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康花美術館10周年、新刊『康花・命尽きるとも』発行

2022-10-05 14:54:18 | 日記
以下は、康花美術館10周年に際し、新刊『康花・命尽きるとも』発行についての案内状です。

謹呈
 
弊康花美術館は、2012年9月に設立されてから今年の9月で10年を迎えました。無名の作家の個人の美術館を、細々とながらもこれまで運営できたのは、ひとえに皆様方の温かいご支援の賜物と厚く御礼申し上げます。お陰様で、最近では人伝に首都圏や関西方面からの来館者が少しずつ増えてきております。*

 これまで美術館では、作家・須藤康花の作品についての画集、解説書等を発刊してきましたが、10周年に当たり、晩年、作者がよく口にするようになった「哲学や思想に捉われることなく、感情や衝動のおもむくままに創作したい」という思いに沿って、彼女の作品の裏に潜む「愛と苦悩」の晩年を、追憶を交えながら振り返り、小説という形で『康花―命尽きるとも』を上梓致しました。昨年発刊した『苦海の美学』(而立書房刊)が、科学的好奇心に依っているとするならば、本書はその対極にある彼女のいう感情的好奇心にできるだけ寄り添い描いたものです。この物語を通じて、作家の葛藤する人生観と作品との関連性を多少なりとも読み解き、難解だとされる彼女の芸術観理解に資することができれば、これに勝る喜びはございません。合わせて広くご周知いただければ幸いです。        
今後とも、ご支援ご指導のほど、よろしくお願い申しあげます。

                                                    敬白
                                                    20 22年9月吉日
                                                    康花美術館 須藤正親
 
*追伸:以下の感想は、ご家族で来館された方からこの6月に頂いたお手紙の内容の一部です。
「30歳で亡くなった女性だという事のみ事前知識として訪問。プロフィールを見て、絵を見て、詩を読んで、絶句しました。話好きの母までもがおとなしく鑑賞していました。壮絶な人生。多感な時期に母を亡くし自分の病気に生と死を見つめ続けた康花さんの絵は光と影、自然の醜と憎悪と愛を描き続けていたのだなと感じ入りました。
じっと見ていると、次第に色々なものが沸き上がって来、こちらが観られる側に変えられてしまう。白黒ゆえに、光に嘘がない、誤魔化さない率直な目で見つめられ続けました。
帰ってからも、私はこの作品群から離れることができず、あの目で見つめ続けられています。それは衝撃から恐怖に移るのではなく、愛情いっぱいの自分の内なる視線となっているようです。60歳を超え、会社も延長雇用で「お情け」を受けて出社している隠居状態になっていましたが、白と黒の鉛筆画(あの作品群は木炭だったかもしれないが、)に挑戦しようかと秘かに思っています。」岐阜県本巣市根尾市場 M.M.

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