ひらつか日記

1999年に漫画家おかざき真里ホームページの連載コーナーとしてスタートした身辺雑記×音楽紹介日記です。

地味な正月

2005年01月04日 | 電子/音響/ハウス

ambient1

年があけて、2005年。フリーになって2度目の正月になる。昨年もそうだったが、今年も年末年始は、普段できずにためていた帳簿つけをシコシコと。簿記や会計の知識がまるで欠損しているので、会社辞めて一番戸惑ったのがこれだった。書店にいって、適当な入門書を開いてみるが、まるでチンプンカンプン、書かれていることがまるでわからない。これでも広告屋の端くれだから、相当広範な業種の専門分野についてちょっとした理解力は養ってきてるつもりでいたが、うーん、これだけ手も足も出ないことは初めてで、何と言うか、かなり屈辱的な思いを味わった。それでも確定申告の時期は迫ってきていて、どうにかしなければ…と切羽詰って再度訪れた書店で出会ったのが、「フリーのための青色申告デビューガイド改訂版!! / はにわ きみこ (著) 」。昨年のわたしの申告を救ってくれた名著である。とにかく、根本的な理屈はさておいて、会計ソフトを前に、まずは伝票を片っ端から入力していけば何とかなる…という、専門家から見たらかなり無茶な方法論でできている。確かに無茶ではあるが、それでもとにかく入力してるうちに、なるほど、帳簿が完成した。そして、相変わらず根本的な理屈がクッキリとわかった…というところには全然達していないものの、やってるうちに、ボンヤリと会計の仕組みのようなものが見えてきた。身体が先、アタマが後。この方法論、全くチンプンカンプンな領域に立ち向かうについては、かなり有効な攻め方なんじゃないかと思う。受験勉強とか、外国語習得とか、ある種の職人仕事とか。とはいえ、この方法である程度のところまで上ると、経験上、進化のスピードが鈍化する局面を迎える。そこにきたら、今度は身体に蓄積されたボンヤリとした理解のようなものを、アタマで理屈として再整理して昇華してやる必要がある。これに成功すれば、その領域についての強力な理解のベースができる。…と立派なことを書いてみたが、わたしの会計への理解は、そのボンヤリの踊り場でとまったまま、アタマで再整理するところが面倒で、それに着手できていない(笑)。まあ、会計というのが、ヒツヨウではあるのだが、自分にとって、あまり積極的な興味がわかない領域なのだ…ということだろう。うーん。とはいえちょっと面白そうな感じもして少し気になるんだけどな…。というわけで、今年の正月の三が日間は、黙々と伝票と会計ソフトに向き合って過ごす。入力自体は単純作業、領収書をスクラップブックに貼り付けるのも単純作業、かなり地道な正月休みの過ごしかた、ずっとやってると背中が痛くなるが、この平穏ぶりが、テレビのニュースでみる暗澹たる映像を見るにつけ、何より貴重なものに思えてくる。Ambient 1: Music for Airports / Brian Eno 。粛々と単純作業のお正月。意識しなければなんてことなく過ぎてしまう、平凡な日常の時間の濃密さ、質量、密度…そんなものを感触させてくれるこの音楽がよく似合った。