☆どのみちこの道!☆

いらっしゃいませ♪
日常+本や映画の感想を思うままに綴っています。

獣の奏者 【探求編】 【完結編】・・・・上橋 菜穂子

2009年11月23日 | 
あの“降臨の野”での奇跡から十一年後―。
ある闘蛇村で突然“牙”の大量死が起こる。大公にその原因を探るよう命じられたエリンは、“牙”の死の真相を探るうちに、歴史の闇に埋もれていた、驚くべき事実に行きあたる。最古の闘蛇村に連綿と伝えられてきた、遠き民の血筋。王祖ジエと闘蛇との思いがけぬつながり。そして、母ソヨンの死に秘められていた思い。自らも母となったエリンは、すべてを知ったとき、母とは別の道を歩みはじめる…。(BOOKデーターベースより)




【王獣編】の読後、その後のエリンちゃんやリランがどうなるんだろーかと想像しまくりな結末だったので非常に嬉しい続編でした。でも、出版されていた事に、気がついたのはつい最近・・・。
近所の本屋さんの事だけど、何でこのシリーズって、児童本のところに置くのよ。見つけられないじゃん。大人もバリバリ読むっちゅーねん!

購入後は2冊一気読みでした。
エリンちゃんが、妻になっていて、子供と夫とで、ひとまず平和に暮している事に、驚きと喜びを感じつつ読み始めました。
が、読み進むと、更に過酷な運命の中で、必死に答えを探し、葛藤するエリンから目が離せませんでした。
すべてを知ったエリンは、母ソヨンとは違う選択をします。我が子に「あなたにまっさらな未来をかならず・・・」とエリンは願い、王獣の背に乗った。ソヨンは大罪を犯し自らの命を犠牲にエリンを助けた。選択は違えど、望みは同じ。すべては繋がっているんだなぁ。
とにかく、ずっと重く苦しいお話でしたが、どうにもならない中、決意して前に進んでいくエリンと、遠く離れたところで寄り添う決意する夫の優しさや息子の健気さ、リランとエクの王獣の子供達にも涙でした。
本当にすごい物語でした。帯で、佐藤多佳子さんが書かれているように、地球と過去と現在と未来について思わずにいられない、壮大なお話でした。


グラスホッパー・・・・伊坂幸太郎

2009年09月05日 | 
あらすじ

妻の復讐を目論む元教師「鈴木」。自殺専門の殺し屋「鯨」。ナイフ使いの天才「蝉」。3人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!(Web KADOKAWAより)






背表紙のあらすじに、「復讐を横取りされた。嘘?」・・・・と記述、なんのこっちゃわからないまま購入したが、読み始めたら一気読み

私的には、「鯨」のキャラが懲りすぎだと思うの。冷めた目で読んでたので、後半は本の世界に入れずでしたが、鈴木の奮闘ぶり&結末は「そうなるのかーーー」と驚きました。
でも、よく考えれば、登場人物がみーんな、鈴木でさえ元を正せば悪人という事になるので、スッキリした読後・・・と思ったけどやっぱりスッキリできない。
可愛らしい兄弟の、「バカジャナイノー」っていうセリフが、思い返すと、すごく黒いものに思えてしましました。
めずらしく、仙台が舞台ではなく、オシャレっぽくない伊坂本でした

夏の庭 The Friends ・・・・湯本香樹実

2009年08月19日 | 
児童文学者協会新人賞 児童文芸新人賞 ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞他受賞多数 
12歳の夏、ぼくたちは「死」について知りたいと思った。そして、もうすぐ死ぬんじゃないかと噂される、一人暮らしのおじいさんを見張り始めて…? 三人の少年と孤独な老人のかけがえのない夏を描き、世界十数ヵ国で出版され、映画化もされた話題作。
(出版社/著者からの内容紹介)




古本屋さんで100円になっていたので購入。途中から「これ昔読んだ」って気がついたけれど、投げ出すことなくひきこまれました。
購入した数冊の中で、ピカイチに良かったです
読後、主人公の男の子達が感じたであろう感情や感覚、ワタシが忘れないと思っていたのに、大人になるにつれて忘れてしまった記憶と感覚がよみがえる感じがしました。最近、「生きているってなんだろう」とか「死ぬとき」の事を考える事があったのですが、原点に戻るような新鮮さが得られた本でした。
よい本に再びめぐりあえました

