虹はポケットの中に

再スタート
何度でも生まれ変わる
自分の音を探す旅

ロックンロールのつくりかた4

2012-04-30 21:41:34 | ロックンロールのつくりかた
それから、ボクとマサは定期的にスタジオに入って、セッションをするようになった
何度か続けていくうちに、初めは、ばらばらだった音が
相手の演奏の癖がわかるようになってくると、ピッタリと合う瞬間が増えてきたんだ
きっと、互いに、何かしら手応えみたいなものを感じていたんだと思う
そのうち、マサはスタジオにレコーダーを持ち込んで、毎回のセッションを
記録するようになった
セッションと言えば聞こえはいいが、その日の気分や、イメージで、全くの即興演奏
だった、でもこれが、功を奏したのだと後になって思った
回を重ねるごとに、息は合って、フレージングなどの、
感覚は研ぎ澄まされた
ある日、スタジオでマサが言った「ライヴの誘いがあるんだけど・・・やりますか?」

「機は熟した」
ボクはリヴァーヴのスイッチを「カチリ」と踏んだ

ロックンロールのつくりかた3

2012-04-25 16:07:33 | ロックンロールのつくりかた
次の週に、マサは「週末に曲を持っていくので、録音しましょう」と、
連絡をくれたマサは続けて「・・・あの、たぶん、終電無くなっちゃう
と思うので泊まっていい?」
「もちろん、また旨いワイン用意しとくよ」
週末の夜遅くなってからマサは、ギターを背負って、両手には
アンプやエフェクト類の機材をぶらさげてやってきた
ボクたちは早々に「結線」し始めた
機材、といっても4トラのMTRにリヴァーヴユニットや、コンパクトエフェクター、
チープなリズムボックスを組み合わせただけだった
ただ、マイクだけはsure beta-57を使った
マサが弾き語りのように歌い出し、ボクはアドリブでギターを合わせていった
音数は少ないけれど、シンプルでとてもいい感じのデモが録れた
4曲ぐらい録ったところで0:00をまわってしまったのでレコーディングを
中断して、ボクはワインのコルクを抜いた
「今日はキュヴェ・ミティークだぞぉ~」「これ、旨いんだよな」

今日も真夜中に、男二人でグラスを合わせて乾杯であった

列車は夜通し前進し続けた

新連載について

2012-04-24 14:29:41 | 日記
いつものように後先考えずに書き始めてしまった物語は
ある、ロックンロールバンドの物語です
行き先も決めずに発車させた列車、
理由はロックンロールをつくるため
それだけのことでした

以前の連載も、カテゴリーにまとめてあります
よかったら御一読を

ロックンロールのつくりかた2

2012-04-24 14:11:26 | ロックンロールのつくりかた
結局、ワインは2本とも空いてしまい、マサは帰れなくなって
ボクのところに泊まることになった
話は尽きることなく、お互いの考える音楽のこと、
これからこのバンドをどんなふうにやっていくか、
何が良くて、何が良くないか、とか、
かっこいいこととかっこわるいことについて、とか、まるで
これから始まるロックンロールの細かい部品を創るように
ボクらは話した
眼を輝かせて、キラキラした「夢」を語ったその夜から
ボクとマサのバンドは動き出した
唐突にマサが「ボク、作った曲が少しあるので、
次に来るときに持ってきますよ、デモテープつくりましょう」
そしてボクとマサは二人でロックンロールの列車を
発車させた

新連載 ロックンロールのつくりかた1

2012-04-23 21:49:57 | ロックンロールのつくりかた
 
「ぼくと、一緒にバンドやってくれませんか?」
突然、マサが言った
「ん?」ボクはきょとんとしてマサの顔を見た
「あの・・・、テキトーじゃなくて、わりと真剣な感じで・・」
「いいよ」と、少し考えてボクは言った
「メンバーは、二人でやりたいんです、他の音は、いらないっちゅうか・・・・」
ボクはギター弾き、マサもギターだった「どうですか?」
「いいと思うよ、かえってかっこいいんじゃないか?」
それからボクとマサはいろいろなことを話した
ヴェルヴェットやルー・リードのこと、ノーニューヨークや、裸のラリーズの話
話し出すと止まらなくなるのでボクたちはとりあえず
安い赤ワインを一本空けて飲みだした
この、新しい音への旅の始まる予感にボクたちはわくわくしていた
ワインボトルはすぐに空になった
ボクは次にフランスのヴァン・ド・ペイを選んで
コルクを抜いた

止まることの無いロックンロールの夜に乾杯するために

ソライロ

2012-04-22 21:52:05 | 日記
ソライロだ
目に映るモノすべてが

雲の切れ間に観えるのも
ソライロ
あなたの眼に映るのもみんな
ソライロ
あの、過ぎた日の夏草も
聴こえてくる音さえも
ソライロだった
この「ソライロ」を
僕らは夏と
呼ぶことになる