POWERFUL MOMが行く!
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(参考) 「デング熱のウイルスは、日本のヒトスジシマカに常在するようになってしまうのか。(2)

(参考) 「デング熱のウイルスは、日本のヒトスジシマカに常在するようになってしまうのか。(3)

 2013年9月1日、51歳のドイツ人女性が2週間の日本旅行を終えてフランクフルトの空港に降り立ちました。生来健康でしたが、9月3日より、40度の高熱を発し、吐き気に襲われ、続いて、小さく盛り上がって痒みを伴う発疹が体のあちらこちらにでき始めた(斑状丘疹状皮疹、maculo papular)といいます。9月9日にベルリンの病院を受診し、入院しました。鑑別診断の結果、臨床像より、デング熱(dengue fever、デンギー・フィーヴァ)を疑われることになります。9月10日(発症後7日目)に採取された、血清サンプルにおいて、デングウイルス(Dengue virus)IgM及びIgG抗体(間接蛍光抗体法、迅速試験)とデングウイルスNS1抗原(ELISA法、迅速試験)ともに陽性であったことから、彼女はデングウイルスに感染していることが確認されました。入院1週間後、回復して退院しました。

 長野県上田市(8月19~21日)、山梨県笛吹市(21~24日)、広島県(24~25日)、京都府(25~28日)、東京都(28~31日)という旅程をとった女性は、笛吹市で、複数個所、蚊に刺されたと申告したそうです。デング熱の潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、3日から14日である(ほとんどの場合、4日から7日)ことから、笛吹市で感染した可能性が高いといえそうです。

 日本国内で行われている捕集蚊のサーベイランスにおいて、これまでデングウイルスが検出されたという報告はないことから、海外で感染し日本で発症した急性期の患者(診察を受けていないか、デング熱とは認識されず治療を受けた。デング熱に特有な症状はないので、他の感染症として治療され回復している例がかなりあるのではないかと考えられている。デング熱であれば、感染症法によって医師は診断後直ちに都道府県知事などに届け出る)の血液を吸血したヒトスジシマカに刺されることによりデング熱に感染した可能性が考えられます。


                    「デング熱発生届」の一部

 厚生労働省は、2014年8月27日、海外への渡航歴がない女性がデング熱に感染し、発症したと発表しました。デング熱を発症したのは、埼玉県内に住み東京都内の学校に在学中の10代の女性で、国内で感染したものとみられています。女性は、8月20日ごろに高熱などの症状がみられ、さいたま市内の医療機関を受診しました。国立感染症研究所が血液検体を調べたところ、8月26日にデングウイルスへの感染が確認されました。現在、容体は安定しているようです。東南アジアなどを旅行中に感染し、帰国後に発症する輸入感染症の症例は増えています(2014年は8月17日までに98人で、昨年(2013年)は249人だった)が、国内での感染は1945年に確認されて以来、報告がないということです。つまり、69年ぶりということになります。

(参考) 「輸入感染症 - ウイルス感染症の「デング熱」にバリ島で感染し、日本に

 WHO(世界保健機構)のページによれば、デング熱の発生率は過去50年間で30倍に増加しているといいます(The incidence of dengue has increased 30-fold over the last 50 years.)。1970年以前は、デング熱の深刻な流行のあった国は、9か国に過ぎなかったのが、現在では、アフリカ、南アメリカ、東地中海、東南アジア、西太平洋地域の100か国以上で流行しています。南アメリカ、東南アジア、西太平洋地域は、最も深刻で、2008年には120万人以上、2010年には230万以上が感染し発症したと報告されています。

 台湾では、南部の高雄市などで、デング熱(中国語では、音訳して「登革熱(denggere、1-2-4声)」)が流行しているようです。2014年8月26日配信の中央社の記事からです。

 疾管署公布今年至今本土登革熱病例984例,上週新増226例本土病例,副署長周志浩説,這是自2003年来単週最高,創11年新高。(台湾の衛生福利部疾病管制署は、今年のこれまでの国内でのデング熱感染例が984例となり、また、8月19日から25日までの1週間での国内での感染例は226例に及んだと発表した。1週間の記録としては2003年以来で最多となり、11年ぶりの高水準になったと副所長周志浩氏は語った)

