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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

文化の日 文楽に対して劇団四季の「ライオン・キング」に学べという橋下徹大阪市長の文化破壊

2012年11月03日 | 橋下維新の会とハシズム

 

どっちもお人形さんが出てくるから?

まず、BLOGOSに転載された橋下市長のツイート集「なぜ劇団四季がここまで成功したのか。そのマネジメントを含めて、文楽界はしっかりと学ばなければならない - 10月29日のツイート」より 。

文化の日まで、突っ込むのを取っておきました(笑)。


昨日、劇団四季のライオンキングを鑑賞した。3時間の公演。面白かったし楽しかった。ストーリーは分かりやすいものだし、終わった後に感動がある。小難しい理屈抜きに楽しい。子どもを連れて行ったら喜ぶだろうなと思った。チケット販売初日に10万枚売れたらしい。

これから大阪でロングラン公演が行われ、とてつもない人が観劇するであろう。しかももう、日本版は15年目に突入するらしい。このライオンキングの演出、文楽の要素が入っているとのこと。後で教えてもらったのだが、あーそうかと思った。

文楽もやりようによっては、こうなるんだな。もちろん古典は大切だし、それがあったからライオンキングの演出にもつながったんだろうが、それでもライオンキングは古典そのものではない。当然だが、このライオンキング、行政の補助金は一切入っていない。後援名義のみ。

ライオンキングが芸術・文化であることは誰も否定しない。これだけの人を魅了し、税金の投入はなし。一方、劇団員の収入の保証はないし、客が入らなければそれで終わりと言う世界。だからこそ客を楽しませることに徹する。そして演出には、文楽の要素を活用している

文楽振興のための最大にして最高のヒントが、この劇団四季「ライオンキング」にあるように感じた。なぜ劇団四季がここまで成功したのか。そのマネジメントを含めて、文楽界はしっかりと学ばなければならない。伝統文化とミュージカルは違うと言う言い訳は言えない。

文楽界と劇団四季の、メンバーの在り方、組織形態、マネジメント方法などなど比較しながら、何がどう違うのか、採り入れられるところはないのか、しっかり 勉強しなければならない。古典は守りつつ、それでも文楽を活用した演出がここまで成功している理由を探る。大きなヒントだ。 

 

 

最初に断っておきますが、私もミュージカルは大好きで、劇団四季も「エビータ」と「キャッツ」は観に行っております。「ライオン・キング」は四季では観ていませんが、オリジナルのディズニーアニメは何度も観ています。ミュージカルのライオン・キングはセットもキャラクターもすごいらしいですから、それは市長も楽しまれたでしょう。

しかし、「文楽もやりようによっては、こうなるんだな。」ってのは無茶でしょう(笑)。だいたい、ライオン・キングってディズニーのアニメ、ブロードウェー作品で、しかも、手塚治虫の「ジャングル大帝」のパクリと言う面もあることが指摘されています。それを、四季が日本に持ってきたわけです。そりゃあ、売れるやろ。

お人形さんを使うから、なるほど文楽の演出をパクっているかもしれませんが、だからなんだというんでしょうか。ライオン・キングが文楽の演出を取り入れているならそれは文楽の偉大さを示す証拠にはなっても、文楽がライオンキングに学ばなければならない理由にはなりません。

私や橋下市長くらいの文化程度だと、確かにライオン・キングはわかりやすいですが、ライオン・キングにたくさん観客が集まっているからと言って、文楽に劇団四季のライオン・キングに学べとは恥ずかしくてなかなか言えることじゃありません。

はっきり言って、四季でさえ「オペラ座の怪人」とか外国から持ってきた作品は観客が入りますが、オリジナル作品では苦戦しています。文化ではオリジナリティは非常に大事な要素です。橋下市長がこの前観劇した「曽根崎心中」なんて、近松門左衛門の350年前のオリジナル作品ですからね。近松はシェークスピアですよ、欧米で言えば。

