・ 当たるも八卦 阿刀田高
その男の女房は人気者の占い師であった。
彼は失業してしまい、家で居候 をしていたが、
自由に使える金が欲しいので、女房の易を見真似で習って、
俄か易者になった。
まぐれ当りもあり、接客態度が良いので、お客が付いて、
小遣を稼いでいた。
そんな中で、強面の相場師の常連客が居た。
株の売買の占いを依頼されて、何回か適当に教えていたが、
後で調べると全部ハズレていたのが気になっていた。
やがて小金が溜まったので以前からの憧れの恋人と温泉旅行へ行く夢が実現出来た。
彼女とうきうきしてコンバート席に乗って居ると、途中からあの相場師の男が乗り込んで来て、見付かってしまった。
男は女の前でも観念した。
すると彼は「オマエの易の全部逆をしたら儲かった」
とお礼の小遣をくれた。