金第1書記、朝鮮総連に日朝交渉巡り政界工作とマツタケ事件抗戦指示 総連は刷新人事
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に対し、拉致問題をめぐる日朝協議を有利に進めるため、政界工作強化や許宗萬(ホ・ジョンマン)議長宅が警察当局に捜索されたマツタケ不正輸入事件に抗戦するよう指示を出していたことが4日、分かった。複数の日朝関係者が明らかにした。指示を受け、総連は先月27日、韓東成(ハン・ドンスン)組織局長ら3幹部を新たに任命した。事件捜査を材料に拉致再調査を遅らせる可能性があり、政府が監視を強めている。
関係者によると、許氏は6月27日、都内の朝鮮総連本部で幹部会議を開催。5月25日の朝鮮総連結成60年を祝し、金第1書記が許氏宛てに送った書簡を朗読した。
書簡のタイトルは「偉大な金正日(キム・ジョンイル)同志の志を継いで在日朝鮮人運動の新たな全盛期を切り開こう」。書簡は日朝協議に絡み日本の政・官・マスコミ界の親北朝鮮勢力の拡大を図る対日工作を強化するよう朝鮮総連に求める内容で、許氏は「(日本の対北朝鮮)制裁撤廃、朝日関係改善、国交正常化のための環境醸成に取り組む」と決意を述べた。その上で、韓国の親北朝鮮団体への支援事業も活発化し、北朝鮮の対南工作の戦略基地としての機能を拡大させる考えも示した。
朝鮮総連に対する日本の警察当局による捜査については「金第1書記が日本の蛮行を全国家的、全世界的に断罪する方策や教示を下した」とも発言。許氏は、金第1書記の指示を実現するため、政界工作などを担う宣伝文化局長、組織局長、財政局長の3人を刷新する人事案も提示し、了承された。また幹部会議では金第1書記の指示内容の口外禁止を申し合わせた。
朝鮮総連は4日までの産経新聞の取材に「受けつけていない」としている。
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