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 バチカン市国(Stato della Città del Vaticano、the State of the Vatican City)は、イタリアのローマ市内にある、世界で面積が最小(44ha)の国家です。皇居の面積がおよそ115haですから、その33%、およそ3分の1ほどしかありません。しかし、この小国は、その中に行政庁、裁判所、放送局、鉄道の駅、ガソリンスタンド、スーパーマーケット、宿舎などがあり、聖職者や職員など1,000人ほどの国民もいます。




 バチカン市国は5m以上の壁で囲まれ、そのほとんどの場所が一般人の立ち入りを禁止しています。壁に穿たれた入り口には槍を持ったスイス衛兵が門番をしており、部外者の立ち入りを監視しています。来訪者はこの衛兵に面会の約束のあることを告げて、「入国」しなければなりません。

 しかし、バチカン市国にはサンピエトロ広場など一般人に解放された場所があり、そこには、「イタリア」から西に向かって足を一歩踏み出すだけで、簡単に「入国」できます。サンピエトロ広場、サンピエトロ大聖堂、バチカン美術館などは、バチカン市国ではごくわずかな区域ですが、そこには立ち入ることができます。

 バチカン放送局(Radio Vaticana、Vatican Radio)は、バチカンおよびローマ市内に向けてバチカン市国からFM放送の電波を送り出しています。バチカン放送は、1931年2月12日に第259代ローマ教皇「ピウス11世(Pius XI、在位:1922年~1939年)」のラジオ・メッセージ“Qui arcano Dei”で開始されました。世界各地に向けては短波放送がローマ郊外の送信所から送り出されています。しかし、対応言語に日本語もあったのですが(1959年~2001年)、財政難から外されてしまいました。 

 バチカン市国には、世界最短(路線延長300m)の国有鉄道(バチカン鉄道、Ferrovia Vaticana)があります。ピウス11世の在位中に、ローマ=ヴィテルボ線(Ferrovia Roma-Capranica-Viterbo)のローマ=サン・ピエトロ駅(Stazione di Roma San Pietro)での分岐から始まる路線と駅(Stazione di Città del Vaticano)が建設されました。列車は、ラテラノ条約によりイタリアの鉄道路線への乗り入れが認められています。

 鉄道利用の大部分は貨物輸送で、時には旅客輸送を行うことがあります。1962年10月4日、第261代のローマ教皇「ヨハネ23世(Giovanni XXⅢ)」は、イタリア大統領専用列車を使ってバチカン駅からロレート(Loreto、バチカン市国が管轄する聖地で、世界的に有名な巡礼地として知られている。教会(Santuario della Santa Casa)内にはナザレの聖母の家(1294年に運ばれたといわれるイエスが生活した家(聖家))がある)とアッシジ (Assisi、聖フランチェスコの生地であり、彼の精神を受け継いだ聖フランチェスコ会の総本山がある) への巡礼の旅に出発しました。

 会議などのためにバチカンを訪れる司教や枢機卿たちのための宿舎として「聖マルタ館(ドームス・サンクテ・マルテ、Domus Sanctae Marthae)」があります。ローマ教皇が亡くなると、次の教皇を選挙する会議(コンクラーベ、conclave)が開かれます。コンクラーベは、最近では2005年に第264代ローマ教皇の「ヨハネ・パウロ2世(John Paul Ⅱ、Giovanni Paolo Ⅱ、在位:1978年~2005年)が亡くなったときに開催されています。新教皇は、100人余の枢機卿によって選挙で選ばれますが、ヨハネ・パウロ2世によって建てられた「ドームス・サンクテ・マルテ」という宿舎で生活しながら、「システィーナ礼拝堂」での教皇選出会議に赴くことなりました。

 わたしは言う、おまえは岩(ペトロ)である。この岩の上に私の教会を建てよう。死の力もこれに勝つことはできない。わたしは天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐものは天でもつながれ、地上で解くものは天でも解かれるのである。」 (マタイによる福音書より)



 そのシスティーナ礼拝堂(Cappella Sistina)には、「ピエトロ・ペルジーノ(Pietro Perugino、若きラファエロの師)」の描く「聖ペテロへの天国の鍵の授与(Consegna delle chiavi)」というフレスコ画(3.35m×5.4m)があります。イエスが十二使徒の1人、「ペテロ」をその長として選び、天国の門を開く鍵を与えるという場面が描かれています。「コンクラーベ」の「クラーべ(ラテン語 clavi)」は「鍵」の意味です。

 カトリック教会では、教皇の地位と権威は、聖書のこの記述に由来するものであるとしています。イエスがペトロに「あなたに」と言ったことから、「首位権」とも呼ばれる「天国の鍵」は、ペトロの後継者であるローマ教皇が継承することになるわけです。しかし、プロテスタント教会は「天国の鍵」は「あなたはメシア、生ける神の子です」と信仰を告白する信徒に授けられると受け止めているようです。

 システィーナ礼拝堂では、ミケランジェロの「最後の審判」というフレスコ画が有名ですが、北側の壁にある「聖ペテロへの天国の鍵の授与」も見逃すわけにはいきませんね。

             (この項 健人のパパ)

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