いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

権威ある最高の憲法テキスト「憲法第6版」芦部信喜著

2019-04-11 08:43:50 | 憲法


写真は、
「憲法第6版」芦部信喜 岩波書店
である。
今の中学校社会「公民」の優れた教科書の構成は、
すべてこの書に拠っている。

いまだに、
憲法学で芦部信喜の業績は、
燦然と輝いているし、
この書は、彼の弟子によって補訂されており、
ほぼ最新の内容を盛り込んでいる。
もともとは、
芦部信喜先生がNHKの放送大学で講義をされたとき、
小さなテキストを書かれ、
それをもとに体系書として完成されたものである。

私は、法律学を修めていたことがあるが、
この書には、随分支えられた。
成績も、憲法が1番よかった。

あるとき、
経営学部を擁する大学の図書館に、
この書がないことを発見し、
これは嘆かわしい、すぐ備えるべきだと思った。
たまたま大学を訪れたときに、
教務主任の教授にそのことを告げると、
「すぐ準備する」ということであった。
ところが、いつまでたっても、備えられなかった。
実現したのは、10年後である。

地元図書館にリクエストした。
すると、まもなく購入された。
ありがたい話である。
地域の図書館も、ばかにならない。








憲法の知識①~信教の自由~宗教団体が政治にかかわってはならない

2019-03-21 21:32:00 | 憲法


憲法は、信教の自由を保障している。

その一方、
宗教団体が、国の政治を動かしてはならない、
ということを規定している(憲法20条1項)。
「いかなる宗教団体も、
国から特権を受け、又は政治上の権利を行使してはならない」
と定め、
3項は、
「国及びその機関は、
宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」
と定めている。
これは、国から特権を受ける宗教を禁止し、
国家の宗教的中立性を明示した規定である。
判例は、いわゆる制度的保障の規定だと解しているが、
「制度の核心」は必ずしも明確でない。
この政教分離を財政面から裏付けているのが、
「宗教上の組織もしくは団体」に対する公金の支出を禁止する89条である。

以上が、信教の自由の基本である。

子どもたちが担う日本の未来~憲法上の権利~

2019-01-21 17:45:58 | 憲法


人権は、対象が子どもであっても、
守られる。
表現の自由である。
ただし、
「子どもであるから」
とか
「生徒であるから」

許されないこともある。

酒、たばこをたしなむことの禁止、
ポルノを見ることの禁止など。

他に、
政治活動の自由もあるが、
これは微妙な面を含む。
他の生徒に悪影響が生じることがあるからである。

18歳以上の人には選挙権が
認められた。
ゆえに、高校生で、
かつ選挙権を持つ、
という人が出てくる。
それなのに、
政治活動を禁止できるのか、
という問題が生じる。

ただし、
他の生徒に影響を及ぼすこともある。
授業中に校内で政治活動をすることは、
許されない。

しかし、
18歳以上に選挙権を認めることにしてから、
放課後や休日に
国は、
政治活動をすることは、
その制限を家庭が判断する、
というふうに見解を改めた。

憲法第21条 
第1項 集会、結社、出版その他一切の表現の自由は、これを保証する。
第2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由、及び幸福追求に対する国民の権利は、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限の尊重を必要とする。

絞首刑は違憲か?~憲法第31条をめぐって~

2019-01-20 12:16:10 | 憲法


日本では死刑制度が認められている。
執行方法は次のとおりである。

処刑台の床は抜けるようになっている。

執行官が、
椅子に座った死刑囚の首に
皮膚に触らないよう注意しながら、
綱を首に巻く。

処刑ボタンは、3つある。
3人が同時にスイッチを押し、
その瞬間、床が外れて、
宙づりになり、やがて死ぬ。
ボタンが3つあるのは、
「自分が押した」という思いを緩和する趣旨である。

これは、憲法の唱える
「残虐な刑罰」にあたるかどうか、
が、問題になる。

憲法36条 ……残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。

最高裁は、死刑が「残虐な刑」にあたらない、
と判示した。

しかし、
1989年に国連総会で採決された「国際人権規約B規約」では、
「何人も、恣意的にその生命を奪われない」とされている。
ただ、死刑制度自体を禁止しているわけではない。

日本国憲法は、法律の定めがなければ生命を奪われないことを
規定している。
裁判所は、この「法律に反しなければ」死刑も認め得る
としているのだ。

死刑制度を認めるかどうか。
難しい問題である。

憲法第31条

何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられることはない。







親殺しは重罪?~憲法における法の下の平等~

2019-01-19 20:02:21 | 憲法


かつて、
刑法は、
尊属殺という規定を設けていた。
自分や、配偶者の直系尊属の殺人は重罪、
として、200条で、
特に重い刑を定めていたのである。
この問題には、
最高裁判所が違憲判決を出した。
そして、
1995年に刑法を漢字ひらかなに直す機会にあわせ、
国会での審議により、
尊属殺は刑法上存在しなくなった。

確かに、尊属を大切にすることは
重要だが、法律上、そうしたことを規定するのは、
憲法違反だ、
という結論を出したのである。

憲法第14条1項 すべて国民は法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済         的又は社会的関係において、差別されない。

