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2022年迎春

2022-01-05 14:51:12 | 日記
2022年迎春

 出版予定していた「死してなお生きる」は『苦海の美学―画家康花の世界を読み解く』(而立書房)と改題して、昨年7月末上梓致しました。取り上げて頂いた新聞各紙を初め、お寄せいただいた感想は、『父と子』と作家康花の私的な人生観の葛藤に関するものがほとんどでした。筆者としては、もう一つは、芸術・美学の視点から康花の作品を通じて石牟礼道子さんの『苦海浄土』に連なる現代文明批評を試みたつもりでした。福島原発、自然災害?の多発、コロナの世界化など今日的状況を鑑みるにつけ、多少難解で懐古的きらいもありますが、改めてご一読下さればと念じている次第です。忌憚のないご感想ご批判をいただければ幸いです。なお、美術館では今年中『苦海の美学』展を開く予定にしています。
 皆様のご健康をお祈り申し上げますとともに、本年もよろしくお願い申し上げます。
                                                   2022年正月

<追記>
 今年は、ドストエフスキー生誕200年に当たります。ドストエフスキーが問いかけ追求した問題は、今日瀬戸際に来た感のある肥大化した文明病を冷徹に直視するならば、決して古臭くなっているどころか未解決のままであり、彼が200年前にすでにこの病の根本原因を提示していたことに気づくはずです。画家康花の銅版画の世界は、正にドストエフスキーの世界(主に『カラマーゾフの兄弟』)を色濃く反映したもので、寡聞ながら、日本の美術界ではその影響を受けた数少ない画家のひとりと言えるでしょう。ドストエフスキーの諸著作と共に、『苦海の美学』を合わせてお読みいただければ幸いです。人間とは、人はなぜ生きるのか?