神の守り人(来訪編)(帰還編)・・・上橋菜穂子

2009年08月01日 | 
あらすじ
女用心棒バルサは逡巡の末、人買いの手から幼い兄妹を助けてしまう。ふたりには恐ろしい秘密が隠されていた。ロタ王国を揺るがす力を秘めた少女アスラを巡り、“猟犬”と呼ばれる呪術師たちが動き出す。タンダの身を案じながらも、アスラを守って逃げるバルサ。追いすがる“猟犬”たち。バルサは幼い頃から培った逃亡の技と経験を頼りに、陰謀と裏切りの闇の中をひたすら駆け抜ける。(「BOOK」データベースより)



いつもながら、1ペエジ目から入り込んでしまって、一気読みするしかない状況に陥ります。他の事ができない。目が離せないドキドキ感をまちがいなく味あわせてくれる作品でした

バルサは強い用心棒ですが、アスラに宿るのはこの世のものではない、残忍で容赦ない血を欲する「タルハマヤ」という神の鬼子です。アスラがタルハマヤに頼る事に罪悪感をもたずにいる時、バルサがアスラにいうセリフで、「よい人を救ってくれて、悪人を罰してくれる神には出であった事がない。そんな神がいるなら、この世にこんなにも不幸があるはずがない」というような事を言います。
とてもストレートで、ファンタジー本にしては夢のないセリフだけど事実だなぁーと、何度も反復しつつ頷きまくりました。
「守り人」シリーズに出てきた子供はバルサに出会って、確実に大人になります。アスラもチキサも。しかも、とても強くよく考えられるコに。読んでる子供達も、きっと一歩大人になれる物語なんじゃないかなーと思いました

次は「旅人」シリーズ第二弾。
待ち遠しいっ。早く文庫ででてくれーー
 



終末のフール・・・・伊坂幸太郎

2009年07月29日 | 
あらすじ

2XXX年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。犯罪がはびこり、秩序は崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は、いかにそれぞれの人生を送るのか?



まず、「フール」の意味がわからなくて辞書で調べた(←アホ)
1 愚か者。ばか者。
2 だますこと。また、だまされる人。
なるほど~。
B級映画で散々観たような設定の中でも、伊坂本で読むとオシャレで涼やかな雰囲気が漂うなぁ~と妙に感心してしまいました。
中でも「土屋」の存在がワタシは好きだと思いました。こういう登場人物を入れてくるところがココロニクイ。
あと、文庫の吉野仁さんの解説、非常に良いワと思いました。



いっちばん・・・・・畠中 恵

2009年06月21日 | 
あらすじ

摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいる日本橋大店の若だんな・一太郎に持ち込まれるは、訳ありの頼み事やらお江戸を騒がす難事件。お馴染みの妖がオールキャストで活躍する「いっちばん」、厚化粧のお雛ちゃんの素顔が明らかになる「ひなのちよがみ」の他三編を収録。
大人気「しゃばけ」シリーズ第七弾。(「BOOK」データベースより)



古本屋さんで、「うそうそ」と共に各300円でGET
もちろん「うそうそ」続きですぐに読みました。が、こっちの方がだいぶと好みです
特に、若旦那が天狗に誘拐されちゃう『天狗の使い魔』と、若旦那の幼なじみの和菓子職人の栄吉のお話、『餡子は甘いか』が特に好きでした
賢い若旦那の知恵が炸裂して個性的な妖達が活躍するだけでなく、切なくなったり、勇気が出たり、胸が熱くなるところがこのシリーズの魅力なのですが、いつもよりさらに読後は優しい気持ちになれました

