鮫釣り
フロリダ公式訪問中のローマ法王、岬の先で何か大騒ぎしているのが聞こえたので、 そちらに向かうと、そこには黒人の男が海の中で、 巨大な鮫から逃れようと必死にもがいていた。 その現場に突如、三人の白人の男が乗っているモーターボートが突入して来た。 三人のうちの一人が鮫に銛撃ち砲を発射した。 銛は鮫のあばら骨に突き刺さり、鮫は動きを止めた。 残りの二人は海中の男を救い上げた。 三人は死んだ鮫をボートに積むと、 血だらけで意識が朦朧としている黒人の男をその横に寝かせて、 現場から急いで撤収した。 法王はボートの三人に自分の所にやって来るよう手招きした。 三人が陸地に上がると、法王は彼等の救助活動を讃えながらこう言った。 「あなた方のお国では、白人と黒人はお互い敵同志のように憎み合っている、 という話を私は聞いていた。 しかしそんなことはなかった。 あなたがたに神の祝福を。」 ローマ法王は彼等三人を祝福し、そして車に戻り、砂埃をあげて去っていった。 彼が見えなくなると先ほど銛を撃った男が他の二人に尋ねた。 「ありゃ、誰なんだ?」 一人の男が答える。 「あれは、ローマ法王さ。神と直接コンタクト出来て、神の叡智を知る人間だよ」 「そうかねぇ、」と銛を撃った男が答える。 「じゃ、彼は鮫釣りのことは何も知らないんだ。ところで餌はまだ使えそうかい? それとも新しい餌にしないとだめかな?」 |
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