二次元が好きだ!!

SSなどの二次創作作品の連載、気に入ったSSの紹介をします。
現在ストパン憑依物「ヴァルハラの乙女」を連載中。

おススメSS 切嗣「問おう。士郎が僕のマスターかい?」

2014-10-12 11:28:36 | おススメSS

切嗣「問おう。士郎が僕のマスターかい?」

昨日Fateが放映されたので再度FateSSを紹介します。
タイトルの通り主人公がセイバーではなく、養父を呼び出してしまう話です。

完結済みなので、安心して読めます。
どうぞ

 ――ただ、夢中で転がり込んだ。
 土蔵の中を見回すが、手近に武器になりそうなものはない。
 青い服を着た男が、血に濡れたような紅の槍を持って悠然と入ってくる。
 これじゃ袋のネズミだ。殺される――俺がそう思ったとき、背後で懐かしい声がした。

「大丈夫かい? 士郎」

 そいつは名乗りもしないのに俺の名前を知っていた。
 いや、そんなのは当たり前だ。だってこいつは。

「……なんだテメェ。英霊、か?」

 青い服の男が訝しげに問う。俺の背後のそいつは、

「死後たった五年で反英雄をかり出すなんて、聖杯も随分いい加減だな」

 と何の感情もない声で独りごちた。
 無視かい、と青い服の男は退屈そうに答え、槍を下段に構える。

「ま、何でもいいさ。とっとと片付けて帰らせてもらうぜ。抉れ、ゲイ――」

 男が言い終わらないうちに、そいつはいきなり発砲した。
 でもあの男は人間じゃない。ただの弾丸なんて効くわけがない。現に男は撃たれてもお構いなしにそいつに肉迫していた。
 けれど、紅の槍がそいつの心臓を刺し穿つことはなかった。
 そいつの胸の直前で、ほろほろと穂先は崩れていってしまったんだから。

「が――は」

 青い服の男が血を吐いて、膝を地面につけながら消えていく。
 あれは逃げているのではなく、消滅しようとしているのだ。存在自体が。

「英霊サマは魔力の塊だからな。これほど聖杯戦争向きの宝具はないってわけか。まったく」

 黒いコートに黒いスーツ、無精ひげにボサボサ頭のそいつは、たった今撃ったばかりの銃を肩に載せ、バツが悪そうに小さく笑った。

「ただいま、士郎。君が僕のマスターかい?」

 そいつは間違いなく、俺の親父――衛宮切嗣だった。






コメント (3)
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