「うそうそ」・・・・畠中 恵

2009年06月21日 | 
あらすじ

若だんな、生まれて初めて旅に出る!相変わらずひ弱で、怪我まで負った若だんなを、両親は箱根へ湯治にやることに。ところが道中、頼りの手代たちとはぐれた上に、宿では侍たちにさらわれて、山では天狗に襲撃される災難続き。しかも箱根の山神の怒りが原因らしい奇妙な地震も頻発し―。若だんなは無事に帰れるの?妖たちも大活躍の「しゃばけ」シリーズ第5弾は、待望の長編。
(「BOOK」データベースより)



だいぶ前にテレビで放送されているのを先に見てしまったので、結末は知っているつもりでしたが、細かいところ忘れてたので楽しめました
久々の長編との事ですが、ワタシは短編の方が好きかなぁ・・・
読むたびに面白いシリーズなので、期待しすぎというのもあるのかもしれませんが、めまくるしい展開とスケールが大きいわりに、あっけなかったような気がしました。
とはいえ、楽しみなシリーズなので次に期待

その日のまえに・・・・重松清

2009年05月03日 | 
僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。
昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。(「BOOK」データベースより)



本の帯には、「涙!涙!!涙!!!」とありましたが、私は涙はでませんでした。
ただただ、送る側として、いや、もしかすると送られる時に、死とどう向き合うべきなのか考えさせられる本でした。考えても考えがまとまりませんでしたけど。

『その日のまえに』『その日』『その日のあとで』では、送る側と送られる側、それぞれ苦しみ、いたわりあい、思いあいながら「その日」を迎えます。
悲しみとの付き合い方覚えざるを得ない、夫の辛さに胸をえぐられ、妻の父の最期の言葉が忘れられません。

重松清の本、久々に読みましたが上手いなぁ。

夜は短し歩けよ乙女・・・森見登美彦

2009年04月18日 | 
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり
。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。
山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。 内容(「BOOK」データベースより)



感想

ともすればクドイ&ウザクなりがちな文章なのですが、テンポがいいせいか、個性的で新しいと思え、最後までオモチロく読めました。な~んかこんな感じで京都が舞台の本読んだな~と思っていたら、同じ作家さんの作品でした。
でも「太陽の塔」、ブログにも書いているのに、結末が思い出せなーーい(汗)

とても感銘を受けたとか、お腹を抱えて笑った・・・・というような感じではないのですが、読後すぐ初めから読み返してしまう作品でした。漫画や舞台になったら面白いんだろうなーと思ったら、もうすでになっていました(笑)

大学生の先輩と黒髪の乙女の学生生活を読んでいると、筆者はオモチロイ学生生活をおくってこられたんだろうな~と羨ましくなりました。
そして猛烈に酒が飲みたくなる~。





英雄の書 上・下・・・・宮部 みゆき

2009年02月26日 | 
「あれ」が獄を破った。戦いが始まる。
邪悪は、何と巧みに人の心に付けいるのだろうか。
宮部みゆきが放つ、戦慄の最新刊。




「英雄」に取り憑かれ召喚者となり、クラスメイトを殺傷した兄の森崎大樹は姿を消した。妹、友理子は兄の部屋から1冊の本を見つけ、兄を探すために「無名の地」に発ち、「英雄」を追う、「オルキャスト」の「ユーリ」として旅にでる。

ここでの「英雄」とは、すべての偉業の源泉の物語であり、美しく尊い物語と同じく暗く深い闇を持つもの。時に「黄衣の王」という。



冒頭から、ただならぬ雰囲気で、少々一度では理解難解な部分もあり、読み進みつつ、また読み返したりしながらも一気読みでした。

言葉をあやつり、読み書きができる人間にとって、「物語」の影響力は強大で、時に希望になり、時に負となるということ。この本だけでなく、すべての物語に対して、読む側の力量も問われているような気になってきました。
著者の本では、以前からなんとなーく感じてきたことなのですが、この作品は直接的に感じられました。

旅を終え、「オルキャストのユーリ」から森崎友理子に戻ったあとのエピローグは、とても宮部みゆき本らしい結末でにやけました。
内容が厳しいだけに、緊張して読んでいましたが、最後に肩の力が抜けました。
上巻の隅っこにアジュも見つけたし~~

読み応えありまくりで満足しました