橋下氏が言っているのは、王立のロイヤル・シェークスピア・カンパニーに、人気があるからミスター・ビーンの芝居から学べというようなもんです(ちょっと例が古いか)。

橋下市長 生涯2度目の文楽観劇で、近松門左衛門の曽根崎心中に対して「演出不足」とは何様のつもりか



それにしても、橋下市長は一回屈辱を感じるとしつこいです。文楽問題では自分がレベルが低いと言われたようで、我慢ならないのでしょう。ちなみに、今日、文化の日のツイートも、今回の週刊朝日は、個人の人格否定、危険な人格の根拠として、血脈を利用しようとした。この「ロジック」が問題 - 11月03日のツイート」です。文化のぶの字もありません。とにかく執拗です。

文化に対しては、橋下市長は人が集まるか、儲かるかと言う視点しかお持ちじゃないので、文化の日だろうが文化的な発言なんて望むべくもありませんが。

こういうのを文化っていうのかどうか知りませんが、橋下市長から出てくるプランはカジノ、大阪城モトクロス、道頓堀プールなど。他方で、府知事時代に国際児童文学館は廃止。知事時代に約6300万円の府補助金を全額カットした大阪フィルハーモニー交響楽団に対しては、市からの助成金1億1000万円を25%カット。文楽も補助金25%カット。全国で唯一の公立楽団である大阪市音楽団はなんと廃止。

さらに、橋下市長の年1億4000万円の補助金廃止方針で、年間40万人の入館者があったキッズプラザ大阪も閉館を検討しだしています。子どもたちが安く遊べる場所をなくして、高いお金を出してキッザニアや、それこそ劇団四季のミュージカルを見に行けとでもいうのでしょうか。

橋下市長の有名なツイートには

「こういうロジックも成り立つんです。なぜストリップに助成金はダメなのか。自称インテリや役所は文楽やクラシックだけを最上のものとする。これは価値観の違いだけ。ストリップも芸術ですよ。だからアーツカウンシル」

というものもあり、こういう人と文化や芸術の話をしても仕方がないかと言う気持ちにもなります。財政や経済を言うなら、上記の補助金は大阪市の財政全体からみるとカットしてもわずかな額です。それより早く具体的な大阪経済振興策を打ち出したらどうなんでしょうか。

大阪府が起債許可団体に転落 大阪を破産させる経済無策の橋下・松井維新の会に国政進出の資格なし

 

まともなアーツカウンシル(「芸術評議会」。芸術振興を目的とした第三者機関)が作られれば、世界無形文化遺産で人間国宝がたくさんいらっしゃる文楽や、あの朝比奈隆が育てた世界的な交響楽団である大阪フィルや、90年の歴史を誇り日本最古の吹奏楽団である大阪市音楽団より、カジノやモトクロス(やストリップ)を優先することになるわけがありません。

時の為政者の好みで文化政策が左右されないためにこそ、アーツカウンシルはあるのです。

平清盛を大河ドラマでやっていますが、諸行無常のこの世の中で、人の世に残っていくのは平氏ではなく「平家物語」という文化です。橋下市長がいつまでも学ばず浪速のタリバンのままでいるのなら、大阪と日本の文化芸術のために、政治の舞台からは消えてもらった方がいいのです。

恥をかいたから補助金を凍結したというのがすべて 浪速のタリバン橋下市長vs文楽問題を総括する


参考ブログ

秋原葉月氏のAfternoon Cafeより

オレ様好みでない文化・芸術は存在価値なしby橋下氏(1)

オレ様好みでない文化・芸術は存在価値なしby橋下氏(2)

 

拙ブログより浪速姫様からの寄稿

世界無形遺産の文楽を滅ぼそうとする橋下大阪市長を、浪速の姫が成敗!

