アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

六太郎で可哀想なのは… 

2020年09月07日 | Weblog
 桃太郎、金太郎、浦島太郎、麻生太郎、河野太郎、山本太郎…日本が誇る「六太郎」のうち、晩年「可哀想」なのが浦島太郎。
 なぬ?「また妙なことを考えてるなっ、全く暇なんだからぁ」って?
 だって、皆さんそれぞれ・・・幸せに暮らしたり、坂田金時になったり、失言副総理になったり、失言イージス・アショア大臣になったりぃ…れ、れいわ新撰組党首になったりなのですが、浦島太郎だけが「700歳のお爺さん」ですから。どうして、浦島太郎だけがこのような仕打ちを受けなければならないのでしょうか?
 300歳じゃなかったのかって?書物により違いがあります。300歳もあれば、700歳もある。しかし、1000歳を超える書物はないはず。なぜかって?「鶴は千年」ですから、千歳を超えることはない。どういう意味かって?「乙姫様は亀の化身で1万年生き、浦島太郎は鶴になって千年生きた」と書かれたものがありますので…。「鶴は千年、亀は万年」は、浦島太郎と乙姫様のこと。
 小学生の時、学芸会の劇で浦島太郎役を演じた私としましては、なぜ浦島太郎の末節が、700歳の皺くちゃなお爺さんなのか?このあたりを解明しておかなければなりません。
 浦島太郎が登場するのは、「御伽草子」ですが、それ以外に、「日本書紀」「万葉集」にも載っています。私は読んだことがありませんが、「丹後国風土記逸文」という書物にも浦島太郎の記述があるのだそう。いずれも、「亀が女性に姿を変えて太郎と結婚する」というストーリーは共通しています。竜宮城の乙姫様と浦島太郎は、夫婦だったようです。ここ、ポイント①
 竜宮城で楽しい時間を過ごしていた浦島太郎ですが、そろそろ元来た場所へ帰ることを告げました。すると乙姫は、「絶対に開けてはいけない」と伝えたうえで玉手箱を手渡してくれました。ここ、ポイント②
 浦島太郎が地上へ帰ると、あるはずの場所に家はなく、知っている人も誰もいません。あたりを調べてみると、太郎が竜宮城へ行っている間に、とてつもなく長い時間が経過していたことがわかりました。浦島太郎は、乙姫からの忠告を忘れて玉手箱を開けてしまいます。中から白い煙(紫の煙と書かれた本もあります。七色の煙と書かれたものはないです)が沸き上がり、浦島太郎は白髪と皺だらけのおじいさんの姿になってしまいました。ここ、ポイント③
 さて、なぜ浦島太郎は、皺だらけのおじいさんにさせられたか?
 まず、ポイント①。ここがすべてでしょう。「御伽草子」「日本書紀」「万葉
集」が「夫婦だった」と明記しています。夫婦なのに、「ボクちゃん、村へ帰ります。乙姫ちゃんは亀だから、村へは行けないね」…つまり一方的に、「別れます」ってこと。現代なら、普通にあることでしょうが、奈良時代より以前の話ですから、とんでもないことです。重い罰が必要。
 ポイント②は、乙姫様の浦島太郎への愛情と復讐への伏線ですね。乙姫様は悲しかったが、太郎の幸せを優先して離婚を認めた。で、乙姫様は、竜宮では、「時間の経過が速いことを知っていたので、その時間を煙にして玉手箱(化粧道具を入れておく箱)へ閉じ込めておいた。別れ際、「絶対に開けてはいけない」と伝えたうえで玉手箱を手渡した。時間を返したわけ。
 復讐への伏線というのは、「離婚を認めてあげたのだから、これ以上私を裏切らないでね。約束を破って玉手箱を開けると(どうなるかわかってんのか、コラ!)」ってこと。
 ポイント③ですが、皺だらけのお爺さんにはなりましたが、まだ生きてはいます。亀を助けた、浦島太郎ですから野垂れ死ににはしなかったのですね。
 童話は、教訓というか、メッセージを持っています。浦島太郎というお話のメッセージは…
 1 善行のすすめ(動物をいじめない…)
 2 善い行いをすると、見返りがあるよ(結婚できるし、ごちそうが食べられるし、鯛やヒラメの踊りも観られる)
 3 約束は守ろう(守らなければ、皺だらけの老人になっちゃうよ)
 4 目先の快楽に心を奪われてはいけない(快楽におぼれると時間の感覚が麻痺し、両親や故郷など、本当に大切なことを忘れてしまう)
 浦島太郎、奥が深いワ!なお、「御伽草子」では、鶴と亀に姿を変えた浦島太郎と乙姫が再会します。よかった、よかった。