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「愚公山を移す」前に「秋風秋雨に愁殺」? 

2018-09-14 13:34:20 | 日記
 9月に入ってからもイネモドキと悪戦苦闘しています。台風に続いて秋風秋雨の影響で、長く伸びたイネモドキは風雨に耐えかねて傾き、か弱い稲は更に倒伏範囲を拡げてしまいました。一株の稲とイネモドキの茎の本数の割合からすると、ほぼ2対8から3対8程度ですので、か弱くなくとも圧し掛かる重みに稲が耐えられないのは止むを得ません。 

 イネモドキを鎌で取り除きながら、一方で習性としての経済合理性が頭をもたげ、ほとんど収穫量の見込めない倒伏部分は放棄、断念すべきなのかもしれない、と言う思いが絶えずよぎります。中国の文化革命当時、古典『列子』に載せられた「愚公山を移す」という逸話が、毛沢東が引用したことによって、中国のみならず日本でも広く知られるところとなったことがあります。愚公は周囲から無駄骨と揶揄されながらも一人山を掘り崩し続け、その結果とうとう山を動かしてしまうことになるのですが、「イネモドキを退治しているお前は、何をやっているのか?」と自問すること度々です。
 
 自問はさらに己が行為を見つめ、かつて作家の武田泰淳が、中国革命の前夜に活躍した美貌の革命家で、32歳で処刑された秋瑾女士の生涯を描いた表題、『秋風秋雨人を愁殺す』と重ね合わせたりもするのですが、いつの間にか足は田んぼに向かい、手にした鎌はイネモドキを切り倒し、束にしたイネモドキを肩に背負って畔まで運んでいる自分がいます。そして気がつけば9月も半ばになってしまいました。この分では恐らく、9月末、あるいは10月初めごろまで彼らと付き合うことになるのでしょう。急がば回れ、特に山登りには迂回はつきものですが、回り道をするには決して若いとは言えない自分にあきれてもいます。

 阿Qよ、君だったらどう見る、どうする! *阿Qは秋瑾女士を知る中国文学を代表する魯迅の小説『阿Q正伝』の主人公