世界無形文化遺産の文楽を滅ぼそうとする橋下大阪市長は浪速のタリバンなのか

 

芸術こそ命。

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年40万人…「キッズプラザ大阪」閉館検討 橋下市長の補助金廃止方針で

2012.11.2 10:10
補助金廃止の方針で、閉館が検討される「キッズプラザ大阪」=1日、大阪市北区(松永渉平撮影)

補助金廃止の方針で、閉館が検討される「キッズプラザ大阪」=1日、大阪市北区(松永渉平撮影)

 日本初の本格的な子供向け博物館「キッズプラザ大阪」(大阪市北区)を運営する大阪市の外郭団体「市教育振興公社」が、市の補助金見直し方針に伴 い、平成29年度に同プラザの閉館を検討していることが1日、分かった。同公社は「補助金が打ち切られれば運営は困難」としており、年間約40万人が訪れ る人気施設が姿を消す可能性が出てきた。

年1億4千万円をカット

 キッズプラザ大阪は複合施設「扇町キッズパーク」内にあり、「遊びながら学べる」をコンセプトに平成9(1997)年7月に開館。実験や職業体験などを通じて社会勉強を行うことができる。

 市が土地信託事業として整備し、運営費として年約1億4千万円と賃料約3億5千万円を補助してきた。しかし、外郭団体の財政関与を見直す橋下徹市長の方針で平成28年度末に運営補助金を廃止、賃料負担も見直す方針が打ち出された。

 同プラザの年間運営コスト約5億円のうち市の補助は約3割。同公社は「市の補助がなければ、入館料を値上げしたとしても運営は困難」としている。

 市は新たな運営事業者を募集することも視野に入れているが、具体策がない場合は閉館もやむを得ないとしている。

 
 

“橋下改革”に揺れる日本最古の吹奏楽団…廃止方針変わらず

2012.05.08


大阪市音楽団との意見交換会に臨む橋下市長。厳しい発言が続いた【拡大】

 

 日本で最も古い歴史と伝統を誇る交響吹奏楽団「大阪市音楽団」が揺れている。大阪市の橋下徹市長(42)が「来年3月で廃止」の方針を打ち出して いるからだ。団員らは7日、橋下市長との意見交換会で「楽団を存続してほしい」「これからどうやって生活していけば…」などと訴えたが、結局は平行線のま まだった。

 橋下氏との意見交換会に出席した団員は約30人。「市立中学校などで子供たちの指導を行っている」「地域コミュニティーを形成するうえでも楽団は必要だ」などと存続を訴えた。

  これに対して、橋下氏は府知事時代に大阪センチュリー交響楽団(現・日本センチュリー交響楽団)を民営化したことを例にあげて、「文化の担い手か行政の担 い手かという選択に、センチュリーは文化を選んだ」と指摘。そのうえで、「市民の税金の使い道は、チャンスは平等に評価はしっかりする」という持論を展開 した。

 「私たちは音楽しか知らない」「(市音が管理・運営する)大阪城野外音楽堂も存続してほしい」「自立化を求めるにしても猶予がほ しい」などの声があがったが、橋下氏は「近く素案ができるが、正式決定までに団員らの間で今後のあり方について話し合ってほしい」などと突っぱねた。

  市音は、1923年設立。現在では日本唯一となった地方自治体が直営する吹奏楽団として市民らに親しまれている。しかし、橋下氏は「大阪市が楽団を丸抱え しては維持できない」と来年3月で廃止する方針を明言。全団員に対して分限免職にするという厳しい条件を突きつけている。

 辻浩二団長は「市長の発言はまったくぶれていない」とあきらめ顔。今後については、「公益法人化するなど研究は進めているが、団員らとしっかりと話し合いたい」と話していた。

 

切られる補助金 検証 橋下改革と文化(1) 
公の支援、すれ違う主張

2012/7/10 3:30 日本経済新聞

 「議会で可決されても(予算を)執行しない」。6月29日、大阪市の橋下徹市長は声を荒らげた。今年度の文楽協会の補助金を前年度比25%減と決めた後の会見。その減額した補助金すら出さないと言い放った。

