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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

恥をかいたから補助金を凍結したというのがすべて 浪速のタリバン橋下市長vs文楽問題を総括する

2012年10月05日 | 橋下維新の会とハシズム

(2012年10月3日、文楽協会に対する大阪市の補助金削減を巡り、橋下徹市長と文楽協会、文楽の技芸員(演者)47人が市役所で公開の意見交換会を初めて開いた。写真は天を仰ぐ技芸員 産経新聞)

 

 

 コメンテーター時代、テレビ番組で「能・狂言を観るような人間は変質者」と公言していた橋下徹氏が、大阪府知事になったばかりの時の文楽と最初の出会いは、意外にも幸福なものであった。

人間国宝・竹本住大夫さんに橋下知事も緊張

2008年4月5日

写真

5日からの公演を前に橋下徹府知事(左)を訪問した人間国宝の竹本住大夫さん=府庁

 人形浄瑠璃の文楽大夫で人間国宝の竹本住大夫さん(83)が4日、大阪府の橋下徹知事を訪問。「大阪で生まれた芸。お忙しいでしょうけど、ぜひ見にきてほしい」と誘った。

 国立文楽劇場(大阪市)での公演は5日から。橋下知事は見たことがないことをわび、「文化的素養が著しく欠けていると言われてまして。ぜひ勉強して発信したい」。

 「最後は人間性」と芸の心得を説く住大夫さんに、橋下知事は「その言葉、重いです。人間性、僕自身ちょっと自信ない」。日ごろ「過激発言」でならす橋下知事も恐縮しきり。 

 

 

 橋下氏も、世界遺産であり、大阪のみならず日本の宝である文楽を観たことがないことを恥じ、人間国宝に謙虚に

「文化的素養が著しく欠けていると言われてまして。ぜひ勉強して発信したい」「人間性、僕自身ちょっと自信ない」(それはそうだろう)

と語っていた。その謙虚さを、橋下氏が忘れずにいたら、この竹本住大夫さんを脳梗塞の発作で倒れさせてしまうような今回の悲劇はなかったのである。

 2009年になり初めて文楽を観たときに、橋下府知事が思わず漏らした一言から、事態は暗転する。

「つまらない。二度と観に行かない」

 彼個人が文楽を観てそういう感想を持つのは一向に構わないし、比較的多数の人が最初はそう思うのではないか。

 しかし、府知事という立場にあり、しかもテレビタレント時代はむしろ下品なキャラクターで売っていたため、この一言で橋下氏は「文楽の文化性を理解できていない」と、まさに教養がないという批判を受けてしまい、意固地になったのだった。

 「僕は僕の感覚で、『今のままの公演だったら二度と見に来ない』と言った。それの何が悪い?客が公演をどう評するか、客に自由があるのが芸事の公演だ。僕は今の仕組みのままでは文楽は絶対に根付かないし、振興しないと思った。とにかく仕組みが悪い」

というのが、橋下氏が「二度と観ない」発言を批判した記事への反論である。

世界無形遺産の文楽を滅ぼそうとする橋下大阪市長を、浪速の姫が成敗!

【橋下vs文楽】公開面談詳報(3)稽古で手いっぱい「新しい事業どころではない」

公開面談に集まった文楽協会・技芸員たちを前に話す橋下徹大阪市長



 感想は自由なのだ。ところが、自分自身の責任ではない自分の「育ち」に劣等感を持つ彼が 「つまらない」と思った自分の感想を正当化するために、「仕組み」の問題を持ち出した。そこに、今回の問題の淵源と不幸がある。

 今回、6月に凍結した文楽への補助金を支給することになった経緯についても、橋下市長は

「今回は文化行政の補助金の問題点が凝縮している。面白くないから補助金を出さなかったわけではない」

ツイートしているのだが、これは彼独特の事実の捻じ曲げであり、後から付けた理由である。それが証拠に、生涯二度目の文楽鑑賞となった2012年7月26日の近松門左衛門作「曽根崎心中」に対して、あろうことか

「ラストシーンでぐっとくるものがない」

「人形劇なのに(人形遣いの)顔が 見えるのは腑に落ちない」

「全体を見ると演出やプロデュース不足につきる。観客を増やすための努力が必要だ」

と文楽の内容について不満を言い募ったのだった。

橋下市長 生涯2度目の文楽観劇で、近松門左衛門の曽根崎心中に対して「演出不足」とは何様のつもりか

【橋下vs文楽】公開面談詳報(2)「食べられるのは50歳になってから」「1億の税を入れている」おカネをめぐるシビアなやりとり続く

橋下徹大阪市長らとの面談で険しい表情を見せる文楽の技芸員たち



 本当に文化行政の問題なら、「人形遣いの顔が見えるのが腑に落ちない」(本当に腑に落ちていない顔が目に浮かぶ 失笑)だなんて関係ないのだから。そんなことは文楽に任せておけばいいのであって、行政が考えることではない。

 クラシックを鑑賞して「指揮者の佐渡裕小澤征爾さんみたいに髪の毛を伸ばしていないのが腑に落ちない」(井上道義には不可能)、とか、サッカー観戦して「手を使うとハンドになるのは腑に落ちない」(使えたらラグビー)とか言うようなものだ。

