私的感想:本/映画

映画や本の感想の個人的備忘録。ネタばれあり。

2008年度 私的映画ランキング

2008-12-29 10:13:57 | 雑感
今年も終わりということで、今年見た映画のベスト10を選出してみた。
2008年に宮城県で公開された映画作品がランキングの対象である。

1位 「ラスト、コーション」
  
セリフではなく、周囲の状況や俳優たちの所作、表情から心理を描写する繊細さが心地よい。
その繊細さが、この映画の物語を深くし、味わいあるものにしている。


2位 「ノーカントリー」
  
ハビエル・バルデム演じる暗殺者の存在感が圧倒的。己の価値基準で生きる暗殺者は不気味でインパクト大。
映画に漂う緊張感も忘れがたい力強さがあった。


3位 「ぐるりのこと。」
  
ちゃらぽらんでだらしない夫と、きまじめすぎる妻との夫婦愛の描写がすばらしい。
妻が心のバランスを崩す過程、そして再生に向かう様、夫の慈愛の様子などが丁寧に描かれており、心に響く。


4位 「この自由な世界で」
  
世界を支配する新自由主義と個人主義の構図を、シングルマザーの姿に仮託し描き上げる手腕は見事。
容易に解決の方法が見出せない状況を苦々しくも鮮やかにあぶり出している。


5位 「接吻」
  
主人公の自意識の描写が見事。そこから他者とのコミュニケーションの難しさを感じさせてくれる。
ある種、秋葉原通り魔事件との共通点も見出せ、時代に対する感受性の高さに感心させられる。


6位 「闇の子供たち」
  
タイのスラム街を舞台に、世界の矛盾をあぶり出す誠意に感嘆。世界の矛盾は行動を通してしか解決できないのではと感じさせられる。
個人的にはラストで示された新聞記者の心の闇が印象的。


7位 「おくりびと」
  
死を扱う納棺師という職業を通して、人間の死を、そして生そのものを照射する様が印象深い。
また納棺師という仕事に漂う厳かな雰囲気には感動すら覚える。


8位 「つぐない」
  
思春期の少女の潔癖感と残酷さと復讐心が、恋人たちに悲劇をもたらす過程が印象的。
映画に漂う格調高さも物語に力強さを与えている。


9位 「潜水服は蝶の夢を見る」
  
思考が明晰なのに、体が動かないという悲劇的な状況を、決して受難者のように描かない姿勢がすばらしい。
人生の最後を必死で生きようとする主人公の姿に人間の可能性を見る思いがする。


10位 「中国の植物学者の娘たち」
  
詩情あふれる映像を通して、女性同士の恋愛を美しくも耽美的に描いている様が心に残る。
ラストに不満は残るが、そこで描かれるベタに見えかねない恋愛模様は個人的には好きである。


●総括
今年は邦画が強い一年だったと思う。特に上記4作品は今年の収穫と言っていい。
洋画ももちろん粒ぞろいで満足そのものである。
不満の欠片もないというレベルの大傑作こそないが、安定して楽しめる作品はそろっていた。


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