虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

世界はラヴとピースでできている7

2011-11-10 20:41:32 | 世界はラヴとピースでできている1
曲の間ずっと、長いキスをボクたちは続けた「レディステディゴー」のイントロが鳴り出したので
名残惜しかったけどボクはミカから唇を離した、そして言った
「まだ寒い?」「うん、ちょっと」とミカが言う
なのでミカを銭湯に連れて行くことにした
「お風呂~」「お風呂~」ってミカが歌いだした
どうやら、銭湯なんてほとんど行ったことがないらしく、妙にはしゃいでいる
ボクたちのジャケットはまだ、すっかり乾いていないので
クローゼットからスウェードジャケットを羽織った、ミカはホコモモラのAラインのジャケットにしたみたいだった
ちょっとかぁいいぞと、思ってしまったが、ヴェスパを引っ張り出してキックスターターを
一蹴りしてみた、かからない・・・雨に濡れたせいだな
何回か続けてると、目覚めた
白煙をおもいきりまき散らしながら・・・
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世界はラヴとピースでできている6

2011-11-07 21:07:56 | 世界はラヴとピースでできている1
ボクたちはソファに並んで座り、熱いココアを飲んだ
ミカは両手でマグカップをはさむように持ち、「あちちっ」って言いながら
「ふぅふぅ」しながらゆっくりと飲んでいた
ボクは、「ねえ、温まった?」
すかさずミカは「ぶんぶん」と首を振ったので
ミカの顔を両手ではさみ、引き寄せた 
頬がとても冷たい「まだ寒い?」「うんうん」って無言で頷くので
思わず抱き寄せて頬と頬をくっつけてミカの背中にまわした腕に
力を込めた、頬を離してミカの唇にキスをした、触れるだけの、小さなキス
「うん?」ミカが何か言っている「もっと」
どっきりした「ば、ばか何言ってんだよ」(少し照れてしまった)
名残惜しいのだがミカから唇を離して
冷めかけたココアをボクらは飲み干した
ミカがボクのCD棚からごそごそと何か探している
「何が聴きたいの?」「ん・・・パンク」
「あんまり持ってないぞー」
でも、どうやらクラッシュを見つけたらしい
「かけていい?」「どうぞ」と、ボク
すると、ステイフリーやハマースミスやらが
ガンガン鳴り出したひと通りかけたら
シメはクラッシュシティロッカーズだった
次は何にする?」なんて訊いてくるものだからボクは
「ジェネレーションX」なんて言ってみた
ミカのチョイスはもちろん
「キスミーデッドリィ」だ
映画「D・O・A」を思い出した
このギターのイントロ練習したんだよな
気が付くとミカはまたボクのギターをかかえて何か
うたおうとしていた
聴きたかったけどボクはギターを取り上げて
曲の間ずっとデッドリィなキスを続けた
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世界はラヴとピースでできている5

2011-11-06 16:10:37 | 世界はラヴとピースでできている1
海岸線を抜けてようやく街に差し掛かった
あとは駅前の国道を横切り、右に勾配10%の急坂を登ればボクたちの家だ
「ミカ~っだいじょうぶかー?もうすぐ着くぞーっ」「・・・・」
そういえばさっきから歌も聴こえないし、静かだと思ったら
寒くてボクにしがみついてるのに必死だったらしい
「もう、着くからね」「寒かったんだね」ミカはボクの背中を
小さく「ばかばかばか・・・」って言いながら叩き続けていた
信号を右折して坂を登る ギアをセカンドに落としてゆっくりと(空冷にはきつい)
右手の石造りの教会を過ぎれば、あと信号ひとつだ
ようやく信号までたどり着き、信号を渡ってヴェスパを左に寄せた
「着いたよ、ミカ」「うん」バイクを降りたら二人とも、ふらふらしながら
玄関まで歩いた
鍵を開けて家の中に入ってまず、ボクたちは抱き合ってみた
冷えているうえに服は濡れていたでも、この時も何故かボクは
暖かかったんだ
とりあえず着替えて濡れた服はハンガーにかけてみた

気持ちが少し落ち着いたところでボクは、キッチンに立った
冷蔵庫から牛乳パックを取り出した
サービス券が付いている
10枚ためるともう一本もらえるやつだ
鍋にミルクを入れて生クリームをホイップして
急いでココアを作り始めた
グランマニエを入れたら温まるかな?と、思って
結構入れた、オレンジの香りがした  
「ヘーゼルナッツ」のシロップでもよかったんだけどね
グランマニエのほうがすきー
「生クリームどのくらい?」「たくさん たくさん」ってミカが言う
ボクは鍋からカップにココアを注いでミカに渡しながら言った
「熱いから気を付けてね」
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世界はラヴとピースでできている4