 果ては、「人間がお芝居せずに、人形がやっているのは腑に落ちない」と言いだしかねない。

 2012年6月29日、橋下市長は冒頭の初対面時にはあれだけ丁重に扱っていた竹本住大夫さんに面会を拒まれたとして

「特権意識にまみれた今の文楽界を守る必要はない」「恐ろしい集団だ」

と言い放ち、補助金の全面凍結を表明した。「自分が呼び出したのに拒絶するとは何事か。人間国宝であることを鼻にかけているのか」。要は、飛ぶ鳥を落とす勢いのカリスマ市長である自分の顔に泥を塗られたとばかりに激高したというだけのことである。

 また、この補助金凍結解除にあたっては、文楽協会の技芸員を自分の要求通りに市役所に呼び出して公開で意見交換するという儀式を経た。しかし、これらは、文楽叩きの動機が自己の劣等感から来る私怨であることを糊塗するためのものでしかなかった。

 はしなくも、橋下市長が

「文楽本公演の日程だけで収入の確保ができなくなっているのは、国が間違っている。府市は日程に関与できないので、国に(制度改善の)話をしないといけない」。

と言ったように、彼が問題にしている文化振興の問題は文楽協会も権限がないのだから責任はないし、そもそも大阪市に権限がある話でもないのだ。

 要は、橋下氏が自分の権勢を誇示し、文楽と言う(彼から見れば)「ハイソサエティ」に属する(自分を馬鹿にする)奴らを屈服させ、見返すことができればよかったのだ。

世界無形文化遺産の文楽を滅ぼそうとする橋下大阪市長は浪速のタリバンなのか

集まった文楽協会・技芸員たちを前に話す橋下徹大阪市長

 

【橋下vs文楽】公開面談詳報(3)稽古で手いっぱい「新しい事業どころではない」

橋下徹大阪市長の話を聞く文楽の技芸員

 

 

 では、橋下市長が今回の補助金凍結を解除した理由はどこにあるかというと、

1 竹本住大夫氏が倒れたこと、文楽技芸員への応募者がゼロになったことなど、文楽いじめをこれ以上続けると、自分の尻に火が付きかねなかった。

2 維新の会の支持率が急降下しており、これ以上、人気が下がるような危険は冒せなかった。

3 技芸員たちを公開意見交換に応じさせたことで、自分の面子が一応立った。

と言うことに尽きる。

 ヒトラーは、自分の背が低く、アーリア系にはとても見えない風貌であることの劣等感を昏いエネルギーにして、第三帝国を創り上げた。

 橋下氏の「自称」文化人、「自称」学者、「自称」インテリへの攻撃は異常である。文楽だけでなく、クラシックなど彼の生育史の中では縁がなかった文化に対する敵視も異様だろう。

 彼個人が逆境を跳ね返して成り上がるためには有用だった劣等感も、彼が権力者になれば民衆を不幸にする。事実、橋下騒動で一時観客は増えたが、補助金凍結騒動のせいで、国立文楽劇場が2012年8月から「研修生」を募集しても応募者がゼロという、文化の継承にとって最悪の事態に陥っているのだ。

 文化行政と補助金のあり方を問題にしたなどという橋下市長の説明はあとづけの欺瞞だ。初めて文楽を観たときに、思わず、「つまらない、二度と観ない」と言ってしまって恥をかいた。その後の行動の動機のすべてはその屈辱を晴らすためにあった。

 小さなことに囚われる魂が哀れでもある。

 しかし、それがまさに浪速のタリバン。この暴君に対して、わざわざ忠臣蔵四十七士が紋付き袴で出かけた文楽技芸員の心意気を無駄にしてはならない。

 私怨を公憤に見せかける彼の事実のすり替えと論理操作に、ゆめゆめ誤魔化されることなかれ。

怨念の政治家 橋下徹大阪市長と安倍晋三元首相が日本を不幸にする

 


嗚呼、貧困なる精神。

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毎日新聞 2012年10月04日 大阪朝刊

意見交換会であいさつする豊竹咲大夫さん(中央)。右列中央は橋下徹・大阪市長=大阪市役所で2012年10月3日、金澤稔撮影
意見交換会であいさつする豊竹咲大夫さん(中央)。右列中央は橋下徹・大阪市長=大阪市役所で2012年10月3日、金澤稔撮影

 文楽協会に対する大阪市の 補助金削減を巡り、橋下徹市長と協会、文楽の技芸員(演者)47人が3日、市役所で公開の意見交換会を初めて開いた。橋下市長が求める補助金の使途の透明 化などに、技芸員らが大筋で合意。これを受け、市長は凍結していた今年度分の補助金3900万円を支出する方針を決めた。

 橋下市長は冒頭で「伝統芸能にしきたりがあるように補助金にもルールがある」と話し、協会の運営費として一定額を市が毎年支払う仕組みを問題視。協会や技芸員に観客を増やす動機付けが必要と指摘し、事業ごとに審査したうえで助成する仕組みへの転換を要求した。

 また、使途を透明化するために領収書を提出する▽ベテラン技芸員の収入になっている協会の「養成費」を若手に分配する▽観客を増やすため新たに事業を展開する−−ことなども求めた。

