凛太郎の徒然草

別に思い出だけに生きているわけじゃないですが

フライングヘッドシザース

2005年09月16日 | プロレス技あれこれ
 パソコンテレビ「GyaO」は誠にありがたい。これは、ストリーミング配信されるPCで見るテレビなのだが、今までのPCテレビはインプレスでもなんでも有料配信であったのに対しこれは無料なのである。なぜ無料かと言うとCMが入るからである。しかしCMくらい大したことではない。
 各ジャンルのチャンネルがあり映画や音楽などいろいろ見られるが、僕はもちろんスポーツ→格闘技→プロレスと進む。現在、「黄金のプロレスラー列伝」シリーズが配信されていて楽しい。'60年代はじめのアメリカンプロレスの様子をこうやって知ることが出来る。ルーテーズを見られるのはレンタルビデオだけではなくなった。
 今配信では、テーズの他アントニオ・ロッカ、ハンス・シュミット、バーン・ガニア、ボボ・ブラジルなどの勇姿が見られるが、中でも「地獄の料理人」シュミットは充実していた。僕は以前に「バックブリーカー Ⅱ」の記事の中でシュミット式バックブリーカーに触れ、「むろんシュミットのは古くて見たことはありません」と書いたことがあったがついに見ることが出来た。うれしいなぁ。そのバックブリーカーの記事には「シュミット式はたいていわき腹や腰の横にヒザをぶち当てるが、昔はちゃんと背中から落としていた由」と書いたが本当にシュミットは背中にヒザをブチ当てていた。うんうん。

 しかし、この40年くらい前のプロレスというのは、いわゆる旧時代のプロレスであって、僕のような技マニアならともかく今のプロレスファンからすれば物足りないだろう。スピード感はさほどなく、技もキーロックやハンマーロック全盛で飛び技と言えばドロップキック程度。ボボ・ブラジルのココバットやフリッツ・フォン・エリックのストマッククローの威力は凄いが概して単調である。今のファンなら退屈してしまうだろう。
 しかしながら、立体的技がほとんど無い中にあって、アントニオ・ロッカがフライングヘッドシザースを放っていたのには驚いた。そうかこの技はこんなに昔からあったのか。
 アントニオ・ロッカと言えばアルゼンチンバックブリーカーの元祖であり、猪木がロッカを尊敬して自らを「アントニオ」と名乗ったことでも知られる。均整の取れた体躯で、髪は薄い。(そう言えばテーズにせよガニアにせよみんな髪が薄い。男性ホルモン過剰なのだろうか) 

 そのロッカがテーズにフライングヘッドシザースを放った。正確に言えばフライングと言うほど飛んでなくて、「ヘッドシザースホイップ」と言うほうが正確かもしれない。しかしこの時代を考えれば十分だろう。
 立っている相手の頭を足で挟んでねじるように引っ張り倒す。自分の体重を相手の首にかけて引っ張り倒すことでかなりのダメージが考えられる。ジャンプして派手に相手の頭に足を絡ませれば「フライング~」と言うのかもしれないが境界線は明確でない。いずれにせよこの時代では魅せる技のひとつだったと言える。

 さて、簡単にフライングでない「ヘッドシザース」という技にもふれておこう。これは単純と言えば単純で、相手の頭を両足で挟んで絞めるという技。ダメージを蓄積させるために使用し、ヘッドロックなどと同様に相手のスタミナを奪う。あまり動きがないために、今ではこの技は首4の字固めと同様「ちょっと休憩」的なニュアンスにも見える。むしろヘッドシザースをかけられた時に、倒立をしてその勢いでスッと首を抜いて逃げる西村修が有名で、西村に倒立逃げをさせるがためにヘッドシザースをかけるという現象が見られる。西村にヘッドシザースをかけると会場が沸くのだ。
 ヘッドシザースといえばこのように単純な絞め技だが、「クロックヘッドシザース」となるとこれは関節技の様相を呈する。相手の頭を挟み込むまでは同じだが、それをねじり上げるように極める。頭は両足であさっての方向にねじ伏せられて首は捻られ呼吸も難しくなる。UWF系レスラーがよく使ったが中でも木戸修のはエグかった。
 派生技に健介のストラングルホールドαがある。最も強い脚の力で首をひん曲げてしまうのだからえげつない。

 簡単にと言いながら書きすぎた。
 フライングヘッドシザースについて戻ると、とにかくこの技で印象深いのは僕には圧倒的にグラン浜田である。グラン浜田は、僕にとってはメキシカンプロレス、ルチャリブレの奥深さを知らしめてくれたレスラーである。
 とにかく飛んだり跳ねたりの軽業的プロレスで、そのスピードは凄かった。メキシコ=ミルマスカラスの認識だった僕にとって、軽量級プロレスの華麗さ、美しさを教えてくれた。後にタイガーマスクが登場するが、グラン浜田なくしてタイガーも生まれなかったのではないだろうか。
 その浜田のフライングヘッドシザースは、立ち姿勢の相手の頭(首)をジャンプして足で挟み、挟んだ相手の頭を支点としてねじ切るように自分の身体を回転させて相手を吹っ飛ばす。自らの体重が相手の首に完全にかかり、遠心力まで加わってその威力は凄く、しかも美しい。これ以上のフライングヘッドシザースを僕は知らない。

 ヘビー級になると、相手の首をねじ切るといった感はなく、相手の頭を挟んだら前方に倒れこみ相手を倒す。形勢逆転に使用し、相手を倒すことに主眼が置かれる。
 長州力なども「おやっ?」と思う場面で使用していたが、印象に残るのは坂口征二のフライングヘッドシザースだ。坂口はこのような技は滅多に使わないが、vsアンドレ・ザ・ジャイアント戦で使用した場面は今でも忘れがたい。
 ボディスラムも通用しない人間山脈アンドレをマットに這わせることは至難の業であるが、坂口はアンドレにジャンプ一番飛びつき、フライングヘッドシザースをかけることによってアンドレを前方に倒した。それはもうド迫力で、この場面はビデオをダビングして今も所持している。

 さて、このフライングヘッドシザースは、相手を倒すだけでなく、うまくやれば相手の脳天をマットに叩きつけることも可能である。それを実際に行っているのが「フランケンシュタイナー」という技であると思うのだが、もう長くなりすぎて言及出来ない。次回にまた続かせていただくことをお許し願いたい。


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2 コメント

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地味な技こそ光る (明石屋_1955)
2005-09-16 23:35:08
一見地味に見える技こそ奥が深いと思います。

派手な技もいいですが地味な技こそ受け継がれていくべきです。
地味と言えば地味ですな(笑) (凛太郎)
2005-09-16 23:48:19
本来は立体殺法だと思うのですが、もはや地味かもしれませんねぇ(汗)。なんせフォールとる技じゃないし。

フランケンシュタイナーは派手なのだけれども。

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