二銭銅貨

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椿姫/スカラ座2005舞台撮影

2010-03-30 | オペラ
椿姫/スカラ座2005舞台撮影

2005年上演
作曲:ヴェルディ、演出:リリアーナ・カヴァーニ
指揮:ロリン・マゼール
出演:アンジェラ・ゲオルギュー、ラモン・バルガス
   ロベルト・フロンタリ

冒頭の舞踏会のセットが大きくてクラシックで豪華絢爛。どっしりとした感じで乾杯の歌にふさわしい。ゲオルギューは強くてタフで情熱的なヴィオレッタ。バルガスは実直なアルフレード。ロベルト・フロンタリの父親は随分と深刻に悩んでいる様子で、「プロヴァンスの海と陸」にとても強い憂いが含まれていた。自分自身の行動が支離滅裂で、身も心も支離滅裂で張り裂けそうなのかも知れない。

演奏はメリハリがしっかりと強く、豪華で美しい。美術は奇をてらうことなく素朴で、それでいて豪快で繊細、細かい汚れや古びたインテリアなど丁寧に神経の行き届いた作りのものであった。2幕目、3幕目の窓ガラスの白く濁った汚れが侘しくて、ヴィオレッタの気持ちが良く表れていると思った。

10.03.22 109シネマズ川崎
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2008オープニング・ガラ/MET08-09舞台撮影

2010-03-29 | オペラ
2008オープニング・ガラ/MET08-09舞台撮影

1幕目:椿姫(ヴェルディ)
演出:フランコ・ゼフィレッリ、指揮:ジェームス・レヴァイン
2幕目:マノン(マスネ)
演出:ジャン=ピエール・ポネル、指揮:マルコ・アルミリアート
3幕目:カプリッチョ(R.シュトラウス)
演出:ジョン・コックス、指揮:パトリック・サマーズ

出演:ルネ・フレミング、ラモン・バルガス、
   トーマス・ハンプソン、ドゥウェイン・クロフト

フレミングがヴィオレッタ、マノン、伯爵夫人の3言語のソプラノをやるのが、125周年の特別企画らしい。バルガスがアルフレードとデ・グリュー。2人とも芝居が良い。ヴィオレッタは理性的で、そして献身的だけれども、抑えることのできない感情が心の隙間から湧き出てくる。淡いパステルカラーの小さな花びらが沢山付いているような襟まわりの、ピンクのドレスがヴェルディの音楽に合わさると、悲しさが強調されてしまう。ヴィオレッタの悲しいモチーフが画面いっぱいに鳴り響く。ハンプソンのお父さんとのデュエットが強くてバランスの良いアンサンブルだった。

一転して、マノンは能天気で明るく快活。アリアは軽快な羽ばたく鳥のようだ。フランス喜劇のトーン。教会で明朗におおっぴらに神父のバルガスを誘惑する。ああ、なんということだ、あんなにされたらバルガスがいかに神に誓いをたてていたとしても無力だろう。マノンは神よりも強い。日本で嫁さんをカミさんと言うがごとし。

カプリッチョでは再び、大きく転じて今度はクールな美人。どうも2人の男性のどちらかを選んでいる様子。結論は、このまま2人との関係を継続しようという魂胆らしく、謎の微笑みを残し、舞台をゆっくり去っていく。フレミングは本当に芝居がうまい。

10.03.13 東劇
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ラ・チェネレントラ/グラインドボーン2005舞台撮影

2010-03-28 | オペラ
ラ・チェネレントラ/グラインドボーン2005舞台撮影

2005年上演
作曲:ロッシーニ、演出:ピーター・ホール
指揮:ウラディーミル・ユロフスキ
出演:ルクサンドラ・ドノーセ、マクシム・ミロノフ
   ルチアーノ・ディ・パスクワーレ、シモーネ・アルベルギーニ
   ラクエラ・シーラン、ルチア・チリッロ
   ネイサン・バーグ

ルクサンドラ・ドノーセは低音がとても安定したメゾで、しっかりもので積極的なチェネレントラ。最後の衣装は王子とともに金色の豪華な衣装。王子のマクシム・ミロノフは可愛らしくて純情。チェネレントラやお姉さま方に取って喰われてしまいそうな雰囲気。

ルチアーノ・ディ・パスクワーレは義父のドン・マニフィコで、はげの鬘が下品でかつ貧乏ったらしく秀逸。ねじくり生えてるまばらな髪の毛が人格を表す。良く動いて芝居して、ドラマ全体の軸になっていた。シモーネ・アルベルギーニのダンディーニは軽快。

ラクエラ・シーランが太っちょの姉さん。ルチア・チリッロが痩せた方の妹。2人とも綺麗だ。欲望で脂ぎったヘアメークが印象的。出だしのデュエットが美しい。姉がソプラノで妹がメゾ。