 技芸員からは「若手に教えることで手いっぱいで、新たな事業をする時間がない」「ベテランの収入も市長 が思っているほど多くない」など反論も出たが、「透明化は必要だ。市長の考えは理解できる」「協会として何ができるか考えたい」などと、大筋で合意する方 向でまとまった。

 市は来年度、文化・芸術分野で、専門家らが事業ごとに審査して助成対象を決める「アーツカウンシル」制度を設ける。文楽協会に対する補助金についても、運営費補助を一部残した上で、同制度の導入や観客数に応じた助成を検討する方針だ。

 市は今年度、補助金を前年度比25%削減。さらに今年度分も、技芸員らが公開での意見交換に応じなければ支出しないと表明した。非公開を望む文楽側と交渉が難航していたが、技芸員らが9月に方針転換し、初めて公開で意見を交わした。【津久井達】

 

 

公開面談詳報(1)“文楽四十七士”、紋付き袴姿で市長と対面

2012.10.3 19:55 (1/3ページ)文楽] 産経新聞
集まった文楽協会・技芸員たちを前に話す橋下徹大阪市長=3日午後、大阪市北区の大阪市役所(恵守乾撮影)

集まった文楽協会・技芸員たちを前に話す橋下徹大阪市長=3日午後、大阪市北区の大阪市役所(恵守乾撮影)

 《財団法人・文楽協会への大阪市の補助金支出問題で、橋下徹市長が求め続けてきた文楽側との公開面談が3日午後6時から、大阪市役所で行われる》

  《協会への補助金をめぐり、橋下市長は昨年度比で25%削減を決めた上で、技芸員との意見交換を公開で行うよう要請。これに対し協会側は再三にわたり非公 開での面談を要望し、議論は平行線をたどっていた。ところが一転、技芸員らは9月18日の臨時総会で公開面談に応じる方針を決定、この日の面談が実現し た》

 《市役所地下1階の第11共通会議室。この日の面談には、太夫や三味線、人形遣いら82人の技芸員のうち47人が出席。いずれも紋付 き袴姿で、5列に並んで座り、橋下市長を待つ。定刻の午後6時ちょうど、ジャケットなしのクールビズで、橋下市長が到着。まず技芸員側を代表して、豊竹咲 大夫さんがあいさつに立った》

 豊竹咲大夫さん「文楽劇場では11月3日から、仮名手本忠臣蔵を上演する予定になっております。きょうは偶然でございますけれども、47名が参加しておりますが、決して討ち入りに参ったわけではございませんので」

 《赤穂浪士四十七士にちなんだ軽い冗談のあと、豊竹さんは切実な思いを訴えた》

 咲大夫さん「技芸員は一日も早く、この問題を解決して舞台に専念したいと思っております。なにぶん皆、個人事業者ですので意見もばらばらかと思いますが、よろしくお願いいたします」

【橋下vs文楽】公開面談詳報(2)「食べられるのは50歳になってから」「1億…

【橋下vs文楽】公開面談詳報(3)稽古で手いっぱい「新しい事業どころではない…

【橋下vs文楽】公開面談詳報(4)給料は10万円、三味線の張り替えは5万円

【橋下vs文楽】公開面談詳報(5完)「市長が来てくれるなら説明者をつけます」

 

 

苦境の文楽、「研修生」応募者ゼロ 補助金削減余波大きく

2012.9.19 21:18 産経新聞 文楽] 

 大阪市の橋下徹市長が財団法人・文楽協会への補助金凍結の方針を打ち出すなど、文楽をめ ぐって混乱が続く中、国立文楽劇場(大阪市中央区)が先月から、文楽の未来を担う「研修生」を募集したところ、応募者がゼロという異常事態が起きている。 28日の締め切りを前に、問い合わせも数件のみ。文楽関係者は「補助金削減問題が大きな原因になっている。このままでは伝承が途切れてしまう」と危惧して いる。

 文楽の研修生制度は昭和47年にスタート。文楽は家柄の関係ない実力主義の世界のため大きな成果を上げ、現在、太夫、三味線、人形遣いの三業計82人のうち研修生出身者の占める割合は46・3パーセント。中でも三味線は52・6パーセントを占め、半数を超える。

 2年ごとの募集で、研修期間は2年。三業すべてを学び適性審査で専門が決まる。正式な研修生になると独立行政法人・日本芸術文化振興会から月に10万円が貸与され、研修修了後、技芸員となって3年間活動すると返却は免除される。

 今年は第26期生の募集を行うことになっており、6月から国立文楽劇場などにチラシを置いたり、ホームページに掲載したりと、広報に努めてきた。しかし8月13日の募集開始から1カ月が経過した現在も、問い合わせは数件程度、応募者はゼロという状況だ。

 例年なら、この時期にはふた桁を超す問い合わせがあり、応募者も7、8人はいるという。22年度応募の25期生の場合、二次募集も含めて応募者は11人、24期生は15人だった。

 国立文楽劇場の企画制作課の養成係によると、「先月開いた研修生募集のための見学会でも、補助金削減を心配する質問がありました」と説明する。

  人形遣いの桐竹勘十郎さん(59)は「橋下市長の発言などで文楽に対するイメージが悪くなり研修生が来なくなれば、長いスパンで考えたとき芸の伝承の根幹 に関わる」と懸念。研修生出身で文楽三味線の野澤錦糸(きんし)さん(55)は「確かに大変な状況だが、芸の世界は単なる就職ではない。こういうときこそ 本気で文楽を志す人に来てもらいたい」と話している。


 

「文楽二度と見ない」とつぶやいた橋下さん、もう一度文楽を見て!

