二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメss 【Fate】アイリ鯖化

2014-10-08 23:38:05 | おススメSS

【Fate】アイリ鯖化

引き続きfATEのssを紹介します。
第五次聖杯戦争を題材としたものですが、
養父である衛宮切嗣が生存し、妻アイリスフィールをアヴェンジャーとして召還してしまう話です。


話しの構成も1話1万時オーバーで丁寧な描写とあいまって、
今後の展開が期待できますが、残念ながら現在は更新停止中です。
しかし、それでもfATEのアニメ放映に合わせて再開されるかも知れませんし、短編ネタとして読むならぜひ読んでみてください。



召喚は成功していた。
未完成の詠唱でも、切嗣は数合わせのマスターとして選ばれたのだ。

「――問いましょう」
声は背後。
重力に縛られることなく、その存在は浮いていた。

「貴方が、私を喚んだマスターなのかしら?」

弾む声は女のもの。
その声を、切嗣は知っていた。
過去。凄絶な人生の中にいた切嗣に、確かな幸福を与え、傍に寄り添っていた存在。
すでにこの世にはいない筈の、切嗣が最後に愛した女性。

「アイ、リ……?」
 
茫然とした呟きに、艶然とした微笑みが返される。
痩身に纏う黒衣のドレス。瞳と同じ鮮血色のラインが描かれたそれは、切嗣の見慣れぬ衣裳。
髪の色は透き通る銀色なのに、連想させる色は濁った泥の様な暗黒。
雪を纏う聖女は闇に蝕まれた悪意の塊となって、空間に浮かび上がっていた。

「なん……で」

理解が出来ない。
何故彼女がこうして現れるのか、と。
茫然としたまま、その幽玄の微笑に魅入られる。
彼女がサーヴァントとして呼びかけに応じたという意味が示す結論は、
その回答は一つしかないというのに、切嗣の理性は必死に理解を拒んでいる。

「あら、外が賑やかね」

切嗣の驚愕に興味など示さず、宙に浮遊するサーヴァントは一人楽しげに囁く。
視線を向けた方角。嫌な胸騒ぎと共に、切嗣は我に返る。
屋外から響く剣戟の音は、多重に響き渡る甲高い鋼。
サーヴァントのみが可能にする高速戦闘が奏でる死闘の音だ。

嫌な予感が膨れ上がる。
多少なりとも魔術の結界を施しているこの邸宅に、一般人を救出する為にサーヴァントが侵入してくるなどまず考えられない。
音の方角には土蔵があった。脳裏に描くのは、過去にアイリスフィールが敷いた陣。
もし、そこに魔術の素養を持ち、聖遺物を体内に持つ存在が近づき、
聖杯戦争のマスターを揃える為に新たな人間を欲していたとすれば。

「ま、さか……」

士郎もまた、選ばれてしまったのか。
身体の中に埋めた聖遺物から、何者が導かれるのかは既に悟っていた。
前戦争では切嗣のサーヴァントであった、セイバークラスにおいて最強の位置に存在する英霊、騎士王。
凡そ白兵戦において、彼女が負ける道理は無い。

問題なのは、士郎がマスターとして選ばれてしまったことにある。
戦い自体から逃れることは可能であるという名目はあるが、実質は難しい。
聖杯戦争のルールが、それを許さない。一度マスターに選ばれてしまえば、
令呪とサーヴァントを捨て去っても他のマスターの標的になり得る。

切嗣が嘗てそうしてきたのだから、それを疑う余地は無い。
第四次の戦争では半分以上が死んだ。士郎も無事に切り抜けられる保証は無い。
最も恐れていた展開が、ここに訪れていた。

「少しは自分の心配をしたら、マスター? 私の治癒魔術では、もう手遅れよ」

体温が失われていく切嗣へ伸ばされた繊手は、血溜りに沈む身体をなぞり白い掌が赤く穢れる。
サーヴァントが魔力を注ぐが、それ以上の速度で生命力が抜け出していた。
血圧が低下し、鮮血の流出が緩やかになる。
これ以上の生命維持に危険が生じる段階に足を踏み入れていた。

「ごめんなさいね。マスターに死なれては困るから、この方法を取らせてもらうわ」

謝罪のそれは、口吻けの感触。
唇に伝わった感覚は凍えた温度となり、どろりとした冷たい何かを、肉体に流し込む。
嘗て、身に受けた呪いを思い出す。

そして。
同時に思い出す。
この女は、あの中で見た存在だと。
接触部から伝わり、身体の内側で蠢く何かが、胸の中に巣食う。

止まりつつあった心臓がどくり。と、異質な音を奏でた。







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