大島恵真(おおしま・えま)の日記

児童文学作家・大島恵真の著作、近況を紹介します。
絵本作家・大島理惠の「いろえんぴつの鳥絵日記」もこちらです。

家族のことを考える

2020年10月14日 | 個人的なエッセイ
みなさま こんにちは!
家のことを書くようになって、見てくださる方も増えました。
ありがとうございます。

家族とは何か、結局、このことをずっと考えている気がします。
2018年に刊行された児童文学『107小節目から』は、家族とのことをベースに書いたものでした。
あの本で、子ども時代の父との確執に正面から向き合うことができました。

ですが刊行のすぐ後に、こんどは母に病気がみつかり、一年後に亡くなってしまい、それからは、母との問題に正面から向き合うことになりました。

私と母の問題は、何も関係がないと思われたことでした。
母と自分の関係は、つらつらと作品に書いています。出版される見通しがあるわけでもありませんが、書かないと前に進めないし、母という人が見えてきません。

母は、何も言わない人でした。どういう人だったか、わかりませんでした。当時は、お互いがお互いをわかっていないんだから、それでいいんだと投げやりになっていました。
ですが、私が母をわからなかったことで、母はどれだけ悲しかったでしょうか。
母は伝える言葉を持たなかったのだと思います。いまになってそれがわかります。

私は母に何もしてやらなかったと後悔していますが、一緒に写っていた写真を見ると、母はそれでも楽しそうです。
ときどき、ふっと、母がもういないんだな、と愕然とします。
でもそれも、生きるということの一部です。

せめて、母が私との関係を楽しんでくれていたらいいな、と思っています。
そう思わせてもらえれば、私も前に進めます。

ほとんど接点のなかった母のことを、この一年はずっと考えています。
母が私に与えてくれた、家族についての課題だと思います。
「しっかり生きなさいな」と母が言っているような気がします。
親は、大きなもので子どもをつつんでくれているのかもしれません。