2012.5.3 12:00  産経新聞
「維新政治塾」の開講式であいさつする橋下徹大阪市長

「維新政治塾」の開講式であいさつする橋下徹大阪市長

 国内政治家としては最大となる71万5000人のフォロワー数を誇る橋下徹・大阪市長(42)のツイッター。大阪維新の会の選挙公約の説明のみな らず、有名人との論争やストレートな物言いも、読み物として面白く、記者も連日チェックしている。文化部記者として注目するのはやはり文化政策。橋下市長 は大阪フィルハーモニー交響楽団と文楽協会への補助金カット方針を明らかにし、その説明をしばしばつぶやいている。それを全否定するつもりもないし、公金 を預かる身としてもっともな指摘もある。ただ「二度と見ない」と言った文楽を、ぜひもう一度だけ見てほしい。地元文化を生かさないなんて、もったいない。 そんなおせっかいな気持ちから、日頃文楽を取材する記者が、橋下語録に対しつぶやいてみた。(飯塚友子)

 「僕は僕の感覚で、『今のままの 公演だったら二度と見に来ない』と言った。それの何が悪い? 客が公演をどう評するか、客に自由があるのが芸事の公演だ。僕は今の仕組みのままでは文楽は 絶対に根付かないし、振興しないと思った。とにかく仕組みが悪い」=4月17日 橋下氏が府知事時代の平成21年、初めて文楽を見た後の発言を批判した記 事への反論。

 (記者:いい舞台もあれば、悪い舞台もあって、それを観客がどうこう言うのは当然。ただいくらいい舞台でも、理解できなけれ ばつまらない。その点、橋下さんがご覧になった「勧進帳」は、初めての演目として適当でなかったかもしれません。これが今年1月、国立文楽劇場で上演して いた「義経千本桜」の「四の切」だったら…。見台(いわば太夫の譜面台)がパカッと割れて狐が登場するなど神出鬼没で、早変わりやら宙乗りやら仕掛け満載 で、めっちゃ楽しいです。

実は記者も大学時代、初めて文楽を見て(「絵本太功記」だった)爆睡しました。ただ授業で文楽を選択してしまったため、こらえて見続けるうち「これ は楽しい」と思える演目とも出合えました。今や記事まで書いていますが、その程度です。舞台や演目には相性があり、一度だけで判断するのは惜しいです。

  そして問題視する「仕組み」。太夫、三味線、人形遣いを合わせた技芸員81人が所属する文楽協会(職員12人)は、橋下さんが「文楽協会は文化の名をか たった行政と外郭(天下り)団体の構造」(1月の府市統合本部会合での発言)と批判した通り、府市から職員を複数受け入れています。職員数も歌舞伎俳優が 所属する日本俳優協会より多い。組織スリム化と自助努力の必要性はご指摘通りと思います。ただ実は文楽、東京の国立劇場公演では22年度実績で8割の入り と、人気が高い。地元では厳しい状況ですが、振興してないとはいい難いです)

 「僕は文化はしっかりと根付かして行きたいが特定団体を守る気はない」

  「なぜクラッシク(注:原文のまま、以下同)文化を根付かせることが、大阪フィルハーモニーだけへの補助金なのか? 文化と特定団体を混同しているところ に日本の文化行政の間違いがある。年間1億円の助成というのは、賞金に換算すればとてつもない額だ。それを当り前のように貰うことに慣れることは非常に危 険だ」=いずれも4月17日

(記者:確かに大阪フィルは65年の歴史がありますが、日本に数あるオーケストラのうちの1つです。ただ文楽は現在、良くも悪くも世界で唯一無二の存在で、現状では文楽協会という特定団体を支援しないと、300年続いた上方文化、文楽そのものが廃れます。

 日本文学研究者、ドナルド・キーン氏(89)は著作「能・文楽・歌舞伎」の中で「文楽は脚本に多くの文学上の傑作が書かれた、世界で唯一の人形芝居」と記しています。「国性爺合戦」「女殺油地獄」など人形浄瑠璃に多くの名作を残した近松門左衛門らをさしての発言ですね)

 「僕の政治哲学は、『チャンスは与える。あとは努力でモノにして欲しい。競争の土俵に上がれない事情のある人はサポートする』だ。クラッシク音楽に税の助成をするにしても、大フィルに固定化する必要はない」

  「あの歴史的大横綱貴乃花親方の必死の営業。公演者は自分は守られるもの、保護されるもの、お金を受けて当然の立場と思った瞬間、もうその公演はダメだ。 勘三郎さんの歌舞伎、たかじんさんのコンサート、さんまさんの先日のNGKの公演はお客を如何に楽しませるかということの一点に尽きている」

  「文楽は大切な伝統文化だ。しかしなぜお客が来ないのか、徹底的な原因究明と自助努力が必要。客が二度と見に来ないと言って、客に矛先を向ける体質から改 めなければならない。まずは演者が公務員化してしまっている仕組みを何としなければならないだろう。難題だ」=いずれも4月17日

