雑文の旅

猫爺の長編小説、短編小説、掌編小説、随筆、日記の投稿用ブログ

猫爺の日記「疫病神さまに感謝」

2017-11-19 | 日記
   ◇診察券 増えて帰途急く 冬入日

 遠くの病院まで行って来た。いよいよ始まる癌の放射線治療の準備である。放射線照射中、躰を固定する為に背部をゴム粘土のような物で、腹部をプラスチックカバーで固定し、常時正確に患部を照射するためのものである。言わばミイラケースのようなものだ。技師さんはCT画像を撮りを挟みながら、手際よく作業を進めてくださるのだが、水を一気飲みさせられ、深呼吸も出来ない状態で2時間近くも我慢させられた。
 ヨボ爺のこと、この我慢の所為で作業が終りCTストレッチャーから下ろされたときにはフラフラで、部屋から出て待合室へ戻る方向を間違えてしまった。

 こんな病を患ってしまったが、疫病神さまには感謝して止まない。これがもし40代、50代の働き盛りだったら、病身の妻を抱えて途方に暮れていたに違いない。惜しげのない極老になるまで待ってくれたのであるから、心から感謝しなくてはなるまい。我が人生、良くはなかったものの悪しくもなかった。大きな事故もなく「運転免許証」を返却出来たのだから、これもまた有難いことである。

 頑張っている自分の褒美のつもりで、帰りに「鮪の赤身」を買ってきた。鮪の赤身にマヨネーズを塗って暫く冷蔵庫に入れておくと、なんと純トロに変身するのだそうである。テレビでやっていたので試してみたのだが、よく考えてみると猫爺はあまり生ものを好まない。まして今まで「純トロ」など食べたことがない。旨くなったのか、全然変わっていないのか分からない。半分食べ残してしまったが、勿体ないので明日の朝に茹でてサラダにでもしようと思う。遠くで妻が「相変わらず馬鹿ね」と嗤っているような気がする。

 

猫爺の、ど凡人俳句「自由律句」

2017-11-04 | 俳句
   ◇木枯し一号 黄龍の鱗 地上に舞う

 爺め、生意気に「自由律俳句」に挑戦してみた。以前に、「猫爺のエッセイ」で漂泊の俳人、種田山頭火を取り上げたことがあったが、その奔放さは好きである。山頭火の傍にも寄れないが、これから時々挑戦したいと思う。

 過日、今季初の「木枯らし」が発表された。その日、通院の予約日だったので、強風の中を銀杏の並木路をヨボヨボ歩きながら一句捻り出した。若者がスマホを操作しながら車道を歩いているよりも、余程危険な行動であったが。

 黄龍とは、中国の世界遺産である地形なのだが、猫爺の空想の中で「黄色い竜」にしてみた。嵐のなか、黄色い竜が空に昇った直後として、鱗が剥がれて風に飛ばされている場面を想像した。何のことはない、銀杏の黄葉を鱗に見立てたものだが。

 序に風の句を‥‥

   ◇落葉踏む 杖の孤老へ 摩耶の風

   ◇木犀の 傍を抜け来し 朝の風

   ◇雨やみて 頬に夜寒の 風の音