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 厚生労働省は2010年1月20日にスイスの製薬会社「ノバルティス・ファーマ株式会社」が製造するH1N1新型インフルエンザワクチン、「乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1「ノバルティス」筋注用」(海外での製品名は“Celtura”)とイギリスの製薬会社「グラクソ・スミスクライン株式会社」の新型インフルエンザ(A/H1N1)ワクチン「アレパンリックス(H1N1)筋注」(海外での製品名は“Arepanrix”)を日本で製造販売することを「特例承認」すると発表しました。特例承認は、薬事法の審査手続きを簡略化して承認するもので、今回が初の適用となります。

 「薬事法」の「第4章 医薬品等の製造販売業及び製造業」の第14条の3には「第14条の承認の申請者が製造販売をしようとする物が、次の各号のいずれにも該当する医薬品又は医療機器として政令で定めるものである場合には、厚生労働大臣は、同条第2項、第5項、第6項及び第8項の規定にかかわらず、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、その品目に係る同条の承認を与えることができる。」とあります。

 これが特例承認で、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品又は医療機器であり、かつ、当該医薬品又は医療機器の使用以外に適当な方法がないこと。」などを要件とします。

 厚生労働省は2009年10月6日、欧州の製薬大手、イギリスのグラクソ・スミスクライン社(GlaxoSmithKline、GSK)とスイスのノバルティス・ファーマ社(Novartis Pharma)の2社とおよそ5,000万人分(2回接種の場合で、1回接種となった現在ではおよそ9,900万人分に相当する)の新型インフルエンザワクチンについて、購入契約を締結しました。グラクソ・スミスクライン社のワクチンは従来の鶏卵を用いるワクチン(製品名:Arepanrix)であり、ノバルティス社のワクチン(製品名:Celtura)は、細胞培養法によるワクチンです。

 この輸入ワクチンの初回の出荷はノバルティス社が2月3日に234万回分、GSK社が2月5日に240万回分が可能なのだそうですが、厚生労働省は1月22日に、輸入ワクチンについて、現時点で配分を希望したのは全都道府県のうち山梨県1県にとどまったと発表しています。山梨県は「4医療機関が『需要があった場合に備えて』と最小単位の50回分ずつ希望した」結果、その配分希望数量は200回分(GSK社製ワクチン)のみだったようです。初回出荷の供給可能量474万回分を大幅に、本当に大幅に下回ったことになります。

 今月1月29日に9回目の出荷が予定されている国産ワクチンも、供給可能な649万回分に対し、引き合いはその8割ほどの520万回分になっているようです。国産ワクチンもだぶつき気味になっているのです。しかし、子供たちの冬休みが明けて3週間ほど経ち、第2の流行のピークが用意されている可能性もあります。



 厚生労働省は感染症サーベランス事業により、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数を週毎に把握しています。過去の患者発生状況をもとに基準値を設け、保健所ごとにその基準値を超えると注意報や警報が発生する仕組みになっています。

 大きな流行の発生・継続が疑われるときには、「警報」が発せられ、警報レベルを超えている保健所数の割合が70%以上のときは、赤色系3段階で「赤」が表示されます。2010年第2週ではいまだ「愛媛県」と「静岡県」が「赤」の段階です。一方で、「注意報」も解除された県は東北地方を中心に8県あります。「注意報」は、流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性があることを、流行発生後であればその流行がまだ終わっていない可能性があることを示しています。これによると新型インフルエンザの流行はまだ終結してはいないのです。

 1990年から2008年までの「インフルエンザによる死者数」の統計によれば、平均で年640人ほどが死亡しています。1995年、1999年、2003年、2005年には、年間のインフルエンザ死者数が1,000人を超えています。

 1990年・・・・・・448人
 1991年・・・・・・100人
 1992年・・・・・・177人
 1993年・・・・・・519人
 1994年・・・・・・・65人
 1995年・・・・1,244人
 1996年・・・・・・166人
 1997年・・・・・・815人
 1998年・・・・・・528人
 1999年・・・・1,382人

 2000年・・・・・・575人
 2001年・・・・・・214人
 2002年・・・・・・358人
 2003年・・・・1,171人
 2004年・・・・・・694人
 2005年・・・・1,818人
 2006年・・・・・・865人
 2007年・・・・・・696人
 2008年・・・・・・272人

 2009~2010年シーズンの新型インフルエンザによる死者数は、現在(2010年1月26日)までのところ、180人。180人目は、かわいそうに、愛知県名古屋市の4歳の基礎疾患のない男の子でした(名古屋市では8人目)。1月23日に発熱し、38℃台。嘔吐もします。1月24日も発熱が続きます。夕方にはいびき様の呼吸が出現し、心肺停止状態となります。緊急搬送され、蘇生が試みられますが、午後7時23分に死亡が確認されます。死因は、症状などからインフルエンザ脳症や心筋炎が疑われますが、現在のところ不明です。新型インフルエンザ感染は、1月26日に名古屋市衛生研究所で、PCR検査によって確認されています。