 国内で感染し発症した984例の他に、海外で感染し国内で発症した例は129例あったようです。

 他説、境外移入病例感染来源分別為印尼49例,馬来西亜39例,菲律賓20例,新加坡7例,泰国4例,諾魯及緬甸各2例,柬埔寨、法属玻里尼西亜、沙烏地阿拉伯、印度、中国大陸及吐瓦魯各1例。(感染した場所は、インドネシアで49例、マレーシア39例、フィリピン20例、シンガポール7例、タイ4例、ナウル、ミャンマーがそれぞれ2例、カンボジア、フランス領ポリネシア、サウジアラビア、インド、中国、ツバルがそれぞれ1例だったと周氏は語った。)



 外務省の海外安全ホームページの「感染症(新型インフルエンザ等)関連情報」を読むと、2014年7、8月とも、台湾に関しては「感染症スポット情報」が発出されていません。少なくとも台湾南部において、デング熱のウイルスは常在していて、この感染例の数でも例年と大きく変わらないのでしょうか。2007年8月に台湾におけるデング熱発生状況を現地調査した日本の国立感染症研究所の研究員の報告するところによると、デングウイルスの流行した地区は衛生環境が良いにもかかわらず、狭い範囲で短期間に感染が広がったといい、雨季(高雄市は、6月から8月)においては、デングウイルス媒介蚊に対策を講じることは難しいようです。

 日本にも雨の多く降る時期はあります。梅雨期と秋雨期です。温暖化が進み、デングウイルス媒介蚊の繁殖を大きく許すようになれば(例えば、ヒトスジシマカが成虫のまま冬を越すことができるようになれば)、デング熱への感染のリスクが高くなります。デング熱が日本でも流行する可能性は、近い将来高くなるかも知れません。

 外務省の 海外安全ホームページ の2014年2月14日発出(本情報は2014年8月28日現在有効)の感染症スポット情報「東ティモール:デング熱の流行」からです。

 東ティモールでは、2014年に入ってデング熱の患者が急増しています。
 東ティモール保健省によれば、2013年12月28日~2014年2月7日までの患者数は242名で、同時期の患者数としては2009年以降で最も多くなっています。デング出血熱やデングショック症候群といった重症患者も多く発生しており、患者の約40%がこうした重症患者です。また、患者の約90%は首都のあるディリ県で発生しています。
 また、東ティモール国内の医療設備は十分ではなく、デング出血熱やデングショック症候群の治療を十分に行うことはできないため、このような状態が疑われた場合は、直ちにシンガポールなど、近隣の医療先進国への緊急移送が必要となります。


 オーストラリアの北にティモール海を隔てて小スンダ列島の東端にある島がティモール島です。ティモール島は、独立国である東ティモール(East Timor、Timor-Leste(ティモール・レシュテイ)、インドネシア語では、“timur”は、「東」を意味します)と、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州の一部である西ティモールとに分かれています。

(追記) 2014年8月28日(木)配信のNNNニュースからです。

 厚生労働省は、国内でデング熱に感染した人が、8月27日に発表した女性に加え、さらに2人確認されたと発表した。3人は同級生で、東京の代々木公園でデングウイルスを保有する蚊に刺されて感染した可能性があるという。

 厚生労働省などによると、新たにデング熱への感染が確認されたのは、東京都に住む20代の男性と埼玉県に住む20代の女性で、いずれも海外渡航歴はないという。2人とも入院しているが、快方に向かっている。

 8月26日、埼玉県に住む10代の女性が、デング熱に感染したことが確認されたが、この3人は、東京都内の同じ学校の同級生で、学園祭の練習のため、今月上旬から中旬
(8月11日、14日、18日)にかけて、一緒に週に3回ほど代々木公園に出かけ、蚊に刺されたという。

 厚生労働省によると、蚊がデング熱に感染した人を刺すと、蚊の中で、1週間ほどかけてウイルスが増殖するという。都は8月26日から27日にかけて、3人が蚊に刺された渋谷門付近で35匹の蚊を調べた結果、デング熱のウイルスを持つ蚊は見つからなかったという。

