ぶらぶら★アフリック

アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

シネマアフリカ2013(1)~O Sembene

2013-05-20 07:30:35 | アフリカ映画
今年も始まった、シネマアフリカ2013

このようなエキサイティングな企画をお届けくださる主催者の皆さまには、心より感謝と敬意を表したい。



昨夜の目当ては、今回シネマアフリカで最も楽しみにしていたフィルム2本のうちの一つ。アフリカ文学と映画の巨匠、サンベーヌ・ウスマンの追悼映画「O Sembene」。

サンベーヌ・ウスマンは私も始めて手にしたアフリカ文学。そして、アフリカ映画だった。パン・アフリカニズム、アフリカの真の独立と自立、現実と日常。時に重く、時にコミカルに、そして時にシニカルに描かれるウスマンのアフリカ世界は、私に共感を与えるとともに、アフリカ人でない私にはどこか胸に突き刺さる。

この映画は深く旧交があったといわれるマリ人監督、スレイマン・シセが制作。彼自身もワガドゥグ国際映画祭、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞の経験を持つ。手を加えすぎることなく、しかし彼の内奥に残る思索や疑問をストレートに吐露。また音楽はユッス・ンドゥールが手がけている。乾いた、素朴なセネガルの空気がパッケージされる。

サンベーヌの生前の家はアフリカ大陸西端、アルマジ岬に近い海岸にある。セダール・サンゴール空港が近く、ひっきりなしに頭上を通過する飛行機。我々に時の流れとリアリティを伝える。

遺体が郊外の墓地に運ばれるシーン、彼自身が書いた小説'Niiwam'ではシーツに包んだ我が子の亡骸をバスで運ぶ母姿が描かれている。まさにそのシーンがフラッシュバックする。

祖国セネガルの独立記念日、4月4日前後になると、フランス系のTV5 Mondeやセネガル国営テレビ・ラジオ(RTS)ではサンべーヌ作品がヘビーローテーションされるのが好例だった。わたしが彼の代表作「Camp de Tyaroye(チャーロイ・キャンプ)」を初めて見たのはダカールのフランス文化センターだった。そして彼の逝去が、わたしがダカールを発った直後の2007年6月だったことも思い出した。

(写真:ダカール市内の壁に描かれた絵。「チャーロイ1944年、決して忘れることのできない歴史」、とある。)


このフィルム、彼に関する知識なくみると、ともすればわかりにくい映画だったかもしれない。しかし少なくとも計り知れない故人の存在感と偉業は伝わってきたのではなかろうか。

このコアでディープなフィルムをあえてシネマアフリカの上映作品に選定した委員に心から賛辞を送りたい。

(写真:今年のシネマアフリカパンフレットと入場券、そして大切にしている「チャーロイ・キャンプ」のDVD。パリ・カルチェラタンの書店「ハルマッタン」で買った(→「ハルマッタン」についてはこちら参照)。)





ンボテ★飯村 出演情報ほか
◆5/25(土)TICAD直前・傾向と対策「アフリカぶらぶらトーク100本ノック」
◆5/9-6月上旬 ニコ生「藤岡みなみのI don't know Africa~発見アフリカ54の国~」出演!
◆旅行誌『Dodo』最新号、エッセイ「コンゴにまつわるエトセトラ』掲載
 ※旅行代理店、アフリカ料理店などで絶賛(?!)配布中!
◆その他、イベントまだまだ続きます!
📺ご覧の「ぶらぶら★アフリック」にてご案内、引き続きご注目を!


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