ネイサン・バーグのアリドーロは堂々として自信に満ちている。貫禄がいい。衣装の黒が良く合う。バスの音がしっかりしていた。

美術や衣装は油絵風の渋い色あいのもので、ディテールにこだわった、出来の良いものだった。演出も細部にまで気配りをした丁寧なもので、各々の人物描写が精密で表現豊かだった。手抜きが無い。無駄が無い。それに歌手たちも良く演じていた。歌と芝居で大変だったろうと思う。人々の心の中を表現する場面では、歌舞伎の「だんまり」のような手法を用いていた。照明を落としてスローモーションにしたもので、そういう場面が幾つもあった。

演奏は金属的な感じで、豪快で勇壮な印象を持った。

チェネレントラの主人公は、実は義父と2人の姉妹で、この人たちの強欲と愚劣のどろどろが主題なんじゃないかと思う。言うまでもなく、それは人類の愚劣と強欲の投影である。それをチェネレントラは許す。その意味ではチェネレントラは神様か天使様という事になる。

愚劣と強欲を受け入れ許すことは重要な主題で、それは結構、人類が昔から持っている、芸術や哲学の分野の普遍的テーマであると思う。何故そうなのかはよくよく考えてみなければいけないことだ。

10.03.06 109シネマズ川崎
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シモン・ボッカネグラ/MET09-10舞台撮影

2010-03-14 | オペラ
シモン・ボッカネグラ/MET09-10舞台撮影

作曲:ヴェルディ、演出:ジャンカルロ・デル・モナコ
指揮:ジェイムス・レバイン
出演:プラシド・ドミンゴ、ジェイムズ・モリス
   エイドリアン・ピエチョンカ、マルチェロ・ジョルダーニ

プラシド・ドミンゴとジェイムズ・モリスのバス・バリトンが声量豊か。ドミンゴがインタビューでヴェルディのオペラをキングサイズのベルカントと表現していた。マルチェロ・ジョルダーニのテノールも声量があって、スピーカーの音がワレ気味だった。おじさん達に負けずにエイドリアン・ピエチョンカも強いソプラノだった。セットは古典的な印象のもので豪華。

物語は和解、統一がテーマで、それを恋の物語と重ね合わせていて、平和をアピールする社会派的な側面のあるものであった。

インタビューアはフレミング。この人はインタビューとかトークがうまいと思う。言葉が音楽に、トークが歌になっているように思えてしまうからかも知れない。

10.02.27 東劇
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2010オリンピック・エキシビション

2010-03-07 | フィギュア・スケート
2010オリンピック・エキシビション

ワルツは舞踏会、
くるくる回るワルツ、
3拍子のワルツ、
アクセルもワルツ、
スリー・ターンもワルツ、
ワルツはフィギュアで、
フィギュアはワルツ。
ワルツの選曲は楽しい。

ワルツを選曲すると単調でゆったりした感じになりがちなので、案外フィギュアでは使われないように思う。だから曲がワルツになると本当にうれしい。

ペアで4位だった川口悠子とアレクサンドル・スミルノフがスケーターズ・ワルツを踊った。風にのって楽しく明るい。川口の極端な振りがお人形さんのようで可愛らしい。特にエンディングの振り付けが面白い。待っているスミルノフに、川口が横っ飛びに飛び込むのだ。振り付けが可愛らしく、ワルツのリズムが良く表現されている。こういうのがフィギュアの理想の1つだと思う。川口は28だそうだけれどもペアは息が長いので、まだまだ頑張るかも知れない。

安藤美姫はレクイエム。衣装が青とくすんだ黄色。異色な色彩で印象的だった。滑りも表現も完璧だった。レクイエムの祈り、空間の広さ、宇宙的な感じが良く表現されていた。浅田真央は扇子を使ったプログラムでこれも全日本の時と同じ。切れが良く、明るく元気が良い。途中のジャンプ、多分ルッツかフリップが抜けていたほかは完璧だった。高橋大輔も全日本と同じで完璧。

キムは薄いくすんだ水色の衣装でタイスの瞑想曲。ライサチェックはブラックタイの衣装でラプソディーインブルー。オーソドックスな振り付けで、フリーよりこちらの方がいいと思った。最近はこういうスッキリと真面目でオーソドックスなものが少ないように思う。ランビエールは芸術的な滑り。スローで不思議な曲に良くテンポを合わせた芸術的な表現だった。プルシェンコはトリプルアクセルを2回飛んでファンサービス。強い所を見せる。長洲はエキシビションでも元気良く溌剌と滑っていた。最後のビールマン・スピンが早く、咲きかけのチューリップの形に見えた。こういうビールマンは見ていて楽しい。

2006.2.28 バンクーバー
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