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 きっかけは協会とのやりとりだった。市長は「協会の運営は非効率」と主張。人形遣いや太夫ら技芸員も同席する公開での意見交換を2度にわたり申し入れたが、拒否されたという。

 文楽の重鎮、竹本住大夫さんは「断った覚えはない。実情を聞いてほしい」と反論。今月4日、協会は市長に非公開で面会を求めることを決めた。しかし、市長は「公開でしか会わない」。技芸員からは「文楽への風評被害が心配だ」との声も漏れる。

 人形浄瑠璃の文楽は能、歌舞伎と並び世界無形文化遺産に登録される。江戸初期に大坂で花開いた。だがいまや橋下改革の矢面に立つ。特権意識から大衆芸能としての活力を失っているとする市長と、伝統も知らず拙速に改革を求めていると言う文楽側。議論はかみ合わない。

 両者をつなぐパイプ役もいない。すれ違いは橋下市長が大阪府知事だった時からだ。初めての観劇後「2度と見ない」と発言、府の補助金も減らした。

 文楽協会は、主に地方公演を主催。興行収入は技芸員の出演料などで消え、職員8人と、舞台周りの仕事をする4人の給与、さらに若手技芸員の研修費を補助金で賄う。スリム化で地方公演が減り、後継者育成にも暗雲が兆す。

 65年の歴史を誇る大阪フィルハーモニー交響楽団。補助金は10%減の9900万円で決着した。橋下知事時代にすでに府の補助金が6300万円削られている。影響で楽団員の補充は一時凍結。08年度末に79人いた楽員は現在67人。福山修演奏事業部長は「生命線である迫力のサウンドが損なわれる」と懸念する。

 昨年度の大阪フィルの収入の約5割が演奏会からで、公的支援は約2割。球場でマイクを使い数万人の観衆を集めるポップスと比べ、オーケストラの観客は約2000人と規模が小さい。費用をそのまま転嫁すると入場料ははね上がる。

 日本オーケストラ連盟の宮沢敏夫専務理事は「音楽文化の質を保つためには民間の支援や公的な補助が不可欠。全国への飛び火が心配だ」と橋下改革に危機感を募らせる。

 雑誌「上方芸能」発行人の木津川計さんは「儲(もう)からないからこそ(行政が)守らなくてはいけない文化がある」と言う。オーケストラ、オペラ、バレエ、文楽など、入念な準備が必要で、簡単に生産性を上げられない集団芸術は典型例だ。「都市の格を決めるのはそういう文化でもある」(木津川さん)

×  ×  ×

 大阪の立て直しを標榜して行財政の抜本改革を進める橋下市長は、文化にもメスを入れる。波紋を追い、検証する。

 

担い手に自立求める 検証 橋下改革と文化(2) 
集客工夫 変わる機運

2012/7/11 3:30 日本経済新聞

 「まずは自助・共助。観客収入で自立。それでも無理だとなったとき税金(の投入)となる」「僕は市民のお金を預かっている市民の代表だ」。橋下徹大阪市長が文化行政の改革を語るとき、必ず口にする言葉が「自助・自立」だ。

大阪フィルハーモニー交響楽団は阪急梅田駅構内でコンサートを宣伝するライブを開いた(5月17日)
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大阪フィルハーモニー交響楽団は阪急梅田駅構内でコンサートを宣伝するライブを開いた(5月17日)

 守られて当然という特権意識や既得権益の上にあぐらをかき、成すべき努力を怠っていないか。そんな団体が対象なら、貴重な税金は使えないとの主張だ。

 「お上が関与してだめになる例もある」。文楽を例にとると、地元・大阪での本公演の観客動員率は52%(2010年度)と低迷している。それでも補助金で文楽協会職員の報酬は保証されてきた。その甘えを封じ、自己変革を促すことが、より魅力ある舞台作りにもつながると唱える。

