ある程度の時間が経ち、痛みも和らいだ頃、ボクはS市に戻った
けれど、雪音の居場所はわからずじまいだった
ちょうど、3年が経とうとしていた「再会の約束」は、反故になったようだ
それでいい、ボクはようやく独りで歩くことに慣れてきたようだ
となりに雪音が歩いていないことにも
落ち着くと、気持ちの穴が気になり始めた何年経っても、これを埋める手段は
見つけられなかった 気持ちをごまかしながらボクはまた、クラブ通いをし出した
以前のように、レコードを回し、飲み、語り何もかもが元に戻ったような
錯覚さえ覚えた
今日もまたボクは地下への階段を下り、怪しげなロック談義を繰り広げるために、
地下街の人々、すなわち、サブタレイニアンズになるのだ
階段を降り、エントランスの重たいドアを開けて入ると、いつもの顔たちが
「ミノルさん、久々だねぇ、今日もかっこいいの聴かせてね」
・・・・元通り?いや、そんなはずはないすると、ミチオが言った「今日は珍しい人が来てるよ」と、
奥の方のソファーを指差した ボクは完全に固っってしまった
そのソファーには雪音が座っていたから
動転しながらもゆっくりと奥のソファーまで歩いて行った、雪音と眼が合う
「久しぶりだね、」先に口を開いたのは雪音だった「あ、あぁ」と、ボクは、しどろもどろ答えた
眼で合図されたので、雪音のとなりに腰を下ろした「つんつん」って言いながら雪音がボクの肩をつついた
「何?」「あのね・・・・あれからたいへんだったの・・・」「ミノルさんがいないと」って
思った時にはもう遅かったんだよ「うん・・・」!!!突然ブースから、ラウドなプッシーガロアの曲が
爆音で流れたクラブの照明は、めいっぱい落ちていて暗かった雪音が急にボクの横にくっついてきた
「なんだよ、押すなよ」ってちょっと怒ってみた時に、耳元で雪音が言った
「ねえ、いちゃいちゃしよっか?」(爆) FIN・・・・