二銭銅貨

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白鳥の湖/新国立劇場バレエ11-12

2012-05-26 | バレエ
白鳥の湖/新国立劇場バレエ11-12

振付:プティパ、イワーノフ、改訂:牧阿佐美
指揮:アレクセイ・バクラン、曲:チャイコフスキー
演奏:東京シティ・フィル
出演:オデット/オディール:小野絢子
   ジークフリード:福岡雄大
   道化:福田圭吾、ロートバルト:厚地康雄

小野は軽々とした感じで32回グランフェッテも特に難しいことはなく楽々と終わった。福岡は堂々と大きな印象。道化の福田は軽快に小気味良く踊ってシャープ。明るい楽しさ満載の芝居と踊りだった。

小さい4羽の白鳥(さいとう美帆、長田佳世、寺田亜沙子、細田千晶)は良く揃った美しい足の幾何学模様のムーブメントが綾取りのようで楽しかった。このユニゾンはすごい技術だ。パドトロワの奥村康祐は若々しく躍動的、さいとう美帆はシャープできれが良く、長田佳世は大きく表現力のある踊りだった。

清純な水色の印象の舞台装置と、渋くて豪華な衣裳が印象に残った。

12.05.6 新国立劇場
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魔笛/武蔵野音大2012

2012-05-12 | オペラ
魔笛/武蔵野音大2012

作曲:モーツァルト、演出:十川稔
指揮:本名徹次、演奏:武蔵野音大管弦楽団
出演:タミーノ:樋口達哉、パミーナ:砂川涼子
   パパゲーノ:谷友博、パパゲーナ:赤星啓子
   夜の女王:佐藤美枝子、ザラストロ:豊島雄一   
   侍女1:山口道子、侍女2:小畑朱実、
   侍女3:森永朝子、童子1:塚本正美、
   童子2:仲松あかり、童子3:幣真千子
   モノスタトス:加茂下稔
   弁者・僧侶1:三戸大久、僧侶2:畠伸吾

侍女の3重唱が強く安定したアンサンブルで、タミーノ、パパゲーノとの5重唱もしっかりとした重唱に聞こえた。芝居や姿勢も堂々としていて強い。一方の童子のほうは優しく美しく良く揃った3重唱。きりっとした感じ。生きているということ自体が楽しくて嬉しいというような、にこにこした表情が印象的に残る。侍女は大学教員で赤紫に黒の模様のドレス、童子は若手のソリストで水色のコスチューム。丸い水色の玉が脇についた白い半球状の帽子でかわいらしい。それぞれすっきりとした衣裳デザインで、その色の対照が良いアンサブルに感じた。また、一方が堂々とした歌と芝居、もう一方が溌剌とした芝居で、その対照も面白く印象に残った。

砂川と谷のNo.7「愛を感じる男の人達には」"Bei Mannern, welche Liebe fuhlen"は、両方の声が良く通ってうっとりするアンサンブル。神官たちの合唱「おおイシスとオシリスの神よ、なんという喜び!」も美しいアンサンブルだった。

砂川の声は強力で美しく滑らか、ホール一杯に伸びやかに響く。樋口は端正でいくらか硬質な高い音が強いテノール。佐藤はキレの良いはきはきした強いソプラノ。谷は美声で迫力のあるバリトン、真っ直ぐな感じ。加茂下は芝居がいつものように面白くてかわいらしい。

美術は不ぞろいな和風の格子を模様にした大きな障子のような板を4枚使ったもの。それを開くと奥にパイプオルガンが見えて、それがザラストロの城の雰囲気になっている。このパイプオルガンも例えば和音の所などに使えばいいのにと思ったが、楽譜に無いからそうはできないのかも知れない。

武蔵野音大卒のエース級ソリストが揃った公演。

12.05.02 江古田キャンパス・ベートーヴェンホール
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ドン・ジョバンニ/新国立劇場11-12

2012-05-01 | オペラ
ドン・ジョバンニ/新国立劇場11-12

作曲:モーツァルト、演出:グリシャ・アサガロフ
指揮:エンリケ・マッツォーラ、演奏:東京フィル
出演:ドン・ジョヴァンニ:マリウシュ・クヴィエチェン
   レポレッロ:平野和
   エルヴィーラ:ニコル・キャベル
   ドンナ・アンナ:アガ・ミコライ
   オッターヴィオ:ダニール・シュトーダ
   騎士長:妻屋秀和
   ツェルリーナ:九嶋香奈枝
   マゼット:久保和範

クリアで透明な、美しく劇場に満たされるソプラノの声はアガ・ミコライ。低い音も高い音も安定していて歪が無い。気持ちの良い声で気持ちの良いドンナ・アンナ。最後の方の情緒のこもったNo.23、「おっしゃらないで,私のあこがれの方よ」"Non mi dir, bell'idol mio"がとても良くて、沢山のヴラーヴァをもらっていた。

ニコル・キャベルは抑揚のある強い歌手で感情のこもったエルヴィーラ。特にレポレッロの変装がバレた後のNo.21b、「あの恩知らずは約束を破って」"Mi tradi quell'alma ingrata"に気迫が感じられた。

九嶋は強い調子のツェルリーナ。優しい曲調の重唱「お手をどうぞ」がクヴィエチェンの強力な歌声と相まって、かなり強力なものになっていた。この九嶋のちょっときつめの歌と芝居をみているとコンスタンツェの肖像画が思い起こされて、モーツァルトとツェルリーナの関係がマゼットとコンスタンツェの関係に対照しているのではないかと思われた。
Masetto - Mozart (子音母音の並びが似ている)
Constanze - Zerlina (ze が同じ)
かなり無理矢理だけれども名前の対応関係もある。モーツァルトとコンスタンツェってあんな風だったのだろうかと想像すると面白い。一般的に知られている伝説以上の、本当のコンスタンツェがどのような方だったかは知らないけれど、絵で見る限りボーイッシュな感じの、活発で強そうな女性に見える。ツェルリーナをそんな気の強い活発な女性だと思って見てみると、九嶋のツェルリーナがコンスタンツェに見えてくる。

クヴィエチェンは芝居も歌もタイトに締まってbravissimoだった。「お手をどうぞ」"La ci darem la mano"は優しく強く、それにちょっと悪党の香りがほのかにただよい、シャンペンの歌では鋼のような鈍いしぶとい強さを感じた。No.16の短いカンツォネッタ「窓に姿を見せておくれ」"Deh,vieni alla finestra"も気合を入れて歌って、大拍手をもらっていた。平野のレポレッロは真面目で硬質な感じで声に迫力があった。

ベネチアを背景とする美術は舞台の奥の方まで使った立体的で大きな空間を感じる舞台。演出は音楽とのアンサンブルを重視した、あまり出過ぎないオーソドックスなもの。演奏は小編成ながらメリハリがあって迫力も十分で、良く歌手にあわせた演奏だった。多分本物の木管とコントラバスの演奏者が数人、舞踏会の場面と最後の晩餐の場面で登場人物の一部として舞台で演奏した。楽しい。
    
12.04.22 新国立劇場
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