 発言の影響は、少しずつ文化の現場に広がっている。

 6月23、24の両日、いつもは空席が目立つ国立文楽劇場(大阪市)が満員になった。とりわけ24日は全731の座席では足りず、補助椅子が出たほど。

 6人いる人間国宝はおろか、中堅も出演しない通称「若手会」。人形遣いの桐竹勘十郎さんの長男、吉田簑次さんをはじめ、20~30代の演者が稽古の成果を披露する場だ。今年で12回目。6月下旬には初めて東京の国立劇場小劇場でも開き、前売り券をたちまち売り切った。

 「橋下市長の改革に危機感を抱いた若手が目の色を変えチケットを売っていた」と文楽劇場の関係者は言う。

 「努力が足りないと言われると腹が立つ。でも、我々にもやることはまだまだあるはず」と、桐竹勘十郎さんは話す。8月には太夫、三味線ら11人を率い、アルジェリアで初のアフリカ公演に挑む。

 5月中旬の午後、大阪市の阪急梅田駅構内に、大阪フィルハーモニー交響楽団の女性奏者4人が現れ、弦楽器を奏でた。立ち止まって耳を傾ける人々に、事務局員が演奏会のチラシを配る。楽団員によるPRイベントは1947年の創設以来、初の試みだ。

 大阪フィルはこれまで、演奏後の交流会といったファンサービスに積極的だったとは言い難い。大阪最古の楽団。「お高くとまっている」との声もあったが、大阪市からの補助金削減を巡る議論が進むにつれ、楽団員の意識が変わった。

 「どんどん街に出て行きたい。こんなにすてきな楽団があるんだと感じてもらわなければいけない」。楽団員でオーボエ奏者の大森悠さんは話す。4月には1口5000円の寄付制度も設けた。「自分たちの強みは何か、どうすればいいのか。考えることで、逆に鍛えられた」と大阪フィルの佐々木楠雄常務理事は言う。

 音楽評論家の東条碩夫さんは「行政は文化を大事にすべきだが、財政難の中、文化が補助金をもらい続けるのは非現実的でもある。日本の楽団も老舗、名門の意識を捨て、知恵と工夫で運営すればより良くなる」と話す。

 橋下改革の荒波は、文化の担い手たちが底力を見せる契機にもなり得る。

 

アーツカウンシル 検証 橋下改革と文化(4) 
評価・助成、行政から独立

2012/7/13付 日本経済新聞

 「芸術評議会」と訳されるアーツカウンシル。芸術振興を目的とした第三者機関で、専門家による審査や事後評価によって団体・事業への助成を行う。1946年に英国で発足、欧米諸国などで設置されている。この組織がいま、大阪で脚光を浴びている。

 「アーツカウンシルで審査会をやり、助成を打つ。これが大阪としてのシティプライドになるのではないでしょうか」

 
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 大阪市のホームページに掲載された橋下徹市長と文化行政の見直しを担当する特別顧問、特別参与とのメールのやりとり。橋下市長の言葉からは「大阪アーツカウンシル」(仮称)への期待がうかがえる。芸術助成を府民・市民の目に見える形にすれば「我々が支えている」という意識が芽生えるとの意味だろう。

 「(アーツカウンシルは)政府から独立しているのが特徴」と海外事例に詳しいニッセイ基礎研究所主席研究員の吉本光宏氏は話す。日本でも導入機運が高まっている。

 東京都は今年4月、公益財団法人・東京都歴史文化財団内にアーツカウンシル東京準備機構を7人体制で設置。劇場や音楽系財団などで働いた経験を持つ人々が「プログラム・オフィサー」となり、助成対象を審査した。準備室室長の石綿祐子氏は「今後は芸術文化を支える人材の育成や海外のカウンシルとの連携も進めていきたい」と話す。