表現の自由はどこまで許されるか~憲法の立場~

2019-01-19 19:36:18 | 憲法


日本では、よほど極端でなければ、
表現の自由は保障されているといえるだろう。
オウム真理教事件とか、
悪のマニュアルとか、
自殺の推奨とか、
特殊な場合を除き、
表現の自由は保障されている。
検閲の禁止、
出版の自由。
後者については、
「悪徳の栄え」や
「四畳半襖の下張り」
などの問題は、
例外的である。

政府を批判する意見は、
堂々と表明されている。

某国のように、
政府を批判すると獄に入れられるとか、
死刑を宣告されるとか、
ぶっそうなことは、
まず起こらない。

過去の大統領が、
次々に犯罪者にされてしまうような国に生まれなくてよかった、
というのが、日本人の共通した感想であろう。

憲法第21条

第1項 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保証する。
第2項 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

クーラーのない生活は憲法違反か

2019-01-18 20:01:59 | 憲法


クーラーのない生活は
憲法違反か?

生存権の問題である。

少し古い時代(1994年)の事件だが
埼玉県の桶川市で、
生活保護受給中の高齢者が、
猛暑の中、ケースワーカーの指示で、
クーラーを外すことを求められ、
結果として、暑さのために倒れる
という事件があった。
国の意見で、
場合によっては、
「違憲」となりうる
ということが言われた。

当時の国の判断では、
「7割以上の普及率になれば生活保護受給者にも
備えることが認められる」
ということであった。

今では、クーラーのない生活は考えられない。
生活保護受給者に
設置を認めない自治体はあまりないだろう。

そもそも、
憲法上の「生存権」の考え方は、
1919年のドイツワイマール憲法に由来する。

第2次世界大戦後は、
ほとんどの国の憲法で、
認められるようになった。

資本主義の発達により、
やむを得ない事情(病気、けが、失業など)が
生じ得ることが認めれられ、
生存権の保証がなされるようになった。

日本国憲法でも、
第25条で、
「生存権」が認められ、
第1項、第2項で次のように書かれている。

第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び
   公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

この問題は、
憲法問題を考える際、
ぜひともおさえておきたい。




憲法の話~その1~成り立ち②

2018-12-07 11:50:56 | 憲法


第2次世界大戦戦後、
日本を占領した

連合国の代表として
改革の
指示をだしたのは、
GHQのマッカーサーである。

憲法についても、
言論の自由を守り
基本的人権を尊重し
平和な政府をつくる

という条件を付け、
日本政府に
草案をつくることを
命じた。

日本政府は、
松本蒸治国務大臣
に命じて、
草案を作らせた

ところが、
草案は、
天皇が国のヘッドであり、
国民は「臣民」であり、
国民の自由や権利を
侵す法律がを作ることが認められていた。

これに近い草案が、
毎日新聞にスクープされた。

これを見た
マッカーサーは激怒し、
作り直しを命じた。
彼の条件は
3つ。

1.天皇は国のヘッドである。
  天皇の仕事は憲法にもとづいて行われる。
2.日本は紛争を解決する手段としての
  戦争ばかりでなく、自国を守る戦争も放棄する。
3.封建制度は廃止する。

2.は、日本の要求によって変えられ、自国を守る戦争は
守ることができる、と改められた。

マッカーサーは、
日本政府との会談の前に
連合国軍としての
草案をつくり、
提示することになり
米国の法律に詳しい専門家に
草案を作らせた。
これは、
アメリカ合衆国
ワイマール憲法
フィンランド憲法
等の憲法も参考にしながら
つくられた。

日本側との協議の際に、
これを示した。
日本側は鳩に豆鉄砲だったが、
検討した。

その後、政府が参考にした
民間の草案も
多く作られていた。
そのひとつ、
森戸辰男等の学者で運営されていた
「憲法研究会」

「憲法改正要綱」
等が、大いに参考にされた。

単にアメリカの押し付けではなかったのである。
そののちも、多くの改正が
加えられ、
国会でも議論ののち承認された。


アメリカの影響を強く受けていることは
間違いないが。

こうして、
1946年11月3日、
日本国憲法が公布され
1947年5月3日
日本国憲法の施行、となった。

これが、
大まかな
日本国憲法成立史である。




憲法の話~その1~成り立ち①

2018-12-06 19:26:03 | 憲法


憲法の入門書、
専門書を紹介したが、
それも読むのはたいへん、
というひともいる。

それで、
憲法の大要と
自分の考え方も書いてみることにした。

第1回は、
その成立。

戦前、戦中は、
「大日本帝国憲法」
にのっとって
国政が運営されてきた。

しかし、
日本は第2次世界大戦に敗れ、
ポツダム宣言を受諾し、
連合国側にしたがうことを宣言した。
ポツダム宣言にしたがい、
日本は、
言論の自由を守り、
基本的な人権を守り、
平和な政府をつくること
を求められた。

