私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

2011年度 私的ブックランキング

2011-12-28 20:08:17 | 雑感
2011年も終わりということで、今年読んだ本のベスト10を選んでみた。


1位 エドワード・オールビー『動物園物語/ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』
  
『ヴァージニア・ウルフ』の夫婦ゲンカがとてつもなくこわい。読んでいるだけで心がささくれ立つようだ。
しかしそんな互いを傷つけあう言葉の中から、見えてくる景色にしばし圧倒される。


2位 津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!』
  
主人公のアザミが大変魅力的。軽くイタイ子だけど、そのまっすぐな心根に胸が熱くなる。
そして青春小説らしく、もやもやしたところも、胸に沁みて、大変心地よかった。


3位 伊藤計劃『ハーモニー』
  
緻密なまでに考え抜かれた文体に、最後、してやられたという思いに駆られる。
少女の精神的ぶつかりあいや、筋運びもおもしろい。作者の急逝が惜しまれる一品。


4位 『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙』河北新報社
  
未曾有の大震災のときの状況、そしてその後の惨事に、読んでいて幾度も目頭を熱くさせられる。
そんな非常時の中、ときに悩み、迷い、苦しみながらも、報道を続けた姿勢に心打たれる。


5位 フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』
  
合わない作品もあるが、合う作品はびっくりするくらいの傑作レベル。
個人的には『フェーナー氏』と『チェロ』が好き。そこにある悲劇に、ただただ打ちのめされてしまう。


6位 北杜夫『夜と霧の隅で』 
7位 莫言『白檀の刑』
8位 津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』
9位 コーマック・マッカーシー『平原の町』
10位 冲方丁『天地明察』



◎番外
 トーマス・マン『トーニオ・クレーガー 他一篇』
 村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』

上記の作品は既読なので、ランキングからははずした。だが両方ともすばらしいまでの傑作である。


●総括
2011年という年は個人的にはいろいろなことがあった。
その年を飾るにふさわしくない作品が1位だけど、個人の好みだから仕様がない。
世の中は明るくもあり、暗くもある。そして明るい作品が心を打つときもあれば、暗い作品が心をゆさぶるときもある。そういうことらしい。
僕はこれからも王道を歩かないで行こうと思う。



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