 大阪アーツカウンシルは来年4月までに発足させる方針。「組織への助成を事業への助成に組み替える。新規参入がしやすくなり、新しい文化が生まれる」と特別顧問の橋爪紳也・大阪府立大学教授は期待する。

 「大阪版」の形は未定だが、「財団(のような外郭団体)にはならない」(特別参与で浄土宗応典院主幹の山口洋典氏)。「市からの独立は大前提だが、政策との連動のために『手の届く』場所にあった方がいい。大切なのは『好き嫌い』が『良い悪い』につながらないような評価システムをつくること」と山口氏は話す。

 山口氏は07年、民間の研究会「大阪でアーツカウンシルをつくる会」を発足させ、そのあり方を議論してきた。メンバーの一人でアートプロデューサーの原久子氏は「助成の仕組みが明確になる点で新制度には意味がある」と評価する。その上で「カウンシルのメンバーにそれなりの権限を持たせないと意味がない」とくぎを刺す。

 大阪に拠点を置く劇団太陽族の岩崎正裕代表は「時々の政策に左右されては元も子もない。現場の意見を吸い上げ、行政側に政策提言できる人材が求められる」と説く。東京都のアーツカウンシル設立準備の中心を担った福原義春・資生堂名誉会長は「東京は施設や文化発信の一元管理など文化行政の改革を10年かけてやってきた。まずそうした地ならしがないとうまくいかない」と話す。

 公平性・透明性・独立性のある評価システムが機能すれば、歳出削減ばかりが取り沙汰されがちな橋下改革の将来像が変わるかもしれない。

おわり

 

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15 コメント

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古典芸能、芸術について (ふみー)
2012-11-03 22:58:51
「このライオンキングと文楽」の橋下市長の
tweetを拝読しました。
橋下市長も大変、忙しいはずだし、ましてや、
維新の会と石原新党との関係で頭が一杯だろうに、
その傍ら、このtweetをされ、内容がライオンキングだった
ので、妙に面白かったです。
私個人は、古典芸能は、絶対に大切にしないといけない
と思っていますので、文楽に関して、「見てもないのに
文楽廃止」と言った市長に、tweetしました。
人類に必要で、永遠に続けていけないものは、
「学問・芸術・宗教」だそうです。
だから、日本人として、文楽は絶対に続けないと
意味ありません。コストの面は、話し合いが難航する
でしょうけど。関西フィルは、資産家の方が私財で
作られた楽団です。だから、行政とは、無縁ですよね。確か。そ大阪フィルは、日本を代表する故朝比奈隆先生が、あの素晴らしい楽団にまで仕上げてきた
のです。廃止された楽団も、誰か、資産家かスポンサーがつけば、変わってくるはずです。
芸術は軽視してはいけないです。「大阪アーツカウンシル」というのは、初めて知りました。有難うございます。
はいはい、維新の何とかは (時々拝見)
2012-11-04 18:29:56
共産党に学びましょう。政党助成金なしでやってるんですから。
皇太子に向かって、ビオラなどの楽器演奏者はAKB48に学べとか、神道関係者に(違法行為以外)オウム真理教に学べとか、言うだけの勇気はないでしょうね。
おかしい感覚 (だんなさん)
2012-11-05 11:14:53
文化は守らなければならない。とするロジックをそろそろ卒業した方がいいですよ。
予算が潤沢であるならともかく、出来る限り切り詰めなければならない現在において、文楽やオーケストラにたとえ1円でも出す余裕はないでしょう。
それならそのお金を子供や障害者や高齢者のために使った方が良いと思います。
そして一番重要な問題点は、何故文楽じゃないとだめなのか?歌舞伎・能・狂言・漫才・落語などなどと文楽はどう違うのか?オーケストラもしかりです。
そのエリート意識が、助成金をもらうのが当たり前であると考え、自分で集客や内容の見直しなどの考えにいたらず、現状のようになったのでしょう。
公の補助金をもらわなければ、存続できないような文化事業は自然に淘汰されていくものであり、自力で運営できない協会を批判すべきものであり、補助金カットに文句を言うべきものではありません。
親の仕送りをカットされて、文句を言っている、バイト等努力をしていない子供の言い分と同じです。
伝統・文化^ (ふみー)
2012-11-05 11:42:21
文化や伝統を大切にしたいという
一個人の考えって、おかしいのでしょうか??
だんなさん、様へ (ふみー)
2012-11-05 13:58:33
コメントを拝読させて頂き、考えさせられました。
私は、橋下市長なら、私の「文楽を見てないのに
文楽の助成金カット」という内容をご理解して
頂ける方だと、認識していました。
「文楽を見て、助成金カット」なら納得いくのです。
ラジオ等、関西のアナウンサーも、この点は指摘
されていました。聞く限り、二人。
私は、大阪府民ですし、決して維新の会を
批判する時はするし、しない時はしません。
ただ、橋下市長なら、1パーセントはご理解頂けるかと
tweetをしたのです。
でもだんなさん、様のおっしゃれるのは、繰り返し
読ませて頂きました。