戦後
しばらく、
連合国にしたがって
国政を運営することになった。

特に、主な役割を果たしたのは
GHQであり、
連合国軍総司令部の
マッカーサーである。

マッカーサーは、
憲法の自由主義化を
求めた。
当時の首相は、
幣原喜重郎。

日本は、
マッカーサーの指示により
憲法草案をつくるが、
日本の案は、
天皇主権の
大日本帝国憲法と大差ないものであった。

マッカーサーは激怒し、
厳しい条件をだした。

とはいえ、
日本国憲法は

アメリカのおしつけだ
とも言い切れない。

日本側にも優れた案を
提唱する人々もいた。
とくに
直接
影響を与えたのは、
森戸辰男等の学者グループ

出した、
「憲法改正要綱」
であり、多くの点が取り入れられた。

そのあとも、
紆余曲折があった。

それは、
次回に。

池上彰の憲法入門~その2~

2018-12-05 18:46:06 | 憲法


わかりやすい
憲法入門書として、
「池上彰の憲法入門」を
紹介した。
それでも
読むのは大変、
と言う方がおられるので、
要点を
示しておく。

まず、
明治憲法との違い。
日本国憲法が、
誰によってつくられたか。
よく
「アメリカのおしつけ」
といわれるが、
かならずしも
そうとばかりいえない
ことを
証明。

時事問題との
関わりも示す。

朝鮮戦争や
東西冷戦。

国の統治機構。
司法、立法、行政の関係。

国民の権利と義務。

最低限の生活の保障をについて。

第九条問題。
とくに、
憲法第九条
については、
詳しく説明している。
改憲、
護憲
によって
何がどう変わるか、

明らかにしている。

とはいえ、
この程度の
ことは、
国民として
知らなければ
恥ずかしい。

憲法については、
理解して、
自分の意見が言えるように
しておきたい。

高校生でもわかる憲法入門書「池上彰の憲法入門」

2018-12-04 22:58:50 | 憲法


憲法をめぐる
議論が盛んになってきた。
しかし、
一般の方々で、
どうやったらいいか
わからない方もあると思う。

入門中の入門。

池上彰さんが、
とても優しく書かれている。

ぜひ、読んでみてください。

憲法の基礎知識

2018-11-10 08:19:11 | 憲法
憲法を
学ぶ人にとって、
避けて通れないのは、
芦部信喜という巨人である。
〇〇というひとが、
知らないといったそうだ。
ホントに法学部でたの?

わたしが
学生の頃
宮沢なにがし
という
憲法学界の
巨人が
おられた。

しかし、概説書はなかったが、
芦部先生の方が
有力、
とのことだった。

先生が
一般の方にも
知られるようになったのは、
放送大学で
憲法の
基礎を
講義されてからである。

このテキストをもとに、

名著
「憲法」

出版された。
もう第6版がでている。

司法試験受験者と
ロースクール学生には
必読である。

今の
憲法学者として
優れているのは、
長谷部恭男先生。

小林直樹先生のことは、
次の機会に
書く。








憲法改正を考える~参考になるサイト~

2018-11-09 07:33:43 | 憲法

憲法改正へのうごきは
はげしい。
国民は、
憲法のことを
もっと勉強するべきだ。
とくに、18~20歳、
という、
新しい選挙権獲得層に
それを
求めたい。
親、教師、地域住民など、
教える人は多い。

その上の年代の人も
もっと勉強を。

国民投票があると、
切実になる。

参考になるサイト、
3つ。

①戦後体制の超克
②止揚末節画龍点睛
③そりゃおかしいぜ第3章

なお、
③の「第3章」とは、もちろん
憲法第3章である。

六法で調べましょう。

わたしも、
勉強し直す。

写真の
右の
「憲法第6版」
芦部吉喜著

再読して。

読んだら、
感想を
書きますから、
聴いてくださいね。
よろしくお願いします。

みなさんの意見も
聴きたいです。



信仰の自由

2018-11-06 16:21:18 | 憲法

是非はべつとして、
日本人の
多くは、
仏教徒
神道教徒
として
生まれる。

そのあとは

いろいろである。

ただ、
オウム真理教は
別格だが、
常識を
わきまえず

信者の
プライバシーまで
侵す
宗教も
あると聞く。

名前は
ださない。

自己満足と、
自己誇示。

固い話で
恐縮だが、

法哲学者

ハンス・ケルゼンに
「神と国家」
という
作品がある。
神と国家は、
人間のすべてを
拘束する、
というのである。

オウム真理教は、
恐ろしい
宗教であった。

ほかにも
あるのかどうか、
知らない。

気をつけましょう。

日本国憲法は
第20条で
「信仰の自由」

うたっているが。




お薦めの憲法教科書

2018-10-26 20:27:30 | 憲法
憲法の専門書は、
たくさんでています。

なかで、
もっとも権威があるのは、

「憲法」
芦部信喜著、岩波書店刊
第6版。

今の中学の社会の教科書のうちの良書は、
この本を下地にかいてあります。

司法試験の最良の

教科書でもあります。

ちょっと値ははりますが、
読んでみると、
目が開かれます。