二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS ゴジラ vs 大仏

2016-08-20 23:29:49 | おススメSS

ゴジラ vs 大仏

今話題のシン・ゴジラで時代設定を平安時代にしたスピンオフ作品です。
それだけでも色々ぶっ飛んだ設定ですがこのSSはタイトル通り「大仏とゴジラが戦う」という話です。

しかし展開は映画と同じく「燃える」もので文体も可能な限り古語で表現されており、
ネタなタイトルですがただのネタに終わらず真剣に取り組んでいるのが伺えます。

完結済みです。
ぜひ見てください。



難波京、高楼。
帝、藤原四兄弟、その他の議政官たちは高楼に上り、呆然と西を見つめた。
下では、文官武官の区別なく、みな宮殿の屋根に上り、同じ光景を目撃していた。

都の西、砂洲に造られた難波津の港湾に――巨大なものが、いた。
あれを、何と呼べばよいのであろう。
大木を思わせる二本の脚。
濁った薄汚い体液を絶え間なく滴らせ、滑り、ねばつく肌。
瞼も睫毛もなく、眼孔にむき出しのまま填め込まれた、ふたつの眼球。
鳥に似た首。魚に似た口。蛇に似た尻尾。
そして他のいかなるものにも似ていない、人の2、3人を軽く一飲みにする、巨躯。

難波津の港は、恐怖と狂気に飲み込まれた。
“それ”が走る。のたうちながら、見苦しく。
ただそれだけで建物は崩れ、橋は落ち、人は潰れて赤い花と化す。

「まさか……あんなものが」

誰かが呟いたが、それが誰の声であったのか。もはや誰にも分からなかった。

そのとき、巨大いとおほき不明あきらけからぬ衆生しゅじょうが、ぐんと頭をもたげた。
その目が、はるか高みから、難波京の高楼を見下ろしている。

「いかん! 来るぞ!」

巨大不明衆生が走った。難波京へ向かって一直線に。
人にとっては小一時間、されど、奴にとっては一息の距離。

咆哮もない。悪意も感じさせぬ。
どこを見るとも知れぬ虚ろな目で、
しかし都を確かに見据えたまま、巨体は迫り、ついに宮殿をひと揉みに揉み潰した。

殿上人たちが逃げ惑う。文官は叫ぶ、へたり込む、
あるいはあてもなくただ走る。武官の幾人かが矢を放ったが、鉄の矢尻さえ岩のような肌に弾かれた。

そして、巨大不明衆生が尾を振った。
無造作に。

かつて天智天皇が建て、
「殫ことごとくに諭いふべからず(言葉では言い尽くせない)」と謳われた、壮麗華美たる難波京は、砕け散った。

そこに居合わせた、数百の人命とともに――








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