(記者:要は自助努力、文楽協会や国立文楽劇場、国立劇場のプロデュース力と宣伝力を促しているわけですね。一般論として東京・渋谷のパルコ劇場な ど、集客力のある劇場の核になるのはいいプロデューサーです。8月上演予定の「三谷文楽(三谷幸喜氏作・演出の文楽新作)」も同劇場の企画。いかに観客が 見たい演目を提示し、人間国宝だけに頼らない配役をするかが、彼らの腕の見せ所です。

 優秀なプロデューサーを外から招き、競争力をつける 外科手術もあっていいと思いますが、いい人材を集めるにはハッキリ言ってお金がかかります。ただ技芸員にプロデュース力を求めるのは、俳優にプロデュース 力を求めるのと同じで、一般的ではありません。スーパー歌舞伎を生み出した市川猿之助さん(72)のような「演じ手」にとどまらず「作り手」でもある希有 な才能の持ち主もいますが、例外です。

 また、芸事の世界も色々あって、話芸や歌は基本的に1人でも芸が成立します。相撲も2人で勝負でき ます。一方、文楽や歌舞伎、バレエやオペラは、演じ手だけでは成立せず、大道具や小道具、衣装、音響、床山、鬘師ら熟練した職人と力を合わせ、音楽や照明 とも一体となって創り上げる総合芸術です。手間もお金も時間もかかります。だから英国でも「ロイヤルオペラ」「ロイヤルバレエ」などと王室が関わり、パ リ・オペラ座のバレエダンサーも公務員です。

 日本の伝統芸能である能や歌舞伎、文楽に国が援助をするのは当然と思います。ただこれらの中で、文楽だけは大阪のものです。言葉も上方です。大阪のアイデンティティーだからこそ、地元自治体である府や市も援助してきたわけです。

日本でも歌舞伎は松竹と国立劇場が上演していますが、民間企業である松竹主催公演の入場料は、一等で1万5000円前後と高価です。一方、文楽は一等でも5800円です。これも公的なお金が入っているからです。

  橋下さんご指摘の通り、中村勘三郎さん(56)が素晴らしい歌舞伎の舞台を見せているのは事実。ただ忘れてはならないのは、勘三郎さんは平成中村座やコ クーン歌舞伎で新たな歌舞伎を創り出しているだけではなく、「夏祭浪花鑑」など人形浄瑠璃から歌舞伎化した義太夫狂言にも懸命に取り組んでいるということ です。

 歌舞伎の名作の多くは「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」「菅原伝授手習鑑」など、人形浄瑠璃が歌舞伎になった作品が多く、歌舞伎の “親”のような存在です。いい歌舞伎俳優は坂田藤十郎さん(80)にせよ、片岡仁左衛門さん(68)にせよ、よく義太夫を勉強されています。文楽が廃れれ ば、歌舞伎の舞台の質にも影響します。“子”は面白いが、それを生んだ“親”はつまらん、というのは短絡的に過ぎます。

 歌舞伎を「面白 い」と思う感覚がおありなら、文楽の魅力も分かるはずです。橋下さんがおっしゃるように「一部のインテリ」に独占させるのはもったいない。騙されたと思っ てもう一度だけ、演目を選んだ上で文楽をご覧になりませんか。その上で、市として地元文化をどうするか、考えるのも遅くはないです)


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12 コメント

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本エントリーの解説は、 (H.KAWAI)
2012-10-05 11:45:13
○実に良く分かります。橋下はもう少しいい子のフリをしていれば良かったんですよね。
○あの下賤の出の太閤さんだって、茶の湯にハマったり、能舞台を踏んだりしてたんですからね。
○最後は論点ずらしで〆ましたね。流石その道の大家です。
返信する
映画だけであって欲しかった (だめお)
2012-10-05 18:36:42
こんな悲しいシナリオは。

まるで、自分の子どもを残酷・執拗に苛め抜いた子の背景がわかってしまったような、悲しい気分です。 そして、いじめっ子のまわりではやし立てる「観客」「サポーター」の歴史と環境にも、思いは及んでしまうじゃないですか。

中国で暴徒化した「あなたたち」にも似た...。

もちろん、それはそれ、苛められている自分の子は守らねばならず、橋下市長の数えきれない(人権や文化を破壊する)言動を許すこともならず。  そして、「人形」をあやつる(あやつろうとしている)のは誰か、具体的に誰か、その追求をしなければいけませんね。

晋三クンが自民党総裁になり、思うような人材が寄ってこなかったことで、橋下は「よい子になる」ことしかオプションは残されていないと思います。  彼、やるでしょう。 別にどんな人間になっても、何をしても、誰と組んでも、彼にとっては重要なことではないのでしょうから。  