2011-11-04 15:47:36 | 世界はラヴとピースでできている1
土砂降りの中をボクたちは走り続けた、
15分も走ればすっかりずぶ濡れで
着ているものもずっしり重たくなってきた
相変わらず雨の勢いはおさまることなく、顔は、痛い
すっかり身体は冷えてきたし、靴の中なんてもう、水溜りみたいに
なってる
そこまで濡れると、もう、どうでもよくなってきた
信号待ちで、ポケットからタバコをさぐって
一本火をつけた
でもタバコはすぐに濡れて吸えなくなった
「さむいー」「さむいよー」と、後ろでミカが言っていた
タバコはあきらめてゆっくりとアクセルを開いて
走り出した 
あと、ほんの10分くらいで着くはずだ
ミカはボクの身体に手をしっかりとまわして、頭を背中にくっつけてしがみついていた
お互いにずぶ濡れで、冷え切っているので
体温など伝わるはずもないのだが、その時ボクは
とても暖かかった
愛だな、って思った
ミカは走っているあいだずっと
「さむいー」「さむいー」「ココアー」「ココアー」ってうたっていた
そう、得意の歌である
どうやら、帰ったらココアを作れといっているらしい
クラッチを握る手に力が入らなくなってきたけれど
ミカにココアを飲ませるために、もうちょっとだけ
スピードをあげたんだ

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世界はラヴとピースでできている3

2011-10-31 15:47:36 | 世界はラヴとピースでできている1
しかたがないので
ボクはできるだけアクセルを
めいっぱい開けて、
真っ黒い雲が迫ってくる国道を
どうにでもなれ、と走り出してしまった
ミカが「大丈夫」って言うと
ほんとに大丈夫な気がしてしまうのが
ボクの悪い癖だ
ボクたちは、右に、山 左には海岸を見ながら
走った
みちろん、雨粒は次第に激しくなってきた
ゴーグルで覆われていない部分の顔にあたる
雨はスピードにより、尋常じゃなく「痛い」
ゴーグル無しだったら眼を開けていられないだろう
それでも、止まることはできないので
走り続けるしかなかった
ボクたちの目指す街まであと15分というところで
いよいよスコールみたいな本降りになった
「このまま走るけどいい?」とボク
「もっちろん」と返事
さすがミカだ
「そう言うと思っていたよ」
それで決まりだった

ただ、心配だったのは
背中に背負っているギターと、斜め掛けしている
エフェクターや、シールドの入ったバッグだった
雨を避ける術もなく、ボクは
全開のアクセルは戻さなかった
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世界はラヴとピースでできている 2

2011-10-18 19:00:11 | 世界はラヴとピースでできている1
空冷2ストロークの甲高いエンジン音と共にぼくらは30キロ先の街に向かった
100ccの非力なエンジンなので、街までは40分ぐらい
今日はタンデムだから1時間くらいかかるだろう
ぼくたちの日常は先を読まない(もっとも、読む余裕などなかったのだが)

まあ、その日も、いつも通りだった
いちおう、海岸線を走ることもあって、彼女はスウェードの皮ジャン、
ぼくは革のグローブを両手に、エンジニアブーツを履いて、
(おきまりの)アーミーパーカーを羽織って、オーウェンのヘルメット(もちろんハーフキャップで
ハルシオンのゴーグルをして、気分だけモッズだった

夕方からバンドの練習があったので、ぼくとミカはあろうことか
それぞれ、ソフトケースに入れたギターを背中にスクーター(100ccだ)に
二人乗りで出かけてしまったのだ
国道を走り、街を隔てる長いトンネルを抜けたあたりでゴーグルに大粒の水滴が当たった
「やばいな・・・」 ぼくは慌てて路肩にヴェスパを停めて、ゴーグルを外してみた
ぽつり ぽつり雨粒が落ちてきている、空が暗くなってきた
「どうしよっか」ぼくは暗い空を見上げて言う、「大丈夫よ~」
ミカはいつもどんな局面でも口癖のように「大丈夫」って言うんだ
でも、楽観的なその言葉に何度も何度もぼくは救われてきた
「仕方ないから走るか」、もう少しだし そう言ってぼくは
左手でギアを入れてアクセルを開けた
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プロローグ 世界はラヴとピースでできている 1

2011-10-17 21:39:55 | 世界はラヴとピースでできている1
ぼくはソファで本のページをめくっていた
夏の午後、ステレオからはギャラクシィ500がヴェルヴェットの影のように
流れていた「ねえ、どっか涼しいとこ行こうか?」
ううん、行かない
ミカはフローリングの床に直に座って、ぼくのギターを抱えて何か変わったうたを
うたっていた
よく聴くとオリジナルらしい
可愛らしいのに激しさを持った言葉がそのメロディーには載っていた
ところどころ切ない言葉が刺さる、でも愛が感じられる
彼女はでたらめな歌詞でうたうのが得意だった
時々、そのでたらめな曲を、自分のバンドにいただいたことがある
今思えば盗作だな
ミカは、たいして弾けもしないギターを抱えたまま、しばらくうたっていた
ぼくは言う、「どうしていつもラブソングばかりうたうの?」
すると、「だってこの世界は「ラヴ&ピースでできてるんだよ」
そう言うのだ
そのころのぼくはそれを軽く聞き流していた
愛と平和だなんて
ぼくはまだ、その重さを知らずにいた
「ちょっとヴェスパにガソリン入れてくるね」
「一緒に行く」 笑いながらミカはもうタンデムシートにまたがっていた
キックスターターで始動して、2ストローク特有の白煙を
撒き散らしてぼくらは走りだした
アタマの中では
きみのうたが鳴っていた
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