中川博次様
委員 宇野尚雄様
委員 三本木健治様
委員 鈴木雅一様
委員 田中淳様
委員 辻本哲郎様
委員 道上正䂓様
委員 森田朗様
委員 山田正様
有識者会議の全面公開を求める公開質問書
私たち「ダム検証のあり方を問う科学者の会」は貴有識者会議の会議を全面公開することを求め、次のとおり質問いたします。
1 ダム予定地の反対地権者が審議を見守る権利について
2月22日に開催された有識者会議は、石木ダム予定地のダム反対地権者を含む市民が傍聴を求めたことに対応できず、流会となりました。
当日の会議は石木ダム等の検証報告を審議する予定でした。石木ダムは事業者の長崎県が土地収用の事業認定を九州地方整備局に申請しており、有識者会議がもしダム推進の検証報告を容認すれば、九州地方整備局はそれを受けて事業認定を行い、反対地権者は強制収用がかけられることになります。だからこそ、故郷を奪われることにもつながる有識者会議の審議の行方を見守りたいと、地権者は必死の思いで、傍聴を求めました。会議の日程は事前に決まっていたはずですが、今回も直前の20日にようやく日程が公表されました。このため、傍聴を希望した地権者は、飛行機で上京するために仲間の方たちからカンパを集め、高額なチケットを購入せざるをえませんでした。
ところが、有識者会議は頑なに傍聴を拒絶しました。そのことに私たちは怒りを禁じ得ません。ダム予定地の地権者はこれからの生活の根底に係る審議の行方を見守る権利があります。その権利を蔑ろにしてよいのでしょうか。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。
2 有識者会議の合議による全面公開について
有識者会議の公開の可否を決めるのは有識者会議自体です。有識者会議の規約には「会議は原則として非公開で開催する。」と書かれていますが、2010年9月29日の第12回会議から座長が冒頭で「本有識者会議の規約では、『会議は原則として非公開で開催する。』とされておりますが、私からあらかじめ各委員にお知らせいたしておりましたとおり、本日は報道関係者の皆様に公開で会議を行うということにしたいと思います。よろしゅうございますか。」と諮り、マスコミ関係者に限り、傍聴を認めています。したがって、一般市民の傍聴も有識者会議で座長がその容認を諮れば可能となります。手続き的にはただそれだけのことで全面公開にすることができます。有識者会議の合議で全面公開することについて各委員の見解を明らかにしてください。
3 一般市民に対して非公開にする理由について
国の審議会等の諮問機関の公開は今や当然のことになっています。国交省を見ても、国土審議会、社会資本整備審議会、それらの分科会はすべて全面公開されています。公的な諮問機関であるこれら審議会が全面公開されているのに、国交大臣の私的諮問機関である有識者会議がダム検証の行方に関心を抱く一般市民に対して非公開のままであることがどうして許されるのでしょうか。有識者会議の非公開はあまりにも時代遅れであると言わざるを得ません。一般市民に対して非公開にする理由を明らかにしてください。
4 閣議決定違反について
閣議決定{平成11年4月27日)「審議会等の整理合理化に関する基本的計画 別紙3 審議会等の運営に関する指針」には「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。」と定められ、同閣議決定「別紙4 懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」で有識者会議のような合議体についても「審議会等の公開に係る措置に準ずる」と記されています。ところが、有識者会議は会議が非公開で、議事録の公開も2ヶ月程度経ってからですから、「速やかに」というには程遠いものです。しかも、発言者の名は伏せられており、発言内容について発言者の責任が問われないようにされています。
このように、有識者会議は会議が非公開で、議事録も公開に値しないものですから、その理由を明示しなければなりませんが、有識者会議はそのこともしておらず、閣議決定に明らかに違反しています。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。
5 科学者としての責務について
有識者会議の各委員はそれぞれ優れた業績を持つ科学者であると思います。科学者は常に、そして誰に対しても、自らの理念や論理に基づく科学的思考の内実を説明する責任があり、自明のこととして有識者会議の議論は公開で行い、会議での発言には責任が伴うものでなければなりません。各委員は傍聴を希望する市民に対して科学者としての考えを明らかにする責務があります。このことについて各委員の見解を明らかにしてください。
以上の5点に対するご回答をそれぞれの項目について3月9日(金)までに下記の連絡先へメールまたはFAXでお送りくださるよう、お願いいたします。
貴有識者会議の各委員が科学者としての良心に基づき、本公開質問書に対し、誠意ある対応をされることを期待いたします。
2012年3月1日
「ダム検証のあり方を問う科学者の会」
呼びかけ人:
今本博健(京都大学名誉教授)(代表)
川村晃生(慶応大学教授) (代表)
宇沢弘文(東京大学名誉教授)
牛山積(早稲田大学名誉教授)
大熊孝(新潟大学名誉教授)
奥西一夫(京都大学名誉教授)
関良基(拓殖大学准教授)(事務局)
冨永靖徳(お茶の水女子大学名誉教授)
西薗大実(群馬大学教授)
原科幸彦(東京工業大学教授)
湯浅欽史(元都立大学教授)





