堅物祝い
ブレイブウィッチーズのPVが公開されたのでストパンのSSを紹介します。
8月18日、、それは宮藤芳佳とサーニャ・V・リトヴャグの誕生日であり、
501の面々はそれぞれのプレゼントを用意する中、不幸にもバルクホルンだけはプレゼントを用意できずにいた。
しかし、バルクホルンはエイラの助言に従い、ある者を用意した……。
しかし、お前もここにいたということはやはり悩んでいたのだろう?」
バルクホルンは自分の部屋にいても寝てしまうのでここに来た。
未だ考えはまとまっていないが、ともかくエイラだってこんな時間にここにいる。
だとすれば彼女だってある種の同志と言えるのではないか。
「なぁ……そうだろうエイラ?」
もしそうなら力になろう。
そして力になって欲しい。
三人寄れば文殊の知恵と扶桑では言う。
ここに三人いるわけではないが、少なくとも一人よりかはずっと良いものになるに違いない。
「お前もサーニャのことを考えていて……」
「私は普段夜間哨戒の時間だから目が覚めただけだゾ」
「……規則正しい体だな」
落ち着け、褒めよう。いや、褒めよう。
エイラがこの時間に起きてそう言っているのであれば、
軍人として正しく頑張っているが故の癖と言えるはず。
だから何もおかしくない。
やばいのは自分の方だ。依然、変わりない。
(くそっくそっ、なんか惨めだ……)
「まぁ、サーニャのことが大事だけど……大尉に力を貸しても構わないゾ」
「何?」
有難い申し出だ。
しかしどうして突然切り出してきたのだろう。
「私だって宮藤は大事な後輩だ。
それに大尉はサーニャのことも考えてくれている。
大尉がサーニャも喜ばせてくれるってんなら、協力しないわけがないだろ?」
月夜に照らされてほほ笑むエイラ。
バルクホルンにとってのある意味後輩で、仲間で、僅かに弱い時もある。
「エイラ……」
それがこんな状況だからかとても、
見違えるほど頼もしいものに見えて、涙を落としそうになった。
成長しているのは自分だけではない。
あまり目の届かなかった彼女だって、確かに強くなってくれているのだ。
年上としても軍人としても非常に喜ばしいものである。
「泣くなよ大尉。私に任せてくれ」
「……ふふっ、そうだな。お前にも頼むとしよう」
「それじゃあとりあえず菓子があるけど……どうだ? それで、大尉と共同で買ったことにするんだ」
なるほど確かに、バルクホルンは頷いた。
少し卑怯かもしれないが、誰かと一緒に合わせて買ったことにすれば一応の体裁は保てる。
このスオムスのウィッチ、やりおる。
「わざわざ注文してちょっと値が張ったから、大尉がお金出してくれると助かるゾ」
「なるほど、持ちつ持たれつ……何から何まですまないな」
感謝。
こんな時だからこそ感謝。
看板の無いY字路で誰かが地図を手渡してくれたような奇跡の遭遇。
逃し続けた好機がどうやら巡って来たようである。
「それで、どんな菓子を買ったんだ?」
「サルミアッキ」
「だろうと思ったよッ!」
涙を無駄にしなくて良かったと思うバルクホルンだった。