とある仮装パーティーに夫婦が招待された。
しかし、妻のマッジは酷い頭痛のため、
結局、夫が独りで仮装パーティーに参加することとなった。
マッジは夫の仮装用衣装を用意してあげると、そのまま玄関まで見送った。
家に残されたマッジは、薬を飲んですぐに眠った。
ぐっすりと眠って目覚めると頭痛はすっかり消えていた。
夫が出てから、まだ1時間しか経っていない。
ここで彼女はある悪戯を思いついた。
彼にはわからないように、自分も仮装パーティーに参加してみよう。
彼はいったいどんな行動をとるのか秘密で観察してやろう。
それは素敵な思いつきだった。
パーティー会場に駆けつけると、すぐに夫は見つかった。
彼はダンスフロアで若い娘を捕まえては踊り、腰に手を廻してはいちゃつき、
しまいには顔中を舐め回す様にキスの雨を降らせている。
マッジは怒りで我を失い、その場に立ち尽くしていた。
夫はマッジの存在に気がつくと近づいてきた。
そして、それまで相手にしていた若い娘になど目もくれずこう言った。
「美しい方よ、私と踊っていただけませんか?」
夫が自分に気づいたのではないかとマッジはいぶかった。
様子を伺うため、黙って踊ることに。
彼は踊りながら耳元でマッジに数々の素敵な言葉を投げかけた。
ここでマッジは気付いた。
「....違うわ。夫は、自分の妻と踊っている事に気付いていない」
マッジは彼を許す事にした。
羽目を外して若い娘に浮気をしても、最後に選んだのはこの私なのだから。
しかも自分の妻だとは思わずにである。
家に帰ったらどのようにからかってやろう。
こんなことを考えながら、マッジは彼の好きなようにさせることにした。
興奮で声を振るわせつつ、彼は耳元で囁く。
「外に出よう」
2人で外の車に行くと、情熱的な一時を過ごした。
今だ仮面をつけた彼は、相手が自分の妻だと思っていない様子。
仮面をつけたまま、2人は薄暗い車内で全裸になり、愛し合った。
マッジはいつもと違う久々の興奮に酔いしれた。
皆がマスクを外す深夜12時になる前、マッジは気づかれぬ様、家に戻った。
そして衣装を脱ぎ、ベッドの中で夫の帰宅を待った。
夫はいったいどんな言い訳をするのだろう。
そんな事を考えながら仏教の本を読んでいると、夫が帰って来た。
彼女は笑い出したいのをこらえつつ夫に尋ねた。
「パーティーはどうだった?」
「毎度のことで何てことないよ。お前が一緒じゃないと全然面白くないし」
「ダンスはたくさんしたの?」
「全然。1回も踊らなかった。別室でポーカーをやってたんだ」
マッジはいたずらっぽく聞きなおした。
「本当かしら? 信じられないわ。
顔がわからないのを良いことに、浮気でもしてたんじゃないの?」
「僕は嘘なんかついちゃいないさ。
だけど、アイツはすごく楽しかったと言ってたなぁ。
あのね、僕が衣装を貸してやったヤツの話なんだけどね.....」