笑える理屈 (Unknown)
2012-11-05 14:06:19
>親の仕送りをカットされて、文句を言っている、バイト等努力をしていない子供の言い分と同じです。

いかにも橋下氏が言いそうな言葉でおもわず笑ってしまいました(笑)
文化や伝統って、その国の誇れるものであるからこそ国をあげてでも保護するべきものです。
存在というのは形の有無にかかわらず、古くなると自然と風化してしまうのがこの世の摂理です。
でも、あえてそれを残し後世に伝える事で今日の文明が築かれたのです。
古きに学ぶことを忘れたら文明の発達はありませんよ。
と、いうような難しい話は私にはできません(笑)
それ以前に文化予算削って作りたい物がカジノな橋下市長。
あえて挙げさせていただいた理屈で言うと、パチンコしたいから子供の学費よこせ!っていう不良親父の言い分みたいなもんですね。




いかにも「正論」のようですね、 (浪速姫)
2012-11-06 04:25:42
 「だんなさん」殿の言い分は。

 しかし、このお方は「文化」というものをどう考えているのでしょう。贅沢なお遊びと考えているのでしょうか。往古より、音楽であれ文学であれ美術であれ、あるいは芸能であれ、人間が厳しい外圧状況の中にあって、それによってもたらされる共感・共歓によって結び付き共同体を維持し、ときに陶酔をときにカタルシスを得て生存を維持してきたのです。とりわけ歌舞音曲によって身体感覚に直接訴える「芸能」は、貴賎を問わずその享受によって人間を生きさせてきたのです。

 「だんなさん」なるお方は歌謡曲の1つも聞かず芝居のあるいは映画の1つも見ずに過ごしてきたのでしょうか?

 「なぜ文楽なのか?」 その答えは簡単です。都市大阪の歴史においてそれを築いてきた都市住民の中から生まれ、活気を与え、都市大阪を生きさせてきた、そして都市大阪の個性を形成するものであるのみならず日本全国、そして世界によって「人を生きさせる文化―芸能」として享受され、認められてきたものだからです。

 そうした「文化」の振興の放棄は、都市の誇りを踏みにじり、個性を滅却し、人々の心から潤いを奪い、活気を殺ぐ行為であり、それによって索莫としたものとなった都市が発展するわけがありません。江戸期、天明の飢饉という生存を直撃する事態から人々が立ち直ったのは猥雑なものをも含めた、芸能を初めとする庶民文化だったのです。

 「文楽」は大阪の個性であるゆえに大阪の魅力を構成する最重要の要素であると同時に、日本の代表的芸能として世界に紹介されている。
 
 改定「教育基本法」でも、

《 第二条  教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
……
五  伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。》

と述べています。

 自身の地域の築いてきた、あるいは自身の地域を築いてきた文化を放棄する行政がどうして地域を豊饒にできるのか、その地域の住民に共通意識を持たせることができるのか? 


