二銭銅貨

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10日生劇場12月/摂州合邦辻、達陀/歌舞伎

2010-12-30 | 歌舞伎・文楽
10日生劇場12月/摂州合邦辻、達陀/歌舞伎

摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)
 住吉神社境内の場
 高安館の場
 同庭先の場
 天王寺万代池の場
 合邦庵室の場

出演:菊之助、梅枝、菊五郎、時蔵、松緑

住吉神社境内の場は松の緑にオレンジの紅葉。鮮烈な紅蓮に燃えるオレンジの色は玉手御前の恋の色。言い寄られる俊徳丸はたじたじとし、強い赤い紅蓮の色だ。

合邦庵室で狂乱し、暴れまくる菊之助の玉手御前の思いは一瞬にして刺される。その瞬間が壮絶で悲しい。成立しえない片思いの恋愛が、その一瞬で終わりを告げる。

紫の衣装の菊之助が美しい。梅枝が俊徳丸、若くてナヨナヨした感じだけれどもそれは役に合っていて、そして芝居はしっかりしていた。右近が浅香姫。

達陀(だったん)

出演:松緑、時蔵

最後の大ぜいでのタップダンスのような、アイリッシュダンスのような、群舞がテンポ良く、揃っていて楽しかった。迫力があった。

10.12.23 国立劇場
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10国立劇場12月/由良湊千軒長者、本朝廿四孝/文楽

2010-12-27 | 歌舞伎・文楽
10国立劇場12月/由良湊千軒長者、本朝廿四孝/文楽

由良湊千軒長者(ゆらのみなとせんげんちょうじゃ)
     山の段

安寿が吉田勘彌、つし王が一輔。安寿がてんびん棒にピンクの着物で足付き。一輔が背負子。幼い姉弟の相手を思いやる優しい気持ち、過酷な運命に打ちひしがれる痛切な痛み。

本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
     桔梗原の段
     景勝下駄の段
     勘助住家の段

勘十郎が弟の慈悲蔵でやや地味、玉女が兄の横蔵で大きな芝居。横蔵が、自分が武田信玄の家来になっていることを言った後、語りながら踊る場面では眼一杯に大きくなって、豪快に動き回る。こういう大きな正義漢の動きは玉女の得意なのだろうか、いつもうまいと思う。勘彌の唐織は動きが優しくなめらかで繊細。役は強い性格なので、ちょと仁では無いかも知れないけれども美しい。清十郎がお種で、子を殺される前後の狂乱の所で、それまで抑えていた情念を思いっきり爆発させて威力十分、存分に狂乱していた。いつもとはちょっと違う気合だった。

10.12.11 国立劇場
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シンデレラ/新国立劇場バレエ10-11

2010-12-20 | バレエ
シンデレラ/新国立劇場バレエ10-11

振付:アシュトン、指揮:デビッド・ガルフォース
曲:プロコフィエフ、演奏:東京フィル
出演:シンデレラ:長田佳世、王子:福岡雄大、仙女:湯川麻美子
   義理の姉:マイレン・トレウバエフ、堀登

義理の姉妹は、最初はやや控えめで、だんだん調子が上がって最後はノリノリの感じ。カーテンコールでは2人で腕組んでスキップで舞台上を横断して来て、会場の盛大な拍手が手拍子に変わった。

湯川麻美子の仙女が上品で柔らかく美しく優しい。やや薄水色がかった半透明な印象のきらきらしたロマンティックチュチュで背が高い。狭い両足のつま先だった姿勢で小刻みにつま先を動かして移動するパドブレ、宙に浮いているよう。シンデレラもパドブレが多かったように思う。その姿勢で階段を降りるのは大変なんだろう。シンデレラの長田佳世は最後のパドドゥをめいっぱいの姿勢で、できるだけ静止時間が長くなるように気合を入れて頑張っていた。2幕目の舞台を円形に回るマネージュでは終わる前から大拍手だった。王子は大きくて真面目な印象だった。道化のグリゴリー・バリノフはキレの良い、はきはきした踊りで小気味良かった。仙女と踊るコールドバレエが美しくきびきびしていた。薄水色のトーン。四季の精の中では春の丸尾孝子が元気が良かった。春のそういう振り付けに合っていた。