(金と)権力を握る以外は。
返信する
橋下さんは (mimosa)
2012-10-06 00:55:54
「文楽の闇」を暴く,と公言していたと思うんですが,「恐ろしい集団」とまで断定し,その後調べて,結局闇も恐ろしさもわからなかったのなら,その誤った自分の先入観については,協会と技芸員さんらに謝罪しないとあかんかったんじゃないかなー?
彼の言った『会えて(話が出来て)良かった』で,すべての代用にしたつもりかもしれないけど…
 それから,人間国宝さんへのお見舞いの言葉も必要だったんでは?(だめおさんの言われる↑『よいこ』になるためには。あ,よいこ以前のふつうのこでも,それくらいは言うと思うけど)。入院が長引いて来たので,ご高齢ですし,とても心配です。

それにしても,だめおさんの解釈(よいこになるしかない)に納得です笑。
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Unknown (a)
2012-10-09 02:22:24
大阪府が起債許可団体に転落した事実がだんだん知られ始めていますが、まだ知らない人も多いのでブログで取り上げて頂きたいです。

返信する
「意見交換会」 1 (浪速姫)
2012-10-09 15:04:59
 ray先生の記事本文で内容は充分伝わりますが、他の記事へのコメントにも書きましたように、大阪市の公式サイトの「トピックス」で、「市長と文楽協会および文楽技芸員との意見交換」の動画を視聴できます。

 この「意見交換」で補助金凍結が解除されたことは実質的にはよいことですが、これは本来支出されるべきものが支出されたということであり、公開の「意見交換」に技芸員の方が面談に応じなければ補助金を出さないという橋下「市長」の要求に「補助金欲しさ」に屈したということにはなりません。もし橋下「市長」が「僕の言うことに逆らえまい」「金が欲しいから僕の要求に従った」と解するなら、それは大きな誤りです。(橋下氏自身はそう解していると存じますが) 
 それは紋付き袴という礼を尽くした容儀で「意見交換」に臨んだ技芸員の皆さまの毅然たる姿勢からも明らかです。
 三味線の竹澤団七師匠、燕三さん、宗助さん、若手中の若手の勘太郎くん、大夫の咲大夫さん、英大夫さん、三輪大夫さん、津駒大夫さん、文字久大夫さん、人形遣いの勘十郎さん、玉也さん、簔二郎さんがたがその状況の提示や意見を実にしっかりと述べておられるのを拝して、文楽がどれほどの方々によって担われているのかに、改めて目が開かれた思いがいたしました。実績、経験そして自身が為している営為についての確信に支えられた発言には、橋下氏がそれまでに述べた文楽についての「感想」が如何に不適切かつ的外れであるかを明らかにする重みがありました(橋下氏自身、支離滅裂な私見をいかにも公的な見解のように発信し、文楽のイメージを損なうのに資したことは、mimosa様のおっしゃるように、今回おくびにも出しませんでした。)
 技芸員の方々の発言のなかで、とりわけて重みがあったのは団七師匠の「日本をリードしてきた浪華の地で大衆の支持を得てきた文楽、若手が不安なくその修行に励めるような状況を生きているうちに見たい」といった内容の発言です。
 
「大大阪(だいおおさか)」「東洋一の商工地」を誇った大阪―浪華の基となった近世大坂は文楽―人形浄瑠璃を庶人の中に生み、その愛好によって経済活動の担い手は活気を与えられたのです。第2次大戦後の日本における大阪の経済的立場の「弱体化」は、、首都の行政機能を強化する目的の旧東京都制(1923年成立の戦時法制)を受け、戦後の政府が首都たる東京の復興を最優先したことにまずもって原因があります。(この「東京都制」については、「はしもとくんのための東京都制講座  東京都制の新たな継承者へ  本家本元からのアドヴァイス」という興味深いブログがあります。)

 橋下氏はまず大阪市の「補助金」一般についての論―税から支出する補助金についてはルールがあるーから入りました。その使途について「見える」化・検証が必要であると。
 それは行政におけるすべての財政支出について当然のことで、かれ独自の改革案ではありません。(維新市議の政調費からの私物購入・自派の政治活動への流用はどう処置されたのでしょう。法的根拠のない諸「委員会的」組織への支出は? そして「特別顧問・参与」への報酬支給に該当する活動は?憲法違反の「思想・信条調査」に要した費用の支出は?……)
 さらにかれは文化振興施策としての「補助金」と憲法第25条に規定された社会権・生存金保障のための公的扶助を、意識してかあるいは不昧ゆえが、一緒にして語っている。
 後者は個人・個々の所帯が「健康で文化的な最低限度の生活」を行い得ない場合にその生存維持の費用を扶助するものであり、その扶助支出が必要ない状況が本来です。そしてその状況を目指し、就職支援、技術修得支援、あるいは医療支援が行われます。
 しかし、文化振興のための「補助金」はそうした扶助とはまったく別の性格を持ちます。
 「困っているなら助けよう」ではなく、「止むを得ず」ではなく、地域の、国の、そして世界の人々を共感・共歓によってつなぎ生きる意欲を喚起する役割を持つ「文化」を守り振興することは、積極的に為されるべきことだからです。 
 
 橋下氏は、技芸員、とりわけ若手や研修生の生活が楽でないことを盾にとって、「経費と生活費は別だ。『補助金』を個人の生活支援に充てることはできない。生活については収入を増やす自助努力をすべきで、観客収入の増減によって収入の多寡が決まるような仕組みにし、客が入るような新たな事業を積み上げるべきでそれが認められたなら助成金が支給されるようにしたい」と、要するに、国立劇場の独立採算制を進める国の「劇場法」改正に下駄を預け、かつ「儲けなければ補助しない」という従来の方向を変えていません。そこに行政体としての、文化振興・普及を図る積極的施策を見ることはできません。

