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SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 反物盗人(虚構推理×ルパン三世)

2020-04-08 01:02:14 | おススメSS

 

#虚構推理 #クロスオーバー 反物盗人 - 緑茶葉の小説 - pixiv

“大奥の反物”と呼ばれる宝がある。 江戸城の明け渡しという形で大奥が終焉を迎える日の少し前。御台所や側室に仕えていた女中達が主の物を軍に奪わ...

pixiv

 

 

登場人物たちの個性が非常に強い上に独特な言い回し。
加えて推理物、というより頭を使う頓智物ゆえか「虚構推理」を扱ったネタは少ないです。
その中で本作はクロスオーバー、しかも「ルパン三世とのクロスと無謀極まる挑戦をしています。
しかし読んでみれば両作品に出てくる登場人物の思考と発想を上手くトレースできており、違和感を覚えません。

特に最後のオチは「虚構推理」らしい終わり方であったのがポイントが高いです。
ぜひ見てください。

 

「うどんと言えば、上方落語に『時うどん』なんていうものがありますね」


財布から小銭を取り出し、投入しようとしていた手を止める。
振り返れば、娘は箸を宙に向け、箸の先でくるくると円を描いていた。

「言い回しが古典落語の『時そば』と少し異なりますが、大方の流れは同じという演目です。ご存じですか?」
「もちろん。『時そば』も『時うどん』も両方知ってるぜ?」

娘が何を言いたがっているか――否、何をさせたがっているか、
予想ができたルパンは財布の中を確認した。どんな偶然か、演じれそうな枚数が入っている。

「一文は現在の価格にすると約25円。でもって、このうどん自販機のうどんは一杯300円。つまり12文ってわけだが・・・」

娘に近づいて、
テーブルの上に小銭を置く。

百円玉が二枚に十円玉が十枚。
十二文ではないが、計十二枚あることになる。

「『時そば』をご所望かい?」
「所望というわけではありませんが、天下のルパン三世さんは自販機さえ騙くらかせるのかを知りたいとは思いますね」
「いいぜ。恋人に置いてけぼりをくらって傷心しているお嬢さんの心が少しでも癒えるなら」

十二枚の小銭を手に自販機に向かう。
基本的に試されるのは嫌いだが、少し変わった娘の興に乗ってみるのも悪くないと思ったのだ。
正直、妙に大人びているあの娘の驚いた顔が見てみたいと思ったというのもある。

自販機を蕎麦屋の主人、投入口を主人の手として見立て、口を開く。

「おい、蕎麦屋さん。生憎と細けえ銭っきゃ持ってねえんだ。落としちゃいけねっから、手ェ出してくれ」

全て演じるわけではない。数える場面だけだ。
けれど、それだけで十分だったようで、背後から「おお」という声が聞こえた。


投入口に小銭を一枚一枚数えながらテンポ良く入れていく。

「一(ひい)、二(ふう)、三(みい)、四(よう)、五(いつ)、六(むう)、七(なな)、八(やあ)。そういや嬢ちゃん、今何時でい!」
「そうですね、九つですよ」
「十(とう)、十一、十二。へい、御馳走様!」

十円を一枚手の中に隠したままボタンを押す。
すると、自販機は音を立て、稼働した。調理をしているのか、
ボタンを押してから三十秒後、取出口にプラスチックの安い器が現れた。中にはうどんと具が入っている。

「おや、これはこれは。なんとも面妖な自販機があったものですね。人語を理解するとは」

 

 

 

 

 

 

 

 


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