音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆楽譜に記された至極の音楽性!?~ブラームス《ワルツ》における左手和音「アルペジオするか、しないか」

2010年05月30日 | ◆一言◆
ブラームス作曲《ワルツ op.39-15 変イ長調》


うつくしい、有名なワルツ。


楽譜をのぞいてみますと、
ワルツのリズムを刻む左手の和音は、
基本的には「和音をアルペジオ(=バラして)」弾くよう指示されています。
(それぞれの和音の左側に書かれている波線がその指示)


ところが、よくよく見ると、3小節目の3拍目には・・・!?
・・・この波線がありません・・・

そして直後の4小節目からは、また再び波線が現れています。


そして今度は7小節目の2拍目、また波線がない・・・






これは印刷ミスでしょうか!?
いや、違うと思います。


こちらの譜例は、ドイツの出版社
『Breitkopf & Haertel』社から取ったもの、
信頼置ける原典版です。

ということは、
ブラームス自身が上記のように書いていたと
おそらくは信用できるはずなのです。



なぜ、和音の弾き方がこのように変わっているのか!?


楽譜を見ながら、じっくり、実際にその通りに弾いてみました。
すると・・・

この通りに弾くのが、
いい感じがするように思えてくるのです。


敢えてその理由を述べてみますと、
「p dolce」という甘く柔らかな音楽性にのって、
波線が書かれた和音には「ほんのちょっとしたゴージャスさ(grazioso)!?」
が今日の僕には感じられます。

それが、ふと、無くなること(波線が無くなること)により、
音楽に一瞬の軽さが出るような!?
(↑これが3小節目の3拍目だったり、7小節目の2拍目だったり)


ちなみに、
厳密な演奏法としては、アルペジオは拍前に出し、
アルペジオ最後の音(=和音一番上の音)が拍に合わさるとよいと思われます。


楽譜の先をさらに見てみますと、
このワルツの後半部分はよって、
楽譜の通り、左手のアルペジオは無く、
すっきりとした和音となって、「poco cresc.」に伴って
音楽は感動的な「ドッペルドミナント」に至る・・・!!




絶妙な音楽性が、
楽譜には宿されているのかもしれません・・・




さすがはブラームス!?



このような高度なクラシック音楽の楽譜の記された事細かな違いには、
彼ら天才的作曲家たちの類いまれな高い音楽性が秘められていると
改めて、知らしめられるような気がするのでした。









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