 かれは、はしなくも「補助金」を「文楽という一つの芸」への支出と述べましたが、断じて違います。 「一つの芸」への支出ではなくそれを生み育て、そしてそれに生み育てられた大坂―大阪という政治・経済・文化において日本・世界で重要な役割を果たす都市の伝統―その基を守り振興するための支出なのです。

氏がよく「伝統芸能」の例に挙げる「上方(かみがた)落語」もまたその多くが浄瑠璃を題材にし、その詞章を活用している。歌舞伎においては言わずもがなです。庶人の愛好し生きる活気を得た芸能は「一つの芸」ではなく、都市そのものの具現化といえるのです。氏の捉え方はそうしたことをまったく顧慮できていません。いや、かれ一人にそれができない責任を押し付けるのは酷でしょう。賢明な、学識豊かな、かれの顧問たちの大きな責任でもあるのです。
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aさまへ 大阪府 起債許可団体に  (浪速姫)
2012-10-10 14:57:19
 お知らせ有難うございます。
 ほんとうにもっともっと知られるべきことですね。


《大阪府起債許可団体に     日経 2012.09.21

 大阪府は2011年度決算を基に算出した実質公債費比率(暫定値)が18.4%となり、新たな地方債発行に総務相の許可が必要な起債許可団体になると発表した。財政規模に占める借金返済の割合(過去3年度の平均)を示す実質公債費比率が18%を超える起債許可団体は10年度に全国で6道県あるが、大阪府は初めて。

 10年度で17.6%まで上昇していた府の実質公債費比率は、臨時財政対策債の発行増などで今回初めて18%を超えた。総務相に公債費負担適正化計画の提出が求められるが、当面の財政運営に影響はない見通しだ。
 しかし、比率が25%を超える早期健全化団体になると起債が制限される。府が7月に公表した中長期試算では過去の負債の償還で今後も比率は上昇する見込み。歳出削減などをさらに進めて実質公債費比率をピーク時の18年度で24.9%に抑える方針を示している。          

 府は18日、大阪市と堺市を除く府内41市町村の11年度決算見込みをまとめた。合計の実質収支は8年連続の黒字だったが、扶助費の増加などで実質収支の黒字額は約1億円減の171億円。
 赤字団体は前年度同様、泉佐野市だけだった。》

 つまり、橋下氏は府知事時代、借金に借金を重ねて「黒字」を装っていた、世に言う「粉飾決算」をしていたわけで。新たな起債には総務大臣の許可が必要となり、もう借金も勝手にできない。

 危なっかしいWTC―現大阪府咲洲庁舎の購入を初め借金増など、その失政の責任を逃れるために「市長」転身とも。市政の無為無策・失策を隠蔽するため「国政」進出を唱える……。

 福祉・文化施策の切り捨て、私企業への大阪市の切り売りと、そのツケが大阪府市民に回されている。

 大阪府のメールマガジン最新号(9月26日配信)の「松井一郎の『再生と挑戦』ではそのことに一言も触れず、「世界に羽ばたく大阪の技術」と題し、自身の「外遊成果」を語っています。

 「大阪 維新の会」は「橋下市長のニュース記事備忘録―忘れないために」の9月30日の記事で、上記の日経記事を転載していますが、せっかくお仲間が、忘れないようにと切り抜いてくれた記事を橋下氏は見てもいないか「府のことは松井君に言え」とか嘯いているんでしょう。

 キメイラのような「府市統合本部」ではどう協議するんだろう。

○起債許可団体(ウィキペディアより)
起債の際に国の許可を必要とする団体。実質公債費比率が18%を超えると起債許可団体になる規定がある。許可団体に転落すれば、財政の自由度が制限される可能性が高い。記載許可団体の前段階で、「起債協議団体」がある。

 なお堺市は2010年度実質公債費比率5.4%でした。



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10月4日の大阪府議会情報より (浪速姫)
2012-10-10 15:07:01
 先ほど入れ忘れまして。

《10月5日(金曜日)一般質問は以下のとおり。
 午後1時開会の予定です。

1番 みつぎ 浩明議員(維新の会)
 1.がん対策の推進
 2.修徳学院の役割
 3.臨海スポーツセンターの改修
 4.受動喫煙防止対策の取組み
 5.現代史教育の推進
 6.阪神高速道路の対距離料金制度
2番 半田 實議員(民主)
 1.住吉市民病院の統合案について
 2.労働者派遣法の改正について
 3.業務委託における労働条件の確保について
 4.特別顧問、特別参与の報酬について
 5.建設工事における流入車規制の遵守徹底について
 6.教育委員会制度の意義について
 7.国歌斉唱時の不起立者への処分
 8.学校における障がい者用トイレ等
3番 和田 賢治議員(維新の会)
 1.グランドデザイン大阪の推進
 2.自殺対策
 3.帰宅困難者対策
 4.府営住宅の財産処分
4番 加治木 一彦議員(公明党)
 1.関西国際空港
 2.国際会議等の誘致
 3.使える英語プロジェクト
 4.淀川の活用
5番 阿部 賞久議員(維新の会)
 1.「こころの再生」府民運動
 2.新たな国土軸の実現
 3.みどりの風を感じる大都市・大阪
 4.府市大学の統合
 5.ごみ処理の広域化