美術は美しくキラキラしている。薄い青や緑が基調のほんわかしたイルミネーション。イリュージョン。

観客には子供が多く、フロアには子供向けのイベントが幾つか用意されていた。

10.12.05 新国立劇場
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ドン・パスクワーレ/MET10-11舞台撮影

2010-12-18 | オペラ
ドン・パスクワーレ/MET10-11舞台撮影

作曲:ドニゼッティ
演出:オットー・シェンク
指揮:ジェームス・レバイン
出演:パスクワーレ:ジョン・デル・カルロ
   ノリーナ:アンナ・ネトレプコ
   エルネスト:マシュー・ポレンザーニ
   マラテスタ:マリウーシュ・クヴィエチェン

ジョン・デル・カルロはよどみなく、セリフを言っているような歌い方。ポレンザーニは真面目一方の若者のベルカント。ネトレプコは太くて大きいソプラノでパワー全開。クヴィエチェンはMETのライブビューイングのルチアのお兄さん役だった人。その時もネトレプコとの共演。ルチアでは滅法怖い兄さんだったけれど、今回はちょとワルで、軽快で調子のいい男役。芝居が達者だ。

演出は歌手が舞台で動きっぱなしというものなので、歌手は歌と動きの大きい芝居を両立させなければならない。4人とも難なくこなして歌に崩れが無かった。

アリアには落ち着いて1人で歌う形式が少なく、重唱のものが多く、アンサンブルが難しそうだった。

パスクワーレが悪者扱いのドラマだけれど、案外、そのパスクワーレの方が可哀相に思えた。

10.12.04 東劇
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浮草

2010-12-06 | 邦画
浮草 ☆☆
1959.11.17 松竹、カラー、普通サイズ
監督・脚本:小津安二郎、脚本:野田高梧
出演:中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、杉村春子、川口浩

ダークブルーの夜空の中へ、
濃いオレンジの小さな丸いバックライトが2つ、
ゆっくりと吸い込まれていく。
ごうごうと音を残して、
走り去る夜汽車の後姿も、
徐々に小さくなる。
中には2人。
京マチ子とそれに鴈治郎。

雨の土砂降り。
喧嘩のつぶて。
派手にやりあう京マチ子と鴈治郎。
格子の壁の家の前で、
ぬれて、髪がほどけて、
必死の形相で、
メラメラとめりめりと、
燃える憤怒の炎、
恋の青筋、
雨宿りする京マチ子。
嫉妬と怒りがどっと噴出し、
あふれ出す。
鴈治郎は通りのこちら側。
イライラと雨を蹴散らし、
罵声が苛立つ。
豪雨の中の痴話喧嘩。

戦前の「浮草物語」のリメーク。川口浩は三井弘次のやった役。その三井弘次が役者の一人として出演している。25年たったんだから当然かもしれないけれども、あんな可憐な青年がこうなってしまったんだと、興味深い。川口浩はちょっと不良っぽい、すこし神経質そうな若者の印象。

若尾文子は美しい。そのままで美しい。

前作でもあったけれども、京マチ子が「おみつ」、若尾文子が「お染」で化粧をしながら話し合う場面がある。今度のはカラーなので衣装が美しい。京マチ子の「おみつ」はちょっと仁では無いようにも思うけれども、この2人の舞台があるなら見てみたいと思った。映画では京マチ子の国定忠治がたっぷりと見られる。これも良い。

前作をかなり忠実に再現していた。色使いも良かった。白い灯台、水色の空、赤いバケツ、緑の着物、赤に水色の振袖、濃紺の闇夜、古い家屋の錆びた木材の色。

10.11.27 神保町シアター
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