まず言語療法士の事。
半年前、4月ごろに予約を入れて行ってみた。
事故や病気で言葉が不自由になった人達に言葉の訓練をする場所というイメージがあったが
健康な子供達も多く来ている。かいとのように複数言語習得者は少ないだろうが、フランス人の子供で
一定の音が発音できなかったり、言葉の発達が遅かったりする(これは予想)幼稚園、小学生ぐらいの子達を見かける。
私たちが出会った療法士は若い女の先生で、日本語を少し知っていた。
(”ねこ”とか動物や家族の名称、”見る”等簡単な動詞。あとは”温泉”も知っていた。)
私たちの状況を理解してくれて、語彙を増やして文を作るような第二言語習得用のサポートをしてくれているので通っている。
一回30分。保険に入っていれば、全額そこから出る仕組みで実質無料。(シビアな人に言わせれば無料な訳ない!高い保険料払ってるんだという言い分になる。)
あいのあ出産前に3、4回、9月に新学期が始まってから3回行った。
遊び友達。
裏のアパートに住む中仏カップルの息子、リチャード(3歳)と気があってよく遊んでいる。
リチャードは中国語よりフランス語が強く、普段フランス語で話すので、かいとがフランス語を話す動機が高まった。
去年1年幼稚園に通ったが、ついにかいとの口から友達の名前が出る事は無かった。そのかいとが初めて自発的に話題に出すリチャード。
言語習得記録をまとめるのは6ヶ月ぶりになるが、その間出産を挟んでいたせいか今回かいとの誤用をあまり拾えなかった。
それより印象に残った文章を書き留めてある。(彼の内面・心理が垣間みられるような文)
-誤用
物の移動を表す”から”、”に”
「ママ、ママから これ」かいとが私にプレゼントを渡そうとして。
正しくは 「ママに これ」
「ママからのプレゼントよ」とも言う。私にプレゼントを渡す場面で。
正しくは「ママへのプレゼントよ」
「ありたい」
「あるといいな」「あってほしいな」という場面で。
存在分の”いる”と”ある”自動修正
「~がいる」と言った後に「...ある」と言い直したりする。
主語が物か人かに注意を払いつつある。
存在文の助詞”に”と”が”
「みて、ねこちゃんよ、ねこちゃんにいた」
直後、「ねこちゃんがいた...」とつぶやいていた。
”上”と”中”間違えてる
「いすの中に なにかある。なにかしら...」
中という場面で上と言っていたり。例)服の上に入った 等。
「持って行く」と「置いて行く」
「ぱぱー、だめよ おべんとー持ってっちゃ」
現実には、弁当を忘れて行った事を責めている。
「名詞+になる」
「めちゃくちゃく なる」と数回言っていた。
「借りる」と「貸す」
「パパのかぎ、かしてもいーか?」中国人風な疑問文の”か”?も。
正しくは「かりてもいい?」
-接続詞と、~たら、~と、~けど、~のに、~てから 等 文をつなぐ言い方が増えて来た
「おわったら おしえてね」私がシャワー浴びていると。
「そのあいだ~」
「ところがある日 そりがこわれてしまったんです」あんぱんマンから。
「わたしはまだ寝てるけど あいのあちゃんは?」
「ふうしゃ(風車)、みつけたら おしえてね」車の窓から外を見ながら。
「さっきは あんなにいたのにね」同じく車から外を見ながら。牛の事を話している。
「ほんとはいやだけど わかったわ」歯を磨かないとおしおきだと言うと。
「このハート(青)にふれると みんなに迷惑をかけてしまうの」あんぱんマンのロールパンナ役をしながら。
「せっかく なかよしになったのに。またパンプローナにいきたいな」
ピラールがスペインに帰る時に。しかしこの文は本心とはかけ離れている!
産後の手伝いにプラールが1ヶ月ほど滞在中に、かいとはおばあちゃんとの関係が悪化。
おばあちゃんがいる部屋には近寄らなかった。(今は忘れたようだが)現実は この逆。
「アイスクリーム たべてから だっこね。あいのあちゃん。」
「うんちだけじゃなくて おしっこもでたよ」うんちでた?と聞くと。
-心理が現れているような、意味深な一言
「しゃぼんだま、もうやめるかなあ...しゃぼんだまひめも おこってる。」
あんぱんマン映画シリーズの中のプルンちゃん役。
挫折しているキャラクターを好んで演じる事からかいとの自信が無い一面が見られる。
同じプルンちゃんの話から
「あのこ、どんなにれんしゅうしても ちいさいしゃぼんだましか...(言葉を濁す)...こと、きにしてたのかしら。」
小さいシャボン玉しかふけない事に自信を無くしヤケになっているプルンちゃんの友達の台詞を急に口した。
「ぼく そらを とびたいんです...」
プーさんのクリスマスムービーのイーヨーの役。自分の願いをかなえるのは無理だと言ってサンタさんにお願いをしないイーヨー。無理な願いとは、空を飛びたいというもの。イーヨーのようにバリトンの低い声で演じるので笑える。ここからも、自分の希望はあってもそれをかなえるのは無理だとあきらめそうなかいとの心理が見られるような...
夜3回も起きて私を呼ぶかいと。(あいのあ出産前 5月19日)この時期、夜起きる事が多くなった。
1、ママ おきたの。しんぱいです。
寝る前、「かいと心配なの?あいのあちゃんが来てもママはかいとのこと大好きだよ」と言い聞かせたからか。
2、ママ おきて。
3、(泣いて)ぬれちゃった。
おむつを脱いでいて、おねしょしていた。←2回呼ばれたが、私が来ないので、私を呼ぶために意図的におむつをとっておしっこしたのかも。今思うと。
もっと小さい時から、呼んでも親が来ないとかいとはよく「おしっこ(がでる)」と言っていた。効き目は100%。
3回目に行って(布団とシーツお取り替え)優しく注意するとうれしそうだった。
「あした ようちえんいってから あんぱんまん みるよ」(この頃、朝幼稚園の前にあんぱんまんを見るとだだをこねていた)
と天使のような笑顔で。
閉じ込められた夢
「ママ、ゆめみた。かいとがハンバーガーたべてると ママがおこってかいとをなげた。」
え、窓から投げたの?と私が聞くと
「このなか(おもちゃのお城)にぽいって なげた。」
私がかいとをせまい所に押し込めている、つまり我慢させている 彼のストレスに気づいていない という意味がある?
9月に入って新学期が始まった頃。2年目で、もう幼稚園に慣れていると思いかいとのことを気にかけていなかったが、実際はクラスと先生が変わってすごいストレスを貯めていた。
フランス語の発話とその他の気づいた事はその2に続く。