 質問予定概要の内容は大阪府議会ホームページをご覧ください。》
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aさま、浪速姫様、ありがとうございました! (ray)
2012-10-11 17:22:20
書いてみましたのでご覧くださいませ。
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大阪府議会での質問項目 (浪速姫)
2012-10-12 04:39:24
 ray先生、確かに拝見させていただきました。

 いかなる「橋下一派」支持者もこの冷厳な事実を前にして支持を貫けるでしょうか。

 府議会の質問予定項目を挙げたのは、もうどなたもおわかりでしょうが、事ここに到って「維新の会」が現実から目をそらせ自派の提案にのみ固執していることがそこに見られたからです。まあ公明・民主にしても、何が今論じられるべきかを等閑にしていますけれど。

 「起債許可団体」に転落した大阪府について、「グランドデザイン大阪の推進」がどの口で言えるのか。それ以上に噴飯物なのは、以下に示した、小学校の学級会の「今月の目標」の域を出ない「心の再生府民活動」ですが。恥ずかしげもなくよくも言えたものです。

 《「こころの再生」府民運動の7つのアクション

 「あかんもんはあかん」と、はっきりしかろう
子どもたちの、「人を傷つける」「嘘をつく」「ごまかしたり、盗んだりする」といった行為をみかけたとき、愛情をもって叱ることができますか。 子どもを叱るだけでなく、普段の自らの行動も振り返っていますか。

 「ええもんはええ」と、はっきりほめよう
 本気で何かに打ち込む人。ひたすら努力する人。人の役に立とうとする人。その人たちに、「かっこええやん」と伝えることはできますか。 自らも、本気で何かに打ち込んでいますか。電車で席を譲る、身体の不自由な人のお手伝いをするなど、「こころ」にシルバーシートを持っていますか。

「ユーモア」を大切にしよう
「ユーモア」をもって人と接していますか。コミュニケーションを楽しんでいますか。
 
「あいさつ」をもっと大切にしよう
出会いやふれあいのはじまりである「あいさつ」を大切にしていますか。

「おかげさんで」を大切にしよう
家族や周りの人たちへの感謝の気持ちを言葉にしていますか。 物への感謝の気持ちを忘れていませんか。

 子どもの話をじっくり聞こう
 子どもが話しやすい環境をつくっていますか。家族で、一緒に食事したり、出かけたりする機会をもっていますか。

 地域にどんどん出て行こう
清掃やボランティアなど、地域でどんな活動が行われているか知っていますか。 出会い、ふれあう楽しみを見つけに、地域にどんどん出て行き、参加していますか。》

 これはそのまま「維新の会」にお返ししましょう。とりわけ第一の「アクション」は。



 




 
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 「意見交換会」2 (浪速姫)
2012-10-12 04:41:37
 「意見交換会」で橋下氏が多く口にしたのは、「本公演」とは別の特別事業の計画を立てて儲けよ、そうした事業を積み上げたならそれに対して「助成金」を出そうということです。

 これに対して技芸員の側からは、本公演・地方公演・海外公演がある中で、それ以外の「事業」をプラスすることは困難である、また後から支給されるのではそうした事業も行えないという意見が出ました。

 本公演は大阪・東京を合わせ年9回、地方巡演は春秋2回、その間に海外公演があります。その都度、演目に応じたお稽古がある。人間国宝も同様です。自らの稽古に稽古をつけるということが加わる。稽古では、もうベテランといえる50代、60代の人に対しても容赦のない厳しい叱責(素人が聞けば罵声としか思えないほどの)がとびます。そうした苛烈さはどんな職業にもあるでしょうが、客にとって幾度通おうとも、舞台はその都度新しい舞台―その日その時の舞台はただ一度きり、「一期一会」―なのです。演者側はその客に常に最良の舞台を供しようとする。客は演者たちの精励を知る必要はありません。佳き舞台を楽しめばよいのです。しかし、その舞台、演者の在り方を云々する場合、そうした精励の状況を知らずに論じることは許されません。知っていれば、安易に仕事を増やせば金が稼げるなどと言えるわけがありません。
 
 また橋下氏は、海外公演や地方巡演は「文楽」のPRにはよいことだと述べましたが、これも的外れです。確かにそれによって「文楽」とはこういうものだということを知ってもらうことはできるでしょうが、「売り上げを上げる」ための宣伝として巡演の舞台が展開されるのではありません。あくまで世阿弥の言葉を借りれば「衆人愛敬(しゅうじんあいぎょう)」―多くの人々に楽しんでもらうことーが目的なのです。
 
 ここにも橋下氏の「芸能は金儲けの手段」としかとらえない狭量さが見てとれます。人間を生きさせ、生産に励ませる活気を与えるものという観点は全く欠落しています。「活気」を与えられない、いやむしろ奪われてどう社会が発展し得るのか。江戸期の「文化・文政の文化」は天明の大飢饉の直後に花開き人々を生きさせたのです。

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