「選べなかった命」河合 香織 著 文藝春秋

　生命とは、誕生することを選ばれて、この世に生まれてくるはず…
　だが、残念なことに、必ずしも全ての生命が無事に誕生できるわけではない。
　そして、もっと悲しいことに、無事に誕生したはずの生命が、必ずしも望まれて生まれた生命ではない、という現実もある…という現実を知る。
　線引きが苦手な日本人は、この問題を玉虫色で曖昧なままにしておいた。
　そのため、祝うべき生命の誕生について、そしてその将来について、誕生から育児に関わるすべての当事者が苦悩し続けているのだ。
　この現実を、いつの日か、日本でも変えることができるのだろうか。

「彼女は頭が悪いから」姫野カオルコ 著 文藝春秋

　日本という同じ国に生きている、同じ人間のはず…

　だが、生きている世界が異なる、という現実。

　それがゆえに、相手側の状況、考え方、行動、感情…等へ思いやる心が全くない…

　さらには、相手を見下さん、と言わんばかりの傲慢さ…

　この作品は、人間の本質に関する様々な問題を提起している。