 文化の振興のため市議会で支出を認められた金を支出することを、恣意的に拒む姿勢が他の分野に向かないとだれが言いきれるのですか。

 文化の保護・振興は、幾度か述べましたが、国、地方自治体の責務です。補助金はその一環です。

 cf「地方自治法」
 一条の二  地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。


 その責務を果たそうとしないことこそ恥です。

 逆に言えば、なぜ文楽・オーケストラへの補助金を削ろうとするのですか?

 大阪府を「起債許可団体」に転落させたのは現大阪市長の知事時代の施政です。WTC大阪の購入費用は補助金の比ではありませんね。また維新市議の政調費の私的流用、 またお側衆―特別顧問・参与(多くは「維新の会」のブレーンでもあるわけですが)への報酬アップ……、
「心の再生」府民運動という、愚にもつかぬキャンペーン、新聞で片隅にしか載らぬ「SIBOS大阪」の開催の費用……
 
 それこそ「そのお金を子供や障害者や高齢者のために使った方が良いと思います。」

 大阪府市の財政支出は公開されています。ご覧になったらどうでしょう? 

 ついでに「だんなさん」殿が、能・狂言という舞台芸能から人形浄瑠璃・歌舞伎が派生し、歌舞伎の多くが浄瑠璃から生じ、かつ上方落語の少なからぬ演目が浄瑠璃に題材を得ていることを知っているなら、「歌舞伎・能・狂言・漫才・落語などなどと文楽はどう違うのか?」などとは言いますまいよ。

 
 
 
 

 
 
 


 

 
「笑える理屈」のUnknown殿へ (浪速姫)
2012-11-06 04:42:03
 なーるほど、簡潔にして的を得たコメントです!

 問題を、親(扶養者)と子(被扶養者)の「仕送り」関係にすり替える辺りは橋下氏と同じですね。

 また作家の赤川二郎氏も「橋下氏、価値観を押し付けるな」と題した新聞投稿の結びで「過去に学ぶ謙虚さを持ち合わせない人間に未来を託するのは、地図もガイドもなく初めての山に登るのも同じ。1つ違うのは、遭難するとき、他のすべての人々を道連れにするということである。」と述べておられます。(朝日新聞 大阪版では2012年4月14日朝刊「声」欄)
浪速姫さんへ (だんなさん)
2012-11-06 14:07:46
いろいろと御教授ありがとうございます。
おっしゃられる意味はわかりましたが、それでも大阪市が助成金を出す理由が釈然としません。文楽(文化)を理解していない者は、知性が無いと言っているような気がしてなりません。では徳岡先生も浪速姫様も年に何度文楽を見に行かれるのですか?私は一度も(学校で見たかもわかりませんが、覚えていません)見たことはありません。文楽を守れと言っている人たちも、自分の周りの人に文楽鑑賞をすすめているのでしょうか?観客が多ければ助成金などいらないのではないですか?
文楽関係者(演者の方ではなく)
が「どうせ助成金が入るから」「自分たちは他の文化とはちがうのだから」などという特権思想を持っているようにおもえてならないのです。
またそれほどまでに守らなければならないのであれば、国ですべてまかなってはいけないのですか?
私は親橋下ですので、特に思うのですが、今までの無茶苦茶な府政や市政には、文句を言わずに今の橋下市長にのみ文句をいう姿勢はどうかと思います。
今の橋下体制がすべていいとは思いませんが、以前の体制よりも数段上だと思います。
だんなさんへ (橋下大嫌)
2012-11-07 14:18:08
橋下体制がすべていいとっは思わない、そうですが。橋下体制のどこがよくないとお思いですか。

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