 しかし、都は、代々木公園でデングウイルスを保有する蚊に刺されて感染した可能性もあるとして、この付近を8月29日朝まで立ち入り禁止にして、蚊の駆除を行うという。


 この3人は今月(8月)中旬まで、東京・渋谷区の代々木公園で、30人ほどでダンスの練習をしていたといいます。その機会にデングウイルスを持った蚊に刺され、感染したとみられています。30人ほどでダンスをしていたならば、ほかにも刺された人はいる可能性があります。感染しても全員が発症するわけではないので、不顕性感染者はいることになります。デングウイルスに対する抗体を持っているかの調査は行われるのでしょう(3人以外に感染が疑われる学生はいないと発表されています)。

 いろいろな可能性が考えられます。8月上旬ころ、デングウイルスを持っているヒトを刺した蚊は1匹だった?それとも数匹だった? ヒトスジシマカのオスもメスも花の蜜や樹液などを主なエサとしていますが、メスは機会を見て吸血するとそれを栄養として卵巣を発達させ卵を産み落とすといいます。成虫は30日ほどの寿命であり、メスはその間に4、5回産卵するといいます。

 デングウイルスを持ったメスのヒトスジシマカが1匹だけだった場合は、すでに寿命が尽きて、死んでしまっている可能性もありますが、数匹だった場合は、いまだデング熱を感染させる可能性があります。代々木公園では、8月28日午後5時から1時間半ほどかけて、デング熱の感染が確認された3人が蚊に刺されたとみられる入り口付近を中心に、蚊の駆除作業が行われたそうです。(追記の終わり)

(追記‐2014年8月31日)

 新潟県は8月31日、海外渡航歴がない県内の10代の男性がデング熱に感染した疑いがあると発表しました。この男性は8月20日に学校行事で代々木公園を訪れていて、蚊に刺された可能性があるといいます。8月24日に発熱や頭痛などの症状を訴えて入院。現在は、快方に向かっているそうです。同じ学校で他に症状が出ている人はいなようです。

 8月30日に新潟県の保健環境科学研究所がスクリーニング検査を行ったところ、デング熱に陽性の結果が出ました。新潟県は男性の検体を国立感染症研究所に送り、研究所はデング熱に感染したものかどうかの確認の検査を行っています。検査の結果は早ければ9月1日に判明するそうです。

 スクリーニング検査においては、発熱、強い頭痛などがあるという患者の検体をELISA法などでできる限り多く検査し、その中から陽性反応を示すものを拾い上げ、それに対して確認検査を行います。(追記の終わり)

(追記-2014年9月1日)

 横浜市は8月31日、神奈川県内の10代の女子高校生と20代の男子大学生の2人が、8月末に39度以上の発熱などを訴え、検査の結果、デング熱の陽性反応が出たと発表しました。2人とも代々木公園を訪れており、女子高校生は8月16日から18日にかけてセミナーの合宿で代々木公園付近に滞在し、男子大学生は8月18日、代々木公園を知人と訪れていたといいます。この日本国内でのデング熱感染はどれほどの広がりを持つようになるのでしょうか。

 この3人とは別に、少なくとも10人以上が、デング熱に感染した疑いがあるとみられており、検査が行われているといいます。9月1日昼ごろに、その結果が判明するようです。(追記の終わり)

(追記 -2014年9月1日)

 東京・代々木公園で民放の情報番組の収録をしたタレントの20代の女性2人がデング熱に感染していたことが9月1日、判明したようです。2人は現在治療中といいます。2人は8月21日午後、リポーターとして代々木公園で収録をしていた際、蚊に刺されて感染したとみられるそうです。収録には2人のほか番組スタッフら5人が参加しており、今後検査を受ける予定といいます。

 この女性タレントの1人は、ロケ翌日の8月22日、「両足を32~33か所蚊に刺された」と話していたといいます。26日に熱が出て、病院では風邪と診断され、解熱剤を飲んだことで、熱が下がったようです。ところが、29日夜に再び発熱し、「目の奥が痛い」と訴えたため、30日に別の病院へ行き、デング熱に感染した疑いがあることがわかったといいます。(追記の終わり)

                         (この項 健人のパパ)

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