 新型インフルエンザによる年間の死者数は現在までのところ、季節性のインフルエンザの年間の死者数の平均値を超えるとは考えられませんが、それでもインフルエンザが若年者や高齢者、それに基礎疾患のある人たちにとっては死亡リスクの高い感染症です。このリスクを低減させるように個人も社会も行動しなければなりません。

 この死亡リスクの高くなる人たちを守るには、本人とその周辺の人たちがインフルエンザに対して十分な知識を身に付けることと重篤化を防ぐためにワクチンの接種を受けることが必要だといえます。子供たちに対しては学校教育において感染症対策の知識を保護者を含めてより一層普及させるべきでしょう。感染しない・させない、感染しても重篤化させない、ということです。

 重篤化を防ぐには、「ワクチン接種」という手段がありますが、その安全性と有効性が確実なものでないことが悩ましいところです。安全性とは、「副反応」の出現と関係します。ワクチン接種は「免疫の獲得」という生体反応を期待して行うのですが、それ以外の反応が「副反応」です。一般的には副反応を「副作用」と呼んでいます。「生ワクチン(弱毒化したウイルスを使う)」であれば、ときにウイルス感染に伴って症状が出現する場合があります。しかし、日本のインフルエンザワクチンは「不活化ワクチン(化学処理などによって殺したウイルスを使う)」です。

 不活化ワクチンで起る副反応は、ワクチンに含まれるウイルスの構成成分、免疫賦活剤(アジュバント、Adjuvant)、不純物(発育鶏卵培養法で作られたワクチンには卵の成分がごく微量残ることがあり、重度の卵アレルギーがあれば、アナフィラキシー・ショックを起こす可能性がある。細胞培養法で作られたワクチンにも培養細胞の断片が残る可能性はある)などに対する免疫反応が原因となって副反応が起ることもあります。

 副反応(副作用)の中で重篤な症状を顕わすものは、アナフィラキシー、ギランバレー症候群(GBS、Guillain‐Barre syndrome) 、急性散在性脳脊髄炎(ADEM、Acute disseminated encephalomyelitis)です。アナフィラキシー(anaphylaxis)とは 特定の起因物質により生じた急性で全身性のアレルギー反応です。

 アナフィラキシーは起因物質との遭遇(摂取、接触、注射、吸入など)で症状が始まります。すぐに始まる場合と数分から数十分後に始まる場合があります。初期には、口内や唇の痺れ、喉や胸部の狭窄感、眩暈、動悸、耳鳴、腹痛などの自覚症状があり、皮膚の紅潮、蕁麻疹、浮腫、喘鳴、冷汗などの他覚症状も現われます。血圧低下、意識障害、呼吸困難などを伴うこともあり、死亡リスクもあります。気道狭窄による窒息も生じます。

 厚生労働省が1月29日に発表したところによると、新潟県の高血圧症、心臓弁膜症などの基礎疾患があった80歳代の女性が新型インフルエンザワクチン接種後に死亡しました(厚生労働省「新型インフルエンザワクチンの接種後副反応報告」116例め)。新型インフルエンザワクチンの接種後に死亡した例は1月27日までに117例あります。その多くが「関連無し」や「評価不能」と報告医から評価されています。その中で、報告医がワクチン接種と死亡との間に「関連あり」としたのは初めてです。使用されたワクチンは、「デンカ生研」の「S5-A」。

 女性は1月26日に新型インフルエンザワクチンの接種を受けたといいます。接種後30分間は副反応が見られませんでしたが、接種約40分後、帰宅途中で路上に倒れたそうです。救急車で医療機関に搬送されましたが、死亡が確認されたそうです。死因は基礎疾患が原因であることも考えられるそうですが、アナフィラキシーショックも考えられ、報告医は「関連あり」と評価したようです。

 109例めには「ギランバレー症候群」の副反応の否定できないケースがあります。基礎疾患のない70歳代の男性は、ワクチン接種10日後頃より、表在覚(触覚・痛覚・温冷覚)に障害が現われ、進行したといいます。ワクチン接種20日後には、両下肢の筋力が低下したようです。顔面筋の筋力の低下も現われます。ワクチン接種24日後、入院します。検査所見からギランバレー症候群が強く疑われています。使用されたワクチンは「化血研」の「SL03B」。

 1月28日、下の息子「健人」(11歳)の新型インフルエンザワクチンの2回めの接種を受けてきました。使用されたワクチンは「北研」の「NB003B」でした。上記から見れば、まだ我が子は「ギランバレー症候群」発症の観察期間中ですが、JR東日本の「土・日きっぷ」(「土・日きっぷ」は2010年3月28日までの利用期間をもって終了)を昨日小遣いで買ってきて、きょう(土曜日)朝早く起きて1人で(私のお下がりの「デジカメ Cyber-shot」を持って、「マスク」をして)出かけて行きました。できれば、新幹線に乗って仙台に行きたいそうです。妻と誰が「鉄ちゃん」に育ててしまったのか、議論をしています